#マーケティング #ターゲット利用シーン #選ぶ理由
今回のキーワードは2つです。「ターゲット利用シーン」 と 「選ぶ理由」 です。
世界初の睡眠をサポートするアイスクリームの商品事例を取り上げ、マーケティングの視点からビジネスに活かせる学びをお届けします。
お茶成分入りで快眠できる 「スリープアイス」
静岡県島田市にある企業 「kobachi」 は、日本茶に含まれるうま味成分 「L-テアニン」 が持つ快眠効果に注目し、新しい市場の開拓を目指しています。
お茶の成分の L-テアニンを活用し、「teleep (テリープ) 」 というブランドを立ち上げ、快眠をサポートするアイスクリーム 「スリープアイス」 を開発しました。
通常、お茶に含まれるカフェインは覚醒作用があるため睡眠には不向きとされがちですが、スリープアイスでは特定の加工方法や茶葉選びによりカフェインを抑えつつ、 L-テアニンを多く抽出しています。スリープアイスは、世界で初めての睡眠サポートアイスクリームとのことで、睡眠の質を向上させることが期待でき、寝る前に食べることでその効果を発揮します。
スリープアイスは睡眠の質を向上させたいと考える消費者をターゲット顧客にしているので、主にホテルや旅館など宿泊事業者向けの BtoB 市場をメインの販路としています (参考記事) 。
学べること
では kobachi の 「スリープアイス」 から、学べることを掘り下げていきましょう。
夜アイスへのジレンマ
夜に寝る前に食べるアイスとすることで、利用シーンである 「食べる場面」 を夜に絞っています。
統計的なデータは手元にはないですが、夜に寝る前にアイスを食べる人は一定数いることでしょう。
ただし、寝る前にアイスを食べる時にはどこか罪悪感を感じているかもしれません。今アイスを食べたいという欲求がある一方で、寝る前にカロリーがあるアイスを食べることは、ぐっすり眠れなくなるかれしれない、どこか健康に良くないのではという不安がよぎるというジレンマです。
ジレンマの解決
kobachi のスリープアイスはこの問題を解決してくれます。お茶の成分の L テアニンが入っていて、快眠を促す効果が期待できるからです。
寝る前にアイスを食べたいという欲求をそのままに、心理的な抵抗感や罪悪感を抑えることによって、他ではなく 「スリープアイスを選ぶ理由」 をつくりだすことができるのです。
その "ターゲット利用シーン" で心理的な抵抗感を取り除く
今回の学びを汎用化すると、次の2つの重要性を教えてくれます。
- ターゲット顧客だけではなく、「ターゲット利用シーン」 も明確にすること
- 本当は使いたい (今回の場合は食べたい) のに、それを妨げる障壁を取り除くこと
後者について補足をすると、使いにくかったり、心理的なハードルがあることで使うのを避けられている、利用頻度が少なくなっている状況に対して、抑制状態を変えることができれば、商品をもっと使ってもらえます。
人は、何かをやりたいという 「欲求」 と、それはしないほうがいいという 「抑制」 の、アクセルとブレーキの両方を踏んでいるものです。
アクセルが勝ればその行動は行われますが、それでも抑制要因による心のひっかかりやモヤモヤが晴れないこともあるでしょう。たとえば、夜にアイスを堪能するのはやめられない快感がある一方で、どこかで健康にはあまり良くないかもという罪悪感のような感情も潜んでいます。
こうしたお客さんの心の葛藤や心理的ハードルをなくす配慮があることで、商品をもっと積極的に選ぶ状態をつくる。ここに、マーケティングの役割があります。
まとめ
今回は kobachi の teleep ブランドの 「スリープアイス」 を取り上げ、学べることを見てきました。
最後にポイントをまとめておきます。
- ターゲット顧客だけではなく、「ターゲット利用シーン」 も明確にする
- 本当は使いたいのに、それを妨げる物理的・心理的な障壁を取り除くことで、お客さんから選ばれる存在になれる
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