投稿日 2024/09/30

「広告コピーの本当の話をします。」 - 広告コピーの役割、書き方。マーケティングとブランディング

#マーケティング #広告 #本

魅力的な広告は、お客さんと商品の関係を生み出します。人々の心をつかみ、商品を手に取ってもらえる力を持っています。

とはいえ、広告がただ単に目立つだけでは、広告の真の効果を発揮できることにはなりません。

そこで今回は、書籍 「ここらで広告コピーの本当の話をします。(小霜和也) 」 を取り上げます。


こちらの本から、広告の本質を掘り下げ、心を動かす広告コピーの書き方を紐解きます。

本書の概要



この本は、広告コピーをどう書けばよいかのテクニックの話ではなく、本質的なところから丁寧に説明がされています。

コピーライティングの表面的なノウハウを超え、ビジネスやマーケティングの根底からしっかりと理解することで、効果的な広告コピー、人を動かすコピーが書けるようになることがわかります。

  • 広告コピーの役割
  • コピーを書くために大事なこと
  • マーケティングとは
  • ブランドとは


これらのことが興味深く読めました。

広告コピーを書くために大事なこと


では、この本から学べた 「広告コピーを書くために大事なこと」 について詳しく見ていきましょう。

広告コピーの役割

広告コピーは単なる情報伝達ではなく、人とモノとの新しい関係を創造する役割を担っています。

広告コピーは、言葉だけで商品の価値を引き上げることで、生活者やお客さんの心に響くメッセージを届けるわけです。

USP とターゲット設定

コピーライティングにおいて重要なのは、USP (Unique Selling Proposition: 独自の販売提案) とターゲット設定です。

  • 商品としての具体的な情報、競合との違い (USP) 
  • その商品を買ってくれそうなターゲット顧客


USP とターゲット顧客の2つがそろって、はじめて広告のコピーを書くことができます。

また、コピーを書く上で大事なのは、自分が広告対象商品のファンになることだと言います。商品に対する情熱が、人を動かす広告コピーにできます。

考えることが9割、書くのは1割

広告コピーを書くプロセスでは、考えることに全体の9割を費やし、書くことに1割をあてます。

9割の考える中には、競合商品の強み、自社商品の強みを知り、USP の発見、ターゲット設定、そしてターゲットインサイトの発掘に時間をかけます。そのあとのペンを走らせる時間は全体の1割で十分であり、考えることに集中することが重要です。

タグラインとキャッチフレーズ

2つの関係性を理解することで、効果的なコピーにすることができます。

タグラインは、企業やブランド、商品の魅力やコンセプトをワンフレーズで端的に示すものです。タグラインは戦略そのものであり、キャッチフレーズより先に作成します。タグラインが先、その後にキャッチフレーズという順です。

タグラインでは、ターゲット顧客に対してその商品がどのような価値や意味を持つのかを明確に示します。たとえば 「毎日の業務がカンタンになるマーケティング分析システム」 です。

キャッチフレーズは、ターゲット顧客に 「自分に関係ある話かも」 と一瞬で感じてもらうためにあります。先ほどの分析システムの例では 「次の一手が見えてくる。時間短縮で、もっと戦略的に」 がキャッチフレーズです。

キャッチフレーズの基本には大きく2つのパターンがあり、「商品があることによる喜び Max」 と、その裏返しとなる 「商品がないことによる悲しみ Max」 です。

メディアとしての 「店頭」 の重要性

広告のあらゆるメディアの中で最も重要なのは 「店頭」 だと著者の小霜さんは言います。

テレビ CM には最も予算を使うが、いくらすばらしい CM を大量に流しても、店頭のいい場所に商品がなければ売れることはないからです。逆に CM を流さなくても、店頭のいい場所に商品が置かれ、POP などの店頭ツールがしっかりしていれば商品は売れます。

CM を企画する際は、店頭での展開を逆算して考えると効果的です。

マーケティングとブランディング


広告の上位概念にあるマーケティングとブランディングについても、この本からは学びが得られます。

マーケティングとは

マーケティングの概念は幅広く、マーケティングとは顧客視点になりお客さんの立場に立ってのさまざまな企業活動が当てはまります。

マーケティングは、押し売りとは正反対の状態を目指すものです。理想は 「営業や販促活動、広告活動をしなくとも商品が勝手に売れていく状況」 をつくることです。

お客さんのニーズを深く理解し、お客さんの望みをかなえたり、不満や不便さを解消する商品やサービスを提供することで、お客さんに価値を感じてもらう。そして、その結果、自然と売上が上がる状態に貢献するのがマーケティングです。

ブランディング

ブランドは、ターゲット顧客にとっての 「気持ちいい記憶」 を思い起こさせる (想起させる) ものです。

ブランドロゴは、その商品の 「気持ちのいい記憶」 をよみがえらせるトリガーとして機能します。ブランドロゴを見ることで、その人の中で、以前のブランドを使ったりしたときの経験がよみがえり、気持ちのよい記憶によって購買意欲が引き起こされます。

なお、気持ちのよい記憶には、おいしさや便利さといった基本的な欲求に関することだけでなく、「新しい自分になれる」 という自己実現の感情も含まれます。

ブランドの強さは、① 体験の蓄積度、② 顧客課題との関係の深さ、③ ロゴの視認頻度で測ることができます。これらの要素を高めることで、ブランドはより強力な存在となります。

まとめ


今回は、書籍 「ここらで広告コピーの本当の話をします。(小霜和也) 」 をご紹介し、学べることを見てきました。

最後にポイントをまとめておきます。

✓ 広告コピーを書くために大事なこと
  • 広告コピーの役割は、人とモノとの新しい関係を創造すること
  • USP (独自の商品提案) とターゲット設定が重要
  • 自分が商品のファンにならなければ、人を動かすコピーは書けない
  • 考えることが9割、書くのは1割
  • タグラインは商品・ブランド・企業の魅力を端的に示す。キャッチフレーズはターゲットに商品との関連性を訴求
  • 「店頭」 が最も重要なメディア



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多田 翼 (運営者)

書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。マーケティングおよびマーケティングリサーチのプロフェッショナル。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

前職の Google ではシニアマネージャーとしてユーザーインサイトや広告効果測定、リサーチ開発に注力し、複数のグローバルのプロジェクトに参画。Google 以前はマーケティングリサーチ会社にて、クライアントのマーケティング支援に取り組むとともに、新規事業の立ち上げや消費者パネルの刷新をリードした。独立後も培った経験と洞察力で、クライアントにソリューションを提供している。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。