#マーケティング #アイデア #逆転の発想
小さな子どもの幼児の水遊びをサポートするアイテムとして、水遊びパンツは欠かせません。しかし、従来の水遊びパンツにはある問題がありました。
この課題に立ち向かったのがユニ・チャームです。製品をリニューアルし、逆転の発想で見事に解決しました。
この事例から、画期的なアイデアにつなげる思考法を紐解きます。ぜひ一緒に詳しく見ていきましょう。
水遊び用パンツ 「ムーニー水あそびパンツ」
ユニ・チャームが、7年ぶりにリニューアルした水遊び用パンツ 「ムーニー水あそびパンツ」 。従来の課題を逆転の発想で解決しました。
この事例からは、ビジネスにおける発想の転換の重要性と、画期的なアイデアを生み出すヒントを学べます。
まずはユニ・チャームがどのように既存の問題を解決したのかを見てみましょう。
水遊びパンツの 「水が入る問題」
水遊びパンツは、水遊び中に快適に過ごせるように設計されています。
しかし、一般的な水遊びパンツは深く水につかるとパンツの中に水がたまり、重くなってしまうという問題が存在していました。水が入った分だけ重くなり子どもは動きにくく、また重さによってパンツが脱げてしまうこともありました。
水の侵入を防ぐのが難しい?いっそのこと入れてみては
ユニ・チャームはこうした水遊びパンツの問題を認識し、対処すべき課題ととらえ社内で議論を重ねてきました (参考記事) 。
生まれたのは 「水を入れないのではなく、入った水を排出すれば良いのでは」 というコロンブスの卵のようなアイデアでした。今までの 「水を入れない」 という考え方を逆転させた画期的なアイデアです。
このアイデアにもとづき、ユニ・チャームは足の付け根部分に穴を設けることで、水遊び中に溜まった水を1分で排出できる構造に変更しました。「ムーニー水あそびパンツ」 は、水遊び後の重さがリニューアル前の3分の1となる100グラム以下まで軽減し、子どもの負担を大幅に減らしたのです。
改良点は他にもあります。今回のリニューアルでは、「ムーニー水あそびパンツ」 のウエスト部分を柔らかい素材に変更し、お腹のところの締め付け感を小さくしました。さらに排せつ物が流れ出ないようにするために、股間部分のフィット感を向上させました。
[学べること] アイデアを生み出す視点
ムーニー水あそびパンツの事例は、従来の固定観念にとらわれず、逆転の発想で問題を解決することで、ユニークな製品を生み出せることを示しています。
ビジネスにおいて競争に打ち勝ち、成功を収めるためには、固定観念にとらわれず、新しい発想で問題解決に取り組むことが重要です。
画期的なアイデアを生み出すためには、次のような視点がヒントになります。
- 問題の本質を見極める: 表面的な問題にとらわれず、問題の本質を見極める
- 常識にとらわれない: 常識にとらわれず、自由な発想で考える
- 多様な視点から考える: 様々な視点から問題を考えることで、新しいアイデアが生まれる可能性が高くなる
- 失敗を恐れずに挑戦する: 新しいアイデアには失敗がつきものです。失敗を恐れずに挑戦する
イヤホン製品への応用
では、子ども用のパンツとは違うカテゴリーで、たとえばイヤホンに当てはめて、逆転の発想をするアイデア創出を考えてみましょう。
イヤホンのカテゴリーで逆転の発想を適用する場合、一般的な問題への捉え方として 「周囲の騒音がユーザーの音響体験を悪化させる」 という点が挙げられます。
従来のアプローチはこの騒音をいかに遮断するか、たとえばノイズキャンセリング技術に重点を置いていましたが、ここでの逆転の発想は、この周囲の騒音を逆に利用することに焦点を当てます。
問題の本質を見極める
周囲の騒音をただ単にシャットアウトするのではなく、それをイヤホン利用者の安全や利便性に役立てることを目指すというわけです。
特に都市部での使用や、移動時など安全が重視される利用シーンでは、周囲の環境を認識できることが重要です。
常識にとらわれない
従来のノイズキャンセリング機能を逆転させ、「セレクティブ・アンビエントサウンドモード」 を開発します。アンビエントは "周囲の" や "環境の" というニュアンスを持つ英語です。
環境音の中でもユーザーにとって重要と考える音、たとえば、歩行者信号の音、車のクラクション、アナウンスや人の声を強調し、その他の背景音は抑える技術です。
多様な視点から考える
スポーツ愛好家や屋外で作業する人の中には、音楽を楽しみつつも周囲の状況にも注意を払いたいと考えている人がいるはずです。
また、視覚障害を持つ方にとっては、周囲の音を通じて環境を認識することは特に重要です。
失敗を恐れずに挑戦する
このような 「セレクティブ・アンビエントサウンドモード」 という新しい機能の開発は、初めての試みになるため多くの技術的課題が予想されます。
初期のプロトタイプがたとえ完璧でなかったとして、ユーザーからのフィードバックを得て製品を徐々に改善していく地道なプロセスが必要になるでしょう。
失敗を恐れず挑戦し、市場テストを通じて実際の使用シナリオでの有効性を評価し、製品を最適化します。
逆転の発想
ここまで見てきた 「アンビエントサウンド活用」 イヤホンの例では、周囲の騒音を全て耳に入れないとするのではなく、ユーザーのイヤホン体験を向上させるものとしてイヤホンを再定義しています。
逆転の発想を用いることで、新しいユーザー層を開拓することができます。このアプローチは、他のビジネスにおいても応用可能で、創造的な解決策を生み出すためのヒントになります。
まとめ
今回は、ユニ・チャームの水遊び用パンツ 「ムーニー水あそびパンツ」 を取り上げ、逆転の発想をすることへの学びを考察しました。
最後にポイントをまとめておきます。
- 固定観念にとらわれず、逆の発想で問題解決に取り組んでみる。解決できない問題を 「それならいっそのこと」 と考え、有効活用し逆転の発想をしてみると突破口につながる
- アイデアを生み出すためには、① 問題の本質を見極め、② 常識にとらわれず、③ 多様な視点から考え、④ 失敗を恐れずに挑戦することが大事
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