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投稿日 2015/03/07

書評: 振り込め犯罪結社 - 200億円詐欺市場に生きる人々 (鈴木大介)




2000年代の前半頃より社会問題として続くのが、振り込め詐欺です。


被害規模が増え続ける振り込め詐欺


当初はオレオレ詐欺と呼ばれ、その後 2004年に振り込め詐欺と名称が変わりました。

認知の徹底、警察や金融機関での対策がなされるものの、被害は減るどころかむしろ依然として増え続けている状況です。
投稿日 2015/02/28

書評: 日本人が知らない集団的自衛権 (小川和久)




集団的自衛権をどう考えるかについて参考になるのが、日本人が知らない集団的自衛権 という本です。



日本の集団的自衛権を考える2つのポイント


著者は軍事アナリストである小川和久氏です。本書で提起されているのは次の2つです。小川氏は、この2点に尽きると強調しています。

  1. 国家の平和と安全をどう確保するのかを考えること
  2. 日本の防衛力の現状を直視すること

問われているのは、どんな防衛力によって平和と安全を保つのかです。
投稿日 2015/02/25

書評: 夜の経済学 (飯田泰之 / 荻上チキ)




一般的に、性風俗や売春は本当の実態はあまり語られず、なんとなくのイメージで捉えられている世界ではないでしょうか。

  • 風俗業界の市場規模はどれくらいなのか?
  • 自らの体を売る女性はどういう人たちで、一方の買う男性はどうなのか?どのくらいのお金のやりとりがされているのか?
  • 性風俗と売春ではどんな違いがあるのか?

夜の経済学 という本が興味深く読めたのは、夜の世界について、著者らが自らデータを集め、統計的な処理をし、データ分析結果から見えてくることを考えるスタンスにあったからでした。
投稿日 2015/02/21

昭和恐慌というデフレからの脱却の歴史がおもしろい




書籍 デフレと円高の何が 「悪」 か の第5章は 「歴史は繰り返す ーー 昭和恐慌から学べ」 です。書かれていた内容が興味深かったのでご紹介します。



本書では、昭和恐慌という歴史的なデフレ発生の経緯、デフレ不況からどのように脱却したかがわかりやすく書かれていました。

「昭和恐慌から学べ」 と章の本書のサブタイトルにあるように、経済評論家である上念司氏は、現在にも示唆に富むものであると指摘します (本書の上梓は2010年) 。
投稿日 2015/02/14

書評: 普天間問題 (小川和久)




2015年2月12日、安倍首相が施政方針演説を行ないました。

【首相施政方針演説全文】 「日本は変えられる。昭和の日本人にできて、今の日本人にできないわけがない」 - 産経ニュース


施政方針演説で普天間基地に言及


演説の中で、沖縄の普天間基地移設についても言及しています。安倍首相は、普天間飛行場 (基地) の辺野古沖移設への実現に、あらためて強い意欲を示しました。

以下は、上記リンク先からの引用です。

現行の日米合意に従って、在日米軍再編を進めてまいります。

3月末には、西普天間住宅地区の返還が実現いたします。学校や住宅に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間飛行場の返還を、必ずや実現する。そのために、引き続き沖縄の方々の理解を得る努力を続けながら、名護市辺野古沖への移設を進めてまいります。

今後も、日米両国の強固な信頼関係の下に、裏付けのない 「言葉」 ではなく実際の 「行動」 で、沖縄の基地負担の軽減に取り組んでまいります。


普天間基地の何が問題なのか


普天間基地問題とは、一体何が問題なのでしょうか。

そもそも、普天間基地とはどんな基地なのか?なぜ移設するのか?移設先は沖縄県内なのか県外なのか、それとも国外なのか?

こうした疑問が解消でき、普天間基地についての理解に参考になったのが、書籍 この1冊ですべてがわかる 普天間問題 でした。著者は軍事アナリストの小川和久氏です。
投稿日 2015/02/07

書評: 日本人のための 「集団的自衛権」 入門 (石破茂)




自民党 石破茂氏の著書 日本人のための 「集団的自衛権」 入門 が、わかりやすく書かれた本でした。タイトルに 「入門」 と入っている通り、集団的自衛権についての基本が理解できます。


集団的自衛権の前に、理解すべきは 「集団安全保障」


自衛権を理解するためには、「集団安全保障」 という考え方をまずは理解する必要があります。

集団安全保障とは、国同士で武力行使をしないという約束をしているにもかかわらず、約束を破り侵略するような乱暴な国が現れたら、その他の仲間の国々が一致協力して平和を取り戻さなければいけない、という考え方です。

対立している国家をも含め,世界的あるいは地域的に,全ての関係諸国が互いに武力行使をしないことを約束し,約束に反して平和を破壊しようとしたり,破壊した国があった場合には,他のすべての国の協力によってその破壊を防止または抑圧しようとする安全保障の概念です。
投稿日 2015/02/01

書評: 戦後史の正体 (孫崎享) 。日本の戦後史を、アメリカに対する 「自主独立派」 と 「対米従属派」 の視点で俯瞰する




今年2015年は、終戦70周年という節目の年です。

2015年が始まって1ヶ月、戦後70年ということで注目を集めているのは、安倍首相の 「談話」 がどういった内容になるのかです。

もちろん、時の政権が先の戦争に対してどういったスタンスなのかを注目されるのは当然でしょう。しかし、文言をどうするかなど、あまりに細かい点がフォーカスされすぎています。

戦後70年というタイミングで振り返るべきは、その70年という中身であるべきです。すなわち、1945年から現在までの日本の歩みを総括することです。政治家や政権に任せるのではなく、日本国民の一人ひとりが戦後の歴史を知ることです。
投稿日 2015/01/31

書評: 原発ホワイトアウト (若杉冽)




小説 原発ホワイトアウト をご紹介します。



霞ヶ関の現役官僚による内部告発小説として話題になり、2013年のベストセラーの1つです。

ストーリーの舞台は、2012年12月に行われた衆議院選挙後の日本です。原発再稼働か脱原発かで国民が二分する中、電力業界・経済界・政界が三位一体となり、虎視眈々と再稼働に向けて暗躍する様が描かれています。

内部告発小説と言われたのは、著者が現役のキャリア官僚であること (本名や詳細は伏せています) 、さらには内容が関係者しか知り得ないようなものでリアルに見えることです。
投稿日 2015/01/04

書評: 「病院」 がトヨタを超える日 - 医療は日本を救う輸出産業になる! (北原茂実)




「病院」 がトヨタを超える日 - 医療は日本を救う輸出産業になる! という本には、医療崩壊の正体は 「医療費崩壊」 であると指摘されています。


このエントリーで書いていることです。

  • 医療崩壊の原因
  • 医療費を増やすという発想の転換
  • 日本の国民皆保険の現状と問題
投稿日 2015/01/03

全ての調査は正しいし、全ての調査は見誤る可能性があるという話




2014年12月、第47回衆議院議員選挙 (衆院選) が行われました。


Yahoo! が検索データから選挙予測を実施


選挙の事前予想では、昔は有権者への電話調査や該当でのインタビューが中心でした。しかし、最近ではネットの予想調査も目にするようになっています。
投稿日 2015/01/02

娘の緊急入院で感じた 「利用者」 と 「医療側」 の乖離




クリスマス直前に娘が緊急入院


昨年2014年のクリスマス前に、1才3ヶ月の娘が入院をしました。幸い、1泊の入院で済んだものの、救急車を呼んでの緊急入院でした。

入院先は近くの大学付属病院で、小児病棟です。入院した当日の夜は、妻がそのまま娘と一緒に泊まりました。私自身は、その日の面会時間が終わるまでと翌日の午後までの退院まで付き添いました。


入院に付き添って感じた病院の居心地の悪さ


短期間ではあったものの、娘の入院に付き添ってあらためて感じたことは、病院はなんとも居心地の良くない場所だということでした。
投稿日 2014/12/31

書評: 介護退職 (楡周平)




楡周平の小説 介護退職 が、ストーリーのおもしろさだけではなく、社会問題の視点で考えさせられる内容でした。



小説のストーリー設定


以下は内容紹介からの引用です。

三國電産北米事業部長の唐木栄太郎は取締役の椅子も目前。妻と名門私立中を目指す息子と家族三人で、都内の自宅で絶好調の年末を迎えていた。

そんなある日、秋田で独居する老母が雪かき中に骨折したと電話が入る。その時は、まさかそれが、奈落への号砲とは知る由もなかった…… 。

平穏な日々を崩壊させる "今そこにある危機" を、真正面から突きつける問題作、遂に文庫化!


母親の骨折が負の連鎖へ


主人公の母親は76才で、秋田でひとり暮らしをしています。ストーリーは、以下のような連鎖で、主人公と家族は経済的にも精神的にも追いつめられていきます。
投稿日 2013/08/18

書評: 満員電車がなくなる日 - 鉄道イノベーションが日本を救う (阿部等)




今回は、満員電車についてです。エントリー内容は以下です。

  • そもそもの満員電車の問題
  • 書籍 「満員電車がなくなる日」
  • どうすれば満員電車をなくせるか
投稿日 2013/07/28

ネットがもたらした 「注意力散漫な脳」 は進化?退化?




カジケンブログにある以下のエントリーを、興味深く読みました。

参考:テレビドラマって、もう一話15分で良いんじゃないの?|カジケンブログ


テレビドラマは15分くらいが最適?


エントリーの内容は、自分の SNS 上で話題になっていた NHK の連続テレビ小説 「あまちゃん」 についてでした。オンデマンドで見始めたを機に、テレビドラマは15分くらいが最適なコンテンツ時間なのではと考えるようになった、という内容です。

以下は該当箇所の引用です。

まず最初の取っ掛かりとして、15分だったらとりあえず一話ぐらいは観てみようかなという気になりました。YouTube も一つの動画の長さが最大10分なのでその感覚に近いかも。

逆に言うと、45分や1時間とかだったら観ていなかったと思います。実際今までのテレビドラマを観なかったのは、それが原因。

あと、一話の単位が15分だとちょっとしたスキマ時間で観れます。15分だからこそ 「あ、今ちょっと時間あるから次の回を観てみよう」 となる。それこそ友達に薦められた YouTube の動画をさらっと観るみたいな感じで。

これが45分とかだったら、例えば会社の昼休みをほとんど使っちゃうわけでかなりの決断になるし、この違いは大きい。
投稿日 2013/07/27

ネット選挙解禁で実感した民主主義に悪影響を及ぼす 「フィルターバブル」




2013年の参院選より、ネット選挙が解禁されました。公示後も投票日前日までは、党や政治家、有権者がネット上で選挙運動ができるようになりました。

投票日までのネット上の選挙に関する情報は、ネット選挙解禁前に比べて増えました。ネットに選挙関連情報が増えること自体は望ましいことです。

一方で、今回の選挙で思ったのは、ネットでのパーソナライズ化により起こる 「フィルターバブル」 でした。
投稿日 2013/07/21

書評「日本の景気は賃金が決める」

「日本の景気は賃金が決める」という本がわかりやすくおもしろかったのでご紹介。

アベノミクス解説本としてだけではなく、経済がより理解できる内容になっています。とても丁寧にデータを積み上げて書かれていて、説得力もありました。何よりデータドリブンなところに好感が持てる本でした。

今回のエントリーでは本書を通じて学んだことを取り上げています。

■物価デフレよりも深刻な「賃金デフレ」

著者はモノやサービスの価格が継続的に下落する物価デフレよりも、深刻なのは「賃金デフレ」であると言います。物価デフレと賃金デフレが1998年以降で同時に起こっており、下落が大きいのは賃金デフレであると。

本書で紹介されていた総務省と厚生労働省のデータを見ると、1997年から2011年までにおいて、
  • 消費者物価指数(コア指数):年平均0.23%下落
  • 賃金指数(現金給与総額):年平均0.92%下落
と、賃金が4倍下がっています。なお、賃金指数とは基本給に残業やボーナスも含んだ全ての給与を合計したもの。1人当たりの賃金(給与)の動向を示す指数です。

物価よりも賃金の下落が大きかったことは重大な意味があります。物価下落を上回るスピードで賃金が下がったということは、両者の差だけ生活が苦しくなったということ。消費が伸びず、不況がますます深刻になり、それが賃金下落につながる。消費が伸びないという悪循環になり、賃金デフレが起こったのでした。

なぜ賃金デフレになったかには日本企業の構造的な問題があると著者は指摘します。

1998年〜2008年までは資源価格が上昇した期間でした。輸入物価は26.9%上昇しこの間の輸入依存度平均は12.1%なので、2つを掛け合わせた3.3%分、国内の物価を押し上げました。ですが、GDPデフレーターでみた国内物価は同期間でマイナス14.5%。輸入物価が上昇したのであれば、その分だけ国内物価が上がってもよさそうなのに、現実は逆だったのです。

こうした状況で起こったことは、多くの特に中小企業において、資源/材料高に伴うコスト増をモノ/サービスの値上げにつなげられず、利益を確保するために賃金を下げたのでした。賃金デフレが深刻化した構造的な問題です。

■構造的な賃金格差:「男・大・正・長」vs「女・小・非・短」

賃金デフレは皆に一様に起こったのではなくバラツキがありました。賃金格差が拡大し、著者はここに問題があると指摘します。

賃金の格差はあるパターンで見た時に顕著に現れます。それが「男・大・正・長」vs「女・小・非・短」。男性で、大企業で働き、正規雇用、長年勤務している人は高い賃金を得ています。反対の、女性で、中小企業で働き、非正規雇用、勤務年数が短い人は賃金が低い。賃金格差には4つの項目があり、①男女、②企業規模の大小(大企業or中小企業)、③正規/非正規の雇用形態、④勤続年数の長短。4つの条件のうち、1つでも多く当てはまるほど格差は大きくなります。

本書のデータで見るとよくわかります。厚生労働省の「平成24年版労働経済白書」によると、男性で正規雇用フルタイム労働者の平均年収を100とすると、
  • 女性・正規雇用・フルタイム:72
  • 男性・非正規雇用・フルタイム:58
  • 女性・非正規雇用・フルタイム:43

ちょっと話が脱線しますが、私の意見としては賃金格差が生じるのは「あり」と考えています。ただし、格差要因が仕事に生み出せる付加価値や能力によっての場合です。今後はますますのグローバル化やITによって、高付加価値の人材とそうではない人材の所得は自ずと差が大きくなると思っています。一方で、本書にあるような、男女・大企業/中小・正規/非正規・勤続年数などの、付加価値とは異なる条件で賃金格差が生じ、大きくなるのは問題と考えます。

■日銀などの中央銀行は、金融引締は得意・金融緩和は苦手

本書からの3つ目の学びは、中央銀行による金融引締と金融緩和について。まず、不況が深刻な場合に日銀などの中央銀行が行なう金融政策は基本的に2つあります。
  • 政策金利を下げる。企業や個人がローンを組む金利に影響を与えることで、企業や個人がお金を借りやすくする
  • マネタリーベース(日銀が直接コントロールできる貨幣量)を増やすペースを高め、民間銀行が企業/個人にお金を貸しやすくする
金融引締はこれとは逆のことを行ない、企業や個人がお金を借りにくくする政策です。

なるほどと思ったのは、中央銀行は金融引締は得意だが、金融緩和は苦手という構造問題があるということ。日銀が金融緩和で、企業や個人がお金を借りやすい状態にしたとしても、実際に借りさせることはできません。あくまで企業や個人がお金が必要という状況が必要です。

本書にあった犬の首輪と手綱の例がイメージしやすいので引用しておきます。
金融政策は、犬の首輪につけた手綱を操るようなものだといわれることがあります。早く走ろうとする犬の手綱を引っ張って、犬にブレーキをかけるのはやりやすい。金融引締がこれに当たります。

他方、犬をもっと遠くに行かせたいと思って、手綱を緩めても、犬自身が遠くに行こうとしなければ、効果はない。金融緩和はこれに近い感じの政策です。

引用:書籍「日本の景気は賃金が決める」

中央銀行が消費者物価上昇率の目標を設定する「インフレターゲット」。黒田日銀は15年までに2%の上昇率を目標に掲げています。インフレターゲット(目標)は、もともとは「高すぎるインフレ率を抑制するための金融引締の手段」であり、今の日銀はその逆のインフレ率を高めるための金融緩和の手段として設定されています。

★  ★  ★

最後にもう1つだけ。相対的貧困率という指標があります。これは、日本の全国民の年収を順に並べ、真ん中の人の年収(中央値)に対して、半分よりも少ない年収の人が「相対的貧困」です。

相対的貧困率を子育て支援の視点で見た時、政府による所得再配分の前後で見ると、なんと、再配分後のほうが相対的貧困率が上がるのです。本書には再配分前の子供の相対的貧困率は12.4%、配分後は13.7%とあります。つまり、日本政府による支援が何もないほうがまだましということ。これは日本の社会保障がいかに高齢層に偏っているかを物語っています。日本政府は子育て世帯の家計を結果的に悪化させているのです。OECD加盟先進30ヶ国の中で日本だけです。




投稿日 2013/07/20

ネットの本質から考える「ネット選挙活動解禁」に期待したいこと

インターネットの本質は以下の3つだと思っています。
  • 個の情報発信
  • 双方向性
  • 履歴が残る
簡単に言うと、個人やモノなどの個のレベルでネット上に情報発信ができ、情報は個々の間で双方向に流れる。また、アクセスや表示、ウェブページ自体もアーカイブされることで履歴がデータとして残る。

今回の参院選からネット選挙が解禁されました。現時点でのネット選挙解禁について考えてみます。

ちなみに、ネット選挙解禁と言っても、できるようになったのはネットによる選挙活動であり、ネットからの投票はできません。ネット選挙運動解禁で期待される効果の1つに投票率アップがありますが、ネット選挙投票もできるようになると投票率は上がるでしょう。ただ、アメリカでもまだネット投票は実現されておらず、現状では難しい印象です。個人的にはせめて投票券を往復はがきにして、はがき投函で投票できるといいなと思っています。

■個の情報発信

さて、本題。ネットの本質で書いた1つ目の「個の情報発信」。これをネット選挙解禁に当てはめてみます。

ネット選挙解禁により、各政治家が自分のホームページ、ブログ、Facebookやツイッターなどから、選挙公示後も情報発信ができるようになりました(更新できるのは投票日前日まで)。

従来であれば、公示後の立候補者の主な選挙活動は、ポスターの掲載、ビラ配布、街頭演説、選挙カーによる連呼。いつも思っていたのが、これらの活動は多くの有権者にとっては深い情報があまりわからないということ。特に接触する機会が多いボスターや選挙カーからわかるのは、立候補者の名前、所属政党、抽象的な主張くらい(街頭演説はずっと聞いていれば、その政治家は何をしたいのかはわからなくはないですが)。

つまり、政治家を選ぶための情報が選挙活動量やかけたコストの割に足りない。結局、投票する政治家を選んだ理由が雰囲気、みたいな状況になります。ポスターの感じや選挙カーの名前・よろしくお願いします連呼だけの印象から選ばれるという。

「個の情報発信」ということで期待したいのは、政党よりも政治家個人について、この政治家の主張/活動は共感できるので「この人を応援したい」という政党依存からの脱却です。支持政党とは別に応援したい政治家ができやすい環境ができるようになってほしい。そうなると、政治が身近な存在になります。政治家が主張することは社会の問題と解決なので、自分事して考えられるようになることで政治参加意識の高まり、ひいては投票率アップまで。

マスメディアに出る政治家は各党の代表、もしくはそれに近い限られた政治家だけです。ネットも選挙活動に使えることで、これまでは2割の政治家がマスメディアで8割の情報発信をしていたのが(この数字はイメージです)、多くの政治家がネット上で主張できることで、多様な意見/議論が生まれることを期待です。

■双方向性

ネット選挙解禁によりもう1つ期待したいのが、政治家と有権者の双方向のやりとりです。従来であれば、政治家→有権者への一方向でのやりとりが中心でした。有権者の声や意見がなかなか政治家サイドに届かない。政治家とのタウンミーティング(対話集会)も存在しますが、参加できる人、そもそも存在を知ることも難しかったりします。

ネットという政治家とコミュニケーションできる仕組みが増えたので、ここでも政治家を身近に感じるようになったり、政治との距離感が縮まる。結果的にネットでの双方向性から有権者の声が政治により反映されることを期待したいです。

■履歴が残る

オンラインでの活動はオフラインに比べて履歴が残りやすい特徴があります。

ネット選挙の視点で考えると、政治家のネット選挙活動にログが残ることになります。街頭演説であれば、情報としてはフローですが、演説動画をネット上のYouTube等にアップすればストック情報として蓄積されます。

政治家にとっては自分の発言や情報発信の履歴が残るので、それだけへたなことは言えない。対抗候補者の批判も根拠が求められたりなど、こうした積み重ねにより選挙活動の質の向上を期待したい。

もう1つ期待したいのは、選挙活動におけるデータ活用やマーケティング視点の取り入れです。履歴が残るということは、データとして蓄積されます。データを使って、政治家にとっては自分の選挙活動の効果を可視化できたり、分析結果から次の施策を立てる。データを使った選挙活動の仮説検証ができるようになれば、もう少し科学的な選挙活動になってほしいなと。

選挙活動におけるデータ活用は今後の課題になるし、できる政治家と取り組みをしない政治家では、支持だったり影響力の差が出てくるはずです。

■その他の期待

ネット選挙解禁について、①個の情報発信、②双方向性、③履歴が残る、の視点で考えてみました。あらためて思うのは今回からのネット選挙解禁により期待したいのは、
  • 政治家/党が身近な存在になり、より知ることで選びやすくなる
  • 有権者の政治参加の促進
  • 投票率アップ(特に若年層)

3点目の投票率については、今回はもしかすると下がるように思っていますが、これはネット選挙解禁のプラスの効果よりも、自民圧勝の各種報道や、選挙の焦点が曖昧(自民以外の等の存在感が低いように思う)などの構造的な理由で、有権者の特に浮動票層の投票率が減ると予想しています。

ネット選挙による投票率アップの効果は、明確な支持政党/政治家がいない浮動票だったり、支持政党はあるけど投票に行くのが面倒と思っている人たちに対して、投票所に行ってもらう点にあると思っています。

アメリカ大統領選では、オバマの奥さんであるミシェル夫人がツイッターのダイレクトメッセージで「投票に行きましょう」というメッセージが有権者に送られたとのことで、ファーストレディから直接そう言われれば効果も大きいと思いました。オバマに入れてください、ではなく投票に行こうという呼びかけ方もうまい。

ネットでの選挙活動が一般的になると、ネットとマスメディアの役割もこれまでとは違うものになるはず。マスメディアの報道がネットでの政治家の活動の後追いになるのではなく、マスメディアならではの、各種争点の整理だったり分析が報道されれば、ネットvsマスメディアではなく、ネット&マスメディアとお互いが補う構図です。

今回の参院選で日本でもようやくネット選挙解禁がされました(公示後〜投票日前日)。初のネット選挙ということで、ネットでできること、課題も見えてきます。投票が終わり選挙結果が出れば、ネット選挙活動が終わりではありません。政治家にとっては、むしろスタートであり、今後もどれだけ自分の主張や活動をネットも使って、有権者に知ってもらうか。有権者と政治家の双方向のコミュニケーションを続けられるか。ネット選挙解禁をきっかけに日本の政治の質が上がり、長い目で見て日本の社会をより良いものに変えていってほしいです。

投稿日 2013/07/15

書評「テレビが政治をダメにした」:参院選の前に読んでおきたい1冊

書籍「テレビが政治をダメにした」(Kindle版はこちら)の著者は、「すずかん」こと鈴木寛氏。民主党政権で文部科学副大臣を務めた政治家です。大学で教授などの歴任もあり、政治家の視点だけではなく、様々な学者の引用もあり、説得力のある内容でした。来週は参院選の投票日でもあり、本書の内容は知っておくべきことだと思いました。

驚かされたのは政治家の一部に「テレビ政治家」という存在がいること。本書ではテレビ政治家の実態が具体的に書かれています。内容は国民にはあまり知られていないものだと思います。

■本来の役割よりも番組出演を重視する「テレビ政治家」

テレビ政治家はテレビ出演を選挙活動の一つと考えており、出演番組のテーマや内容に関係なく、討論番組だけではなく「ビートたけしのTVタックル」などのバラエティ番組にも積極的に出演します。

問題だと思うのは、単に出演するだけではなく、所属する党の方針とは違った発言を持論として展開すること。本書では具体的なケースがいくつか紹介されています。
  • 民主党内の会合で消費増税の議論で、議論が積み重なり取りまとめ段階になってようやく現れるのがテレビ政治家。なぜならこの時になってはじめてテレビカメラの取材が入るため。カメラがまわっていることを確認すると突然手を挙げ立ち上がり、司会の制止を振り切り、テレビカメラに向かって演説を展開し始める。撮影が終了すると、会合はまだ続くにもかかわらず、テレビ政治家は会場からいなくなる。今度は会場の外でテレビカメラの前で取材を受けている。テレビ政治家はテレビカメラが入らない党内の政策議論にはほとんど参加しない
  • テレビ政治家は国会ではなくテレビ優先の行動を取る。国会のスケジュールは最終的には前日or当日に決まる。しかしテレビ局からすると出演が「前日か当日にならないとわからない」では困る。テレビ政治家はテレビ局側に配慮し、国会の日程が入った場合でも国会ではなくテレビに出ようとする。テレビ政治家はTV出演をしてアピールすることができるし、テレビ局に恩を売ることができる
  • 「TVタックル」などのバラエティ番組に出るには、政党を代表する必要もなければ、首尾一貫した政治姿勢が必要なわけでもない。テレビ局側の編集に任せて、テレビ政治家はテレビが喜びそうなことを喋っていればいいと考えている。視聴率を取るために、テレビ局に期待されたステレオタイプな役柄を演じる

問題は、本来の政治家の役割よりもテレビ出演を重視するだけではありません。テレビ政治家は、日頃、政党ではその問題についての政策論議に十分に関わっていないために、国会の論点とずれているとのこと。さらには事実誤認もあり、適当に番組の流れに沿って、適当に喋る。結果、視聴者にとっては政党を代表して政策を述べているかのように受け取られてしまう。

なぜテレビ政治家はテレビ出演を重要視するのか。理由は視聴率の高い番組に自分が出ることで選挙結果に有利働くから。「TVタックル」のような視聴率の高いバラエティ番組に積極的に出演をしようとします。

政治家の間では「TVタックルに出れば選挙に強くなる」と言われ、筆者によると05年の郵政選挙で、比例復活の当落の明暗を分けたのはテレビ。中でもTVタックルのようなバラエティ番組に出ているかどうかが大きいという分析結果が得られたそうです。

■視聴率至上主義の弊害:メディアの消費対象となる政治

本書のタイトルは「テレビが政治家をダメにした」です。ここまでは本来の職務ではなくテレビ出演を重視するテレビ政治家の実態でしたが、問題はテレビ局側にもあります。本書からわかったのは問題の深さで言うとこちらのほうが深刻ということです。

メディア側の問題点は視聴率至上主義の弊害です。視聴率を上げるためにはここまでやるのかという内容が書かれています。視聴率が取れるのであれば、それを面白おかしく放送する。政治家の発言も視聴率を取れるように編集するようです。
  • 著者が出演した際のケース。重要なテーマに関して政策レベルでどのように対応しているかといったことを話しているのに、カットされた。著者はそのテーマを多くの視聴者に伝えたるために、スタジオに行って多くの話をしたにもかかわらず。テレビではまったく意見をいっていないように放送されてしまう。その一方で放送されるのは、出演者に割り込まれたシーンなどテレビ的に面白いとされるところばかり
  • さらには、番組側は出演者が話している順番すら変えてしまう。収録の前半のテーマで話していたコメントが後半のテーマの中で使われ、後半のテーマで使われていたコメントが前半のテーマで話しているように使われる。Aというテーマについて「いや、それはおかしいですよね」と収録では発言したところ、実際の放送を見ると、Aの話題ではなく、別のBのテーマについて「いや、それはおかしいですよね」と言ったように使われてしまう

政治家の発言も視聴率を取れるように編集するのです。著者は、このようにして視聴率至上主義のもとで政治番組のバラエティ化が加速したと言います。

マスメディアの論調も視聴率や雑誌/新聞であれば発行部数をとれるかでコロコロ変わります。本書で印象深かったのが、視聴率が取れる限りにおいて、政治家や党が「消費の対象となる」という指摘。

支持率が高い間は政治家や党をもてはやして視聴率を上げようとするが、支持率が低くなる手のひらを返したように批判の対象に。バッシングの対象として叩く。バッシングすることで視聴率が稼げる。視聴率を上げるために消費し尽くしたとなれば、次にまた別の政治家を持ち上げ、人気に陰りが出ると、バッシングをする。

政権交代すらも消費の対象になります。支持率が落ちた政権では、マスメディアからことごとく叩かれるようになる。政権が一年ごとに次々に変わる要因でしょう。

テレビ局の視聴率至上主義を象徴する発言が本書にはありました。3.11の震災後のエピソードで、以下は本書から引用です。
あるテレビ局のプロデューサーからは耳を疑うような視聴率至上主義の返事が返ってきたのでした。

「水素爆発の映像を流せば視聴率(数字)が取れる。繰り返し流していても数字が取れる。数字が取れているんだし、会社のトップもそれを容認している」

(中略) 緊急時には災害対策基本法下で防災機関としての役割を担うはずのテレビメディアは、そんな状況になっても視聴率至上主義のままで、自分たちの役割を果たさなかったのです。

それどころか、救える命も救えないという事態を巻き起こしたのです。燃料や薬が届かないことで病院機能や搬送体制を維持することができず、多くの命が失われているというのも大事な事実です。しかし、そのことはテレビで大々的に報道されることはありませんでした。メディアの非を自らが認めることになりますから。

引用:書籍「テレビが政治をダメにした」

■問われる視聴者のメディアリテラシー

テレビ政治家は知名度や得票率を上げるためにテレビ出演を重視する。時には番組に都合の良いことしか言わない。テレビ局側も視聴率を上げるためにはここまでやる。テレビ政治家もテレビ局も得票率と視聴率を上げるというインセンティブがあり、利害が一致します。

ただ、「テレビ政治家やテレビ局が悪い」だけでは状況は変わらないように思います。本書を読んであらためて思ったのは、私たち視聴者側にも問題があるのではということです。視聴率が上がるということはそれだけ多くの国民がその番組を視聴しているということです。(なお、今回のエントリーではビデオリサーチの視聴率調査は正しい前提としています)

TVタックルのようなバラエティ化した政治番組を視聴者が見る→視聴率が上がる→テレビ政治家がバラエティ番組出演を重視する→テレビ局側もさらに視聴率を上げるためにバラエティ化を加速させる。

「テレビが政治家をダメにした」のは元を正すと視聴者側にも責任がある。もし、政治を正しく伝える番組の視聴率が上がり、バラエティ番組に人気がなければ、上記の悪循環は起こらないはず。つまり、私達ひとりひとりのメディアリテラシーの問題もあると思います。

本書で紹介されていたデータです。日本は、先進民主主義国の中ではテレビへの信頼度が高いようです。国際プロジェクト「世界価値観調査2005」によると、非常に信頼する、または、やや信頼すると回答した人々の割合から、あまり信頼しない、まったく信頼しない人々の割合を引いた数字が、80カ国中、日本は、中国、香港、イラクについで4位。具体的には、日本は+37.9%、米国は-35.3%、イギリスは-34.6%、オーストラリアは-64.5%。日本においては、テレビがいかに世の中に影響を与えているのかがよくわかります。

■あるべき政治家/メディアの役割

本書の著者である鈴木寛さんの主張で同意だったのが、政治家の役割についてでした。以下はその部分の引用です。
政治家の役割とは、「複雑な世の中の課題に優先順位を付けること」です。多くの人の利害がからみ、多様で多岐にわたる選択肢がある複雑な課題の中から、この国にとって現在に必要な解決策の優先順位を提示し、進めていくことなのです。

それは白とも黒ともはっきりとしない優先順位になることだって往々にしてあります。多くの人間が関わり、この国を動かしているのですから、そう簡単にはYES、NOではくくれないことばかりなのです。

矛盾や葛藤を抱えながら苦渋の決断さえもする必要がある。それでも、「その優先順位の選択からもたらされる結果については政治責任を負う」ということで政治家の信頼が確保されるのです。

引用:書籍「テレビが政治をダメにした」

しかし、現状のテレビが放送するのは編集で切り取られた部分です。背景や論点、政策議論の経緯だったりはカットされ、Yes or Noを一見わかりやすく伝えるだけ。視聴者も分かった気になってしまう。もう1つ賛同なのが、
本来、ジャーナリズムは、そのステレオタイプを是正するためにあるものです。こういう見方がある、ああいう見方がある。一方でこうした政策もある。とステレオタイプで切り捨てられる部分を拾い上げていく。

すると、多様な情報が議論の俎上に乗ることになり、政治家がどのような背景から優先順位を付けているのかというのが見えてくる。こうした様々な情報に基づいて熟議されることによって、民主主義というのは成立するはずなのです。

引用:書籍「テレビが政治をダメにした」

★  ★  ★

今回のエントリーは長くなったので、最後に問題点を整理しておきます。
  • 政治家本来の役割ではなくTV出演を重視するテレビ政治家が存在する。国会日程よりもテレビ出演を選び、さらには、党内の会合/議論には普段は参加しないため、論点がずれていたり事実誤認の発言をテレビでする
  • メディアは視聴率至上主義から、自分たちの都合の良い発言を政治家に求めたり番組編集を行なう。政治家や党は視聴率を上げるための消費の対象となり、人気に乗じて持ち上げたり、支持に陰りが見えると批判の対象に
  • テレビ政治家とテレビ局/番組の利害の一致、持ちつ持たれつの関係は、視聴者にも責任があるのでは。バラエティ化した政治番組の視聴率が取れるということは、視聴者がそれだけ見ている、楽しんでいるということ。メディアリテラシーがあらためて問われる問題
  • 政治家の本来の役割は、「複雑な世の中の課題に優先順位を付けること」。メディアはここにスポットライトを当てるべきだし、国民もテレビ番組の裏では多様な情報が議論の俎上に乗っており、政治家がどのような背景から優先順位を付けているのかまでを理解する姿勢が大切では

「テレビが政治をダメにした」キンドル版は7月21日の参院選までは100円セール中のようです(もとは840円なので88%OFF)。




投稿日 2013/07/13

Yahoo!のビッグデータ参院選予測から考える「未来予測と選択の余地のジレンマ」

「ビッグデータの正体 情報の産業革命が世界のすべてを変える」という本に、ビッグデータがもたらす3つのパラダイムシフトが提示されています。
  • 限りなく全てのデータを扱う。n=全数
  • 量さえあれば精度は重要ではない
  • 因果関係ではなく相関関係が重要になる

3つ目の因果関係ではなく相関関係が重要は、本書で最もインパクトがある論点でした。ちなみに「相関関係がある」というのは、AとBという2つが同時に起こることで、「因果関係がある」というのは、Aが原因でBが起こることです。

ビッグデータにおいては因果関係よりも、何と何に相関関係があるかさえわかればよく、その組み合わせを見つけることが重要であるという考え方。これまではAとBというわかりやすい相関しかわからなかったのが、大量データをまわすことで、AとTという一見何の関係もない2つに相関があることを発見できるかどうか。なぜAとTにどういう因果関係があるかは気にしないというもの。

■ビッグデータによる未来予測と選択の余地

ビッグデータの活用例として予測があります。大量のデータがあり、数式モデル等も導入することで、データから未来がわかる。一方で、本書で興味深かったのは以下の指摘。
ビッグデータ予測が完璧で、アルゴリズムが我々の未来を寸分違わずはっきりと見通せるなら、我々の行動にもはや選択の余地など存在しないことにならないか。完璧な予測が可能なら、人間の意志は否定され、自由に人生を生きることもできない。皮肉なことだが、我々に選択の余地がないとなれば、何ら責任を問われることもない。

これを実感したのが、Yahoo! JAPANが発表していた、Y!の検索データからの参院選予測でした。ビッグデータが導き出した参議院選挙の議席予測

検索データと、昨年末の衆院選の知見からモデルをつくり、データから選挙結果予測をすること自体は価値のあるものだと思います。

従来の選挙結果予測は、電話調査(RDD)による聞き取りであったり、投票後の出口調査からが主な方法でした。それを、ネットでの検索数から高い相関で出せるようになった。Y!が予測に使ったモデルは異なる2種類があり獲得議席数の予測に若干ぶれはあるものの、データから言える結論は変わらず、おそらくこの予測通りの結果になるのでしょう。

一方で、分析結果がこのタイミングで出ることは選挙にとってよいことなのか、もっと言うと日本の将来(少なくともあと3年はこの規模の選挙はないので)にとって有益なのかは考えてしまいます。

すでに勝負が決まったかのような情報が流れると、「投票してもしなくても変わらない」という意識が出てしまうのではと思います。自民支持者、自民ではない党を支持/投票しようと思っている人にとっても。特に浮動票と呼ばれる特定支持がない層。浮動票をどれだけ確保できるかは自公以外は結果に響く気がしますが、その層の投票率が下がってしまいかねない。

先月の東京都議選の結果は、自民が大勝したのと共産党の議席が増えて野党第一党になりました。投票率が下がったのは主に浮動票で、その分、組織票が強い党が票を集めた。同じ構図が今回の参院選でも起こるのではないかなと。

先に引用した「ビッグデータ予測が完璧で、アルゴリズムが我々の未来を寸分違わずはっきりと見通せるなら、我々の行動にもはや選択の余地など存在しないことにならないか」という指摘が当てはまります。

ヤフーの検索データからの選挙予測は、ビッグデータがもたらすとされるパラダイム・シフトの1つである「因果関係よりも相関関係」の例でもあります。検索と投票に高い相関があり、それを使うことで選挙結果が予測できる。

これまで活用していなかったデータから未来が予測できることは有意義だと思う一方で、「ビッグデータ予測が完璧で、アルゴリズムが我々の未来を寸分違わずはっきりと見通せるなら、我々の行動にもはや選択の余地など存在しないことにならないか」という問題意識は持っておきたいです。


※関連記事

因果関係よりも相関関係:ビッグデータがもたらすパラダイムシフト|思考の整理日記




投稿日 2013/03/09

シニアシフトの衝撃。有望な市場とビジネスモデルを考える着眼点




シニアシフトの衝撃 という本をご紹介します。



エントリー内容です。

  • 飽和しているのは市場ではなく、私たちの頭の中
  • コト消費とモノ消費を連動させるビジネスモデル
  • シニアビジネスの垂直展開と水平展開

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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。