投稿日 2022/07/24

お客への価値をペインとゲインに分けて、価値提供をしよう


今回は、マーケティングの話です。後半は DX にも着想を広げます。

✓ この記事でわかること
  • お客への提供価値をつくる方法
  • ペインとゲイン
  • DX からの価値提供への横展開

この記事を読んでいただきたいと思うのは、マーケターの方です。特に、マーケティングの基本は理解していて、マーケターとして一皮むけたい、もっと成長したいと思っている方をイメージしています。

また、提供価値をつくる方法に興味を持った方にも参考になればと思います。

提供価値をペインとゲインに分けて考え、どうやってお客さんへ価値を提供するかをご紹介します。ぜひ最後まで読んでいただき、お仕事での参考になればうれしいです。

ペインとゲイン


今回の一言のメッセージは 「お客さんへの提供価値をペインとゲインの2つからつくろう」 です。キーワードはペインポイントとゲインポイントです。

ペインポイントとは英語の Pain (痛み) からで、お客さんが持っている不満、不便さ、不都合などの 「顧客の不」 を解消する価値です。イメージはマイナスをゼロにします。

例えばわかりやすい例は、喉が渇いた人にとってのコップ一杯の水です。

もう1つのゲインポイントについてです。もともとの英語の Gain の意味は 「利得」 です。ゲインポイントのイメージはゼロをプラスにする価値提供です。既にある程度は満たされている状況で、さらに高い次元で価値を提供します。

具体例を先ほどの水で続けると、豊富な栄養素が入っているミネラルウォーターです。喉の渇きを癒してくれるだけではなく (マイナス → ゼロ) 、水を飲むことによって栄養も摂れる価値 (ゼロ → プラス) です。


2つの価値を見極めよう


マーケターとして意識したいことは、「自分たちの商品やサービスから、お客さんに提供している本質的な価値は何か」 です。商品・サービスを使うことによりお客が得ている価値は何かです。

価値を理解する時に、先ほどのペインポイントの解消なのか、それともゲインポイントの付加価値なのかを見極めるといいです。

* * *

ここまでマーケティングの話をペインポイントとゲインポイントから掘り下げました。ここからはさらに展開して、DX の実現をベインとゲインの視点から見ていきましょう。


DX 化への横展開 (DX とは) 


まずはそもそもの DX とは何かです。

DX とは 「ビジネスモデルのコア領域をデジタル化し、事業や経営を進化させること」 です。DX によって自社の収益力を高め、成長につなげます。

アナログのデジタル化や単なる IT 導入だけでは DX とは言えません。これらはあくまで DX の最初のステップで、次の図のように DX にはステップがあります。

出典: SalesZine

DX はあくまで手段であり、何かしらの DX 化の目的があるべきです。DX 化自体が目的になってしまう 「手段の目的化」 には注意が必要です。


DX でのペインとゲイン


ではペインポイントとゲインポイントです。DX をペインとゲインの2つで観点で掘り下げてみましょう。

[DX 1] ペインポイントの解消


ペインポイントは、お客さんが感じている不便な手続き、あるいは社内の業務プロセスで手間がかかっているところをデジタル化して解消します。デジタル化によりお客の負担感が減り、社内プロセスも効率化できます。

例えば EC ビジネスで注文後の配達と到着日をわかりやすくマイページで表示し、今はどのプロセスなのかをお客さんに見せます。お客が 「いつ届くんだろう」 と不安になったりモヤモヤする状況が起こらないようにします。マイナスの解消から価値をつくります。これが DX によるペインポイント解消のイメージです。

[DX 2] ゲインポイントからの付加価値


ゲインポイントでは、お客さんからははっきりとは要望がなかったとしても、さらに利便性を高めたりエンタメ的な要素を取り入れます。

例えば、通り一辺倒な商品やサービス説明ではなく、具体的な使い方をスタッフのオススメやヘビーユーザーの利用方法を動画でわかりやすく紹介します。他には開発者の開発秘話や苦労話をストーリーとして伝えてもいいでしょう。

ゲインポイントから、購入者は商品やサービスをより理解できるだけではなく、愛着が生まれます。リピート購入につなげ、さらにはファンになってもらうことを目指します。付加価値をつけ事業を進化させます。


まとめ


今回はキーワードの 「ペインポイント」 と 「ゲインポイント」 から、マーケティングと DX について掘り下げました。

最後にまとめです。


ペインとゲイン
  • ペインポイントは 「顧客の不」 (不満・不便・不都合など) を解消する価値 (マイナス → ゼロ) 
  • ゲインポイントは新しい価値。既にある程度は満たされている状況で、さらに高い次元で価値を提供する (ゼロ → プラス) 

2つの価値を見極めよう
  • 自分たちの商品やサービスから、お客さんに提供している本質的な価値は何か
  • ペインポイントの解消なのか、ゲインポイントの付加価値なのかを見極め、お客さんへ提供価値をペインとゲインの2つからつくろう


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。