#マーケティング #イノベーション
仕事のやり方が固定し、次第に 「同じことの繰り返し」 になってしまうことはないでしょうか?
作業の効率化はできているものの、一方で新たな発想や視点が生まれにくくなり、どこか閉塞感を感じる要因になるかもしれません。
そんな課題に対して、アパホテルの 「1ホテル1イノベーション」 の取り組みはヒントを与えてくれます。アパホテルから学べる仕事術を、ぜひ一緒に深めていきましょう。
アパホテル 「1ホテル1イノベーション」
アパホテルは、日本国内で最大のビジネスホテルチェーンとして成長を遂げ、7万5700室を展開し、営業利益率 30% という高い収益性を誇ります (2024年8月末時点: 参考記事) 。
1ホテル1イノベーション
2022年に創業者の長男である元谷一志 (もとやいっし) 氏が代表に就任し、アパホテルは父のカリスマ経営から 「自ら考える組織」 への転換を目指してきました。その旗印が 「1ホテル1イノベーション」 です。
1ホテル1イノベーションは、ホテルを新たに開業する度に1つ以上の新しい要素 (イノベーション) を取り入れることです。
アパホテルは、新規開業のホテルのことをラボ (実験室) であるという考えのもとに、ホテルの設備などのハード面、サービスのソフトの両方から進化を追求します。
1イノベーションの具体例
例えば、2024年に開業した 「アパホテルステイ <富山> 」 では、オールインクルーシブやサウナ機能の充実を図り、長期滞在ニーズに応えています。
他には、細かなアイデアとしては 「左利き対応ブース」 、「女性専用ランドリー」 、「おやすみスイッチ」 など、宿泊客の快適さを高める施策を導入しました。
アパホテルは成功した 「1イノベーション」 を、他の場所のホテルに横展開していきます。
アパホテルに学べる革新術
では、アパホテルの 「1ホテル1イノベーション」 から、ビジネスパーソンが学べることを掘り下げていきましょう。
仕事に携わる際、マンネリに陥ることなく自らのスキルや知識を広げ続けることは、ビジネスパーソンにとって大事です。
アパホテルが掲げる 「1ホテル1イノベーション」 は、私たちの日々の仕事に 「1仕事1イノベーション」 を取り入れ、新しい視点や方法を常に追求する姿勢の重要性を教えてくれます。
1仕事1イノベーション
アパホテルの 「1ホテル1イノベーション」 は、ホテルの新設や改修のたびに、1つ以上の新しい取り組みを加えるというアプローチでした。ビジネスホテル業界内での独自性やアパホテルらしさを打ち出し、新しい顧客価値をつくることで顧客満足度の向上を目指す戦略です。
例えば、富山にあるアパホテルでは 「オールインクルーシブ」 や 「サウナ設備の充実」 を図りました。ホテルでの宿泊という基本価値に加え、新たな利用体験を加え、リピーターを増やす成果をあげています。
アパホテルの 「1ホテル1イノベーション」 を、ビジネスパーソンができることに当てはめれば、新しい仕事に関わる中で、1つ以上はこれまではやったことのない挑戦を必ず入れるということです。仕事に少なくとも1つの新しい挑戦を取り入れる 「1仕事1イノベーション」 を目指すことにによって、スキルや経験の幅が広がり、仕事の質も向上するでしょう。
例えば、営業担当者が新規顧客にアプローチする際、従来とは異なる商談スタイルや提案方法を試みるというのはどうでしょうか。
他には、定期的な部内報告会がある場合、資料の見せ方やデザイン、発表方法に新しい要素を試すことにより、聞き手の関心を引く方法が見つかり、自分の表現力を磨く機会にできます。
日常業務に 「小さなイノベーション」 を
アパホテルでは、1ホテル1イノベーションの例として 「左利き対応のブース」 や 「おやすみスイッチ」 といった、見落とされがちな小さな配慮を加え、お客さんにとっての使い勝手の良さを向上させています。
こうした小さな変化は目立たず、お客さんは今までとの違いに気づかないレベルかもしれませんが、小さなことでも1つ1つが積み重なり、やがては顧客体験に大きく影響するのです。
ビジネスパーソンも、日々の業務に小さな工夫を取り入れることで、業務効率や顧客対応の質を高めることができます。例えば、メールの最初か最後に一言だけでも相手を慮るメッセージを添えることによって、メールの受け手の印象に残りやすくなるでしょう。または定例の会議でいつも同じ議題で変化がない会議に、あえて新しい議題や視点で意見を言ってみるというぐあいです。
いずれも取り組みは小さくても、少しの配慮や工夫によってコミュニケーションをより良くし、相手からの信頼関係や仕事の評価に好影響を与えるでしょう。
「実験」 としての新しい取り組み
アパホテルは1ホテル1イノベーションにおいて、各ホテルを 「実験室 (ラボ) 」 と位置付け、新しい要素を実験してみることを積極的に試しています。
私たちビジネスパーソンも日常業務を自らの 「実験の場」 として活用できます。
例えば、新しいやり方やツールを使ってみて、今までの方法と変えてみるという試みもそのひとつです。もちろん、いきなりはじめからうまくいくとは限らず、むしろやり方を変えると一時的には仕事の効率が下がることもあるでしょう。
しかし長い目で見れば、新しい取り組みへの試行錯誤からは恩恵が得られます。もしアイデアに効果があれば、他の業務にも展開でき、失敗したとしても学びの材料となります。
例えばのイメージは、チームでの会議において意識してホワイトボードを使った新しいファシリテーション方法をやってみたり、オンラインの会議なら会議ツールを試してみるというふうにです。はじめは慣れない方法でぎこちないファシリテーションになるかもしれませんが、慣れれば議論を活性化でき、会議の生産性が向上していくでしょう。
従来の方法では見えてこなかった課題や改善点も見つかるかもしれません。
経営者目線を意識する
アパホテルでは、若手社員が現場で気づいた改善点を共有できる環境を整え、組織全体で 「経営者目線」 を意識するようにしているとのことです。社員がお客さんに近い立場で考えた改善案を尊重し、トップの目線で実現可能かを判断していく仕組みを目指しています。
これは個人の仕事においても示唆を与えてくれます。日々の業務において 「この方法で本当に最善のやり方なのか?」 と自問し、お客さんや組織全体にプラスとなるアイデアを見出そうとする姿勢が、まわりからの信用を得ることにつながるのです。
常に改善を目指す姿勢になる
アパホテルの 「1ホテル1イノベーション」 は、一度きりの取り組みにとどまらず、継続的に改善を行う姿勢を表しています。
アパホテルがひとつのホテルでの成功事例を他のホテルに展開し、そこで安住せずにまた次のホテルで別の新たな改善策を模索しているように、ビジネスパーソンも、仕事での成功体験を他の業務にも応用しつつ、新しい挑戦を怠らないことで自己成長を続けられます。
たとえば、過去に成功したマーケティング施策での仕事の進め方や体系立てたフレームワークを次の施策に応用するというようにです。
まとめ
今回は、アパホテルのユニークな取り組みである 「1ホテル1イノベーション」 を取り上げ、学べることを見てきました。
最後にポイントをまとめておきます。
- 「1仕事1イノベーション」 への挑戦: アパホテルでは 「1ホテル1イノベーション」 という、新しいホテルには1つ以上の挑戦をする取り組みを実施している。ビジネスパーソンも 「1仕事1イノベーション」 として、業務に新しい方法や視点を積極的に取り入れることで、スキルや経験の幅が広がり、顧客満足度や業務品質を高めることができる
- 実験から学びを得る: ビジネスパーソンも仕事を 「実験の場」 と位置づけ、新しい方法を試し続けることが重要。たとえば新しいツールや手法を試し、効果があれば他の業務に展開する。失敗しても学びを得ることにより、業務の改善や成長が期待できる
- 継続的な改善を目指す姿勢の重要性: ひとつの成功体験に安住せず、他の業務への応用や新たな挑戦を怠らず継続することで、自己成長を図り、より高い成果を追求する姿勢を持つ
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