2010/05/12

書籍: 失敗学のすすめ (畑村洋太郎)




失敗とは何でしょうか?

失敗をマイナスに捉えると、起こしてはならないもの、起こしたくないもの。失敗した自分が恥ずかしいなどと思ってしまうかもしれません。人は誰しも失敗に対して否定的なイメージを持つものです。

しかし、このように失敗をネガティブに考えるのではなく、失敗のプラス面にも目を向けるべきと主張するのが 失敗学のすすめ という本です。



失敗について考えさせられるいい本だったので、以下に内容を整理しておきます。

2010/05/08

完全暗闇体験イベント「Dialog in the Dark」

人間が持つ知覚には、視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚の5つがあります。では、これらの五官から得られる知覚の割合は、それぞれどれくらいなのでしょうか。

古い資料ですが、1972年にされた「産業教育機器システム便覧」という本によると、視覚:83%、聴覚:11%、嗅覚:3.5%、触覚:1.5%、味覚1.0%とされています。どういった方法で計算されたかはわかりませんが、視覚と聴覚の合計が94%というのは、普段の生活を振り返ってもそれほど違和感のない数字だと思います。





先日、「Dialog in the Dark」という体験型イベントに参加してきました。光が全くない暗闇の空間で、日常生活の様々な内容を視覚以外の感覚で体験するエンターテイメント形式のワークショップイベントです(参照:Wikipedia)。

視覚障害者のアテンダントさんにサポートいただき、完全な暗闇の中でのツアーです。森の中を歩いたり、公園で遊んだり、カフェでドリンクを飲んだりと、日常生活ではごく普通にできることを全て視覚なしで体験します。ツアー時間は約90分ほど。参加者は8人で、アテンダントさんも含め見ず知らずの初対面のメンバーです。



暗闇に足を踏み入れた瞬間は、五官から視覚が取り除かれただけであたかも全ての情報が遮断されたような錯覚に陥りました。上記の視覚:83%がなくなり、(実質は残り17%はあるのですが)感覚的にはゼロになったような感じです。暗闇の中で足を一歩踏み出すのも怖くなるほど。ちなみに、暗闇に入る前に視覚障害者用の白い棒を渡されますが、これだけでは非常に不安になります。

しかし、人間とは不思議なもので、全くの暗闇でも次第に様々なものを感じることができるようになっていきます。葉っぱがすれる音と小川のせせらぎや他のメンバーの声(聴覚)、木や土の匂い(嗅覚)、右手の棒から得られる地面の感触やアテンダントさん・他のメンバーの感覚(触覚)、カフェで飲むドリンク(味覚)。つまり、視覚が全く使えない状況でも、他の知覚がどんどん研ぎ澄まされていくようになります。

視覚を使わずに、ものが「見える」ような感覚。ツアーの後半くらいからは、視覚がないにもかかわらずメンバーとの会話や暗闇での活動も、普段の日常のそれとあまり変わらないような気すらしました。



日本では夜でも電気で明かりを灯せば、暗闇は解消できます。また、視覚によりものを見ることは当たり前のように持っています。日本の豊かさ自分の持っている五官のありがたさ。今回参加したことで、これらのことにあらためて気づかされました。

Dialog in the Dark。もし機会があれば、ぜひ体験されることをおすすめします。


※Dialog in the Dark
http://www.dialoginthedark.com/index.html

※Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/


2010/05/04

書籍 「電子書籍の衝撃」

「電子書籍の衝撃」(佐々木俊尚 ディスカヴァー・トゥエンティワン)という本を読みました。


■本書のまとめ

著者の主張をまとめると、以下の4点に集約されます。次の4つが確立することで電子ブックの全容が姿を表すと主張されています(p.300から引用)。

  1. キンドルやiPadのような電子ブックを購読するのにふさわしいタブレット
  2. これらのタブレット上で本を購入し、読むためのプラットフォーム
  3. 電子ブックプラットフォームの確立が促すセルフパブリッシングと、本のフラット化
  4. そしてコンテキストを介して、本と読者が織りなす新しいマッチングの世界


これらを自分の言葉で言い換えると以下のようになります。

  1. 電子ブックを読むには、ふさわしい端末がいる (キンドルやiPad)
  2. 電子ブックを買うには、使いやすい(探しやすい・買いやすい)売場がいる
  3. 自分で書いた本を売ることが可能。また、あらゆる本が同じ売場に並ぶ (新書/古書、プロ/アマ etc.)
  4. 口コミやレビュー、ブログ、SNS、ツイッターなどから、自分の読みたい本が見つかるようになる 




■プラットフォームとアンビエント

さて、この本にはいくつかのキーワードがあるのですが、このうち上記の(2)に関するものに、「プラットフォーム」と「アンビエント」というキーワードが出てきます。それぞれ、本文では以下のように説明されています。
--------------------------
プラットフォーム:土台、システムのこと。つまりは本を購入して読む魅力的な基盤
アンビエント:環境、偏在と訳される。私たちを取り巻き、あたり一面にただよっているような状態
--------------------------

私は一読した際、これら2つの言葉の使われ方(本文での意味)がわかったようでわからないという状態でした。特に、理解しづらかったのはプラットフォームとアンビエントとの関係性。一方で、これらの言葉は本文では繰り返し出てくる重要なキーワードなので、正しく理解する必要がありました。

このプラットフォームとアンビエントについて、自分の身の回りで一番しっくりきたのはツイッターとiPhoneの関係性でした。プラットフォームに当てはまるのはツイッターです。ツイッターという土台が存在することで、他人のつぶやきを見たり自分のつぶやきを投稿できたりします。

一方で、ツイッターのサイトは決して使いやすいものではないと感じています。これは多くのユーザーが、ツイッター用のアプリを使っている状況からもそう思います。では、アンビエントは何かというと、iPhoneがもたらす利便性だと思います。iPhoneは携帯電話なのでいつも自分の近くにあり、かつツイッター用のアプリを起動させればすぐに見ることができます。まさにこれは、iPhoneによってツイッターが「あたり一面にただよっているような状態」です。

以上から、プラットフォームとアンビエントの関係性とは、前者は提供される「モノ」であり、後者はとても便利になるという「状態」だと思います。国語的に言えば、プラットフォームがアンビエントであるという主語と述語の関係。数学的に言えば、プラットフォームは必要条件で、アンビエントは十分条件だと考えます。



■自分にとってのプラットフォームのアンビエント化

電子書籍において、プラットフォームがアンビエントになる、つまり、「本と出合う場所」が「とても便利になる」とは具体的にはどのような状況なのでしょうか。今回取り上げた「電子書籍の衝撃」という本を読んで考えさせられた、この命題について以下に書いておきます。

私の本の位置づけは、「読むことで自分の考えを刺激してくれるもの」です。従って、このような本を見つける条件としては、「その本は良質かどうか」「その本を読むのにふさわしいタイミングかどうか」という2点があると思っています。「ふさわしいタイミング」というのは、同じ本でも10才の時に読むのと40才で読むのとでは得られる内容も違うはずで、本により自分にふさわしい読むべきタイミングがあるという考え方です。この2軸をマトリクスにすると、次のようになります(図1)。


インターネットという革命により、検索で本を探すことができ、ブログで興味のある本を知ったり、Amazonで楽に買えるようになりました。今後は電子書籍によりもっと多様な読み方ができるようになります。そして、次世代の技術により、図の「読むべき本」にもっと出会えるようになること、これが先の命題に対する自分の答えです。


電子書籍の衝撃 (ディスカヴァー携書)


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社概要はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。