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2018年4月現在、外資系 IT 企業の日本オフィスで働いています。会社のビジネスはグローバルに展開しています。
今回は、グローバル大企業に新卒で入社するメリットとデメリットをご紹介します。
エントリー内容です。
- 本題の前の背景
- グローバル大企業に新卒入社する 「メリット」 と 「デメリット」
- グローバル大企業で働くということ
本題の前の背景
メリットとデメリットの詳細の前に、背景情報です。
就職活動の学生と話をする機会
日本法人では、来年2019年の新卒入社の採用活動が本格的に始まっています。私も、入社を希望する就職活動中の学生と話をする機会がありました。
私は転職による中途入社で今の会社に入っています。新卒でグローバル大企業に入る経験がないため、学生と話をするにあたって、新卒で入ることの意味が語れないと思いました。
実際の新卒入社の知り合いにヒアリング
そこで、知り合いで新卒で入社でした何人かにヒアリングをしました。社内で知っている新卒入社の同僚や、すでに会社を辞め次の転職や起業した元同僚です。
以下は、ヒアリングから特に興味深かった、グローバル大企業に新卒入社するメリットとデメリットについてです (中途入社でも当てはまるものもあります) 。
なお、書いている内容は、ヒアリング内容を私がまとめたものです。全てのグローバル企業に当てはまるものではなく私が現在勤める会社についてからです。文責は私自身にあります。
グローバル大企業に新卒入社する 「メリット」
メリットは次の通りです。
- 世界中の優秀な同僚と一緒に働ける
- 使命感と高い視座を持った経営層から学べる
- マーケットでの勝ち方を学べる
- 最先端の技術を知れる
以下、それぞれについて、ご説明します。
1. 世界中の優秀な同僚と一緒に働ける
本気で世界を変えようと思っている、世界中の優秀な人と一緒に働ける環境はメリットです。
もちろん、社員の全員が 100% そうではありませんが、優秀な人は一定数いるので、彼ら・彼女と一緒に働くと多様な学びを得られます。直接一緒に仕事をしなくても、ディスカッションをしたり、話を聞くだけでも刺激を受けます。
敵にまわると手強いですが、プロジェクトや仕事で一緒になれば心強く、自分を成長させてくれる存在です。
結果、ノウフー (know who) が自分に蓄積します。
この分野について誰が詳しいか、この問題は誰に聞けばいいかが、すぐにその人のことが頭に思い浮かび、チャットやメール等でいつでもコンタクトできる関係は資産です。
2. 使命感と高い視座を持った経営層から学べる
1つめの優秀な同僚と同じようなメリットで、経営陣が社内外で発信する内容や振る舞いからの学びがあります。
彼ら・彼女らに共通するのは、強い使命感を持っていること、そして高い視座で物事を考えたり発言をしていることです。
グローバル企業で社員の人数も多いと、直接会ったり、話を聞く機会は限られます。社内ライブストリーミングやアーカイブの動画を見られるだけでも、貴重な機会です。
3. マーケットでの勝ち方を学べる
自社のやり方からマーケットでの勝ち方を学べることもメリットです。
グローバル企業が展開する商品・サービスにおいて、特にそのマーケットでシェアの高いものから学びです。
例えば、プロダクトサイクル (導入・成長・成熟・衰退) ごとに、どういうアクションをするのか、ユーザー規模の推移、競合の捉え方と対策、どのようにマネタイズするのかを直に見ることができます。
企業買収から、どういう意図なのかの戦略的な買収の背景も知ることができます。買収目的は、その時は理解が追いつかず、後からようやく買収の意味がわかることもあります。
4. 最先端の技術を知れる
グローバル企業は、商品やサービスを世界中で提供しています。商品・サービスに使われる技術や仕組みは最先端のもので、いち早く最先端技術を知ることができるのはメリットです。
実際のユーザーとして技術や商品を使う機会はないとしても、マーケットに普及する前に技術や仕組みを学べる機会があるのは貴重です。
実際にその技術がどのように商品やサービスに使われているのか、商品・サービスの開発チームの思いも含めて、社内だからこそ知れる情報があります。
グローバル大企業に新卒入社する 「デメリット」
一方で、デメリットもあります。
- 特に新卒を重点的に育てる仕組みがない
- 大組織のため新卒入社後の裁量が小さい
- 会社の看板やブランドが、自分の実態以上の価値をつくっていることに気づきにくい
以下、それぞれについて、ご説明します。
1. 特に新卒を重点的に育てる仕組みがない
新入社員研修が充実していない場合、自分で必要なトレーニングを探して受けるかどうかを判断することになります。
自由度が高い反面、意識してキャリアを考えていないと、会社内でしか通用しないスキルが身につくだけです。外や転職後も汎用的に使えるモビリティスキルが得られません。
2. 大組織のため新卒入社後の裁量が小さい
会社や所属チームによりますが、自分のやりたいことができない不自由さが、特に新卒入社後にあります。
単に上司やマネージャーから振られる仕事をこなすだけの状況にしてしまうと、入社前のモチベーションが高いほど、現実とのギャップが発生します。
グローバル大企業に新卒で入社できるのは、基本的には優秀な人です。入社時の期待とは裏腹に入社3年以内に優秀な社員がやめていくのは、もっと自由で裁量の大きい環境を外に求めるケースです。
3. 会社の看板やブランドが、自分の実態以上の価値をつくっていることに気づきにくい
有名なグローバル企業だと、その会社の社員というだけで箔が付きます、社外の人から丁寧に扱ってもらえたり、話を聞いてもらいやすくなります。
メリットでもある一方、キャリアという観点からするとデメリットになります。
会社の看板やブランドによって、自分の実態以上の価値をつくってしまいます。自分の価値が表面的にプレミアム化し、そのことに気づかないと奢りにつながります。
転職者であれば、転職活動を通して自分の正味価値を知るプロセスを通っています。しかし新卒入社は、その経験がありません。気づけないと、会社の看板で自分の価値が実態以上に膨らんでいることを、自分の実力だと勘違いしてしまいます。
4. 給与が高いので、転職候補の会社では給与水準を維持できない
これは新卒入社に限らずですが、グローバル企業は一般的に、業界内や他社の同じポジション (職位) に比べて給与がよいです。会社に勤めている間は、高い給与はメリットですが、転職時には足かせになります。
給与水準を下げたくない場合、転職候補先のビジネスやポジションが魅力的でも、給与で折り合えず、転職が実現しません。
特に、間に転職エージェントが入る場合、彼らは現行の給与を基準に転職候補の相手と交渉をするので、ギャップを埋めるのが難しいです。職位が高いほど、この問題は顕在化します。
転職先で本当にやりたいことがあり、給与水準を気にしなければ問題になりませんが、高い給与が支払われることは、長い目で見れば必ずしも良いことだけではないのです。
グローバル大企業で働くということ
以上のメリットとデメリットからあらためて思うのは、グローバル大企業で働く機会を最大化をいかに実現するかです。メリットを最大限に享受するかです。
大切なのは待ちの姿勢ではなく、主体的に自ら行動することです。貪欲に学び、経験値をため、積極的に人にアクセスし情報を得たり関係を築きます。ノウハウよりもノウフー (know who) です。
会社のブランドによって、自分の価値が実態以上に見えてしまうのはグローバル大企業に勤める限りは避けようがありません。うまく利用する一方、決して奢らず、袖を正し、初心を忘れずに謙虚でいるよう心がけることです。
グローバル大企業に勤めることにより発生するいくつかのデメリットは、ゼロにできないのも事実です。デメリットを受け入れ、最小化できるかです。