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お金 2.0 - 新しい経済のルールと生き方 という本で著者の佐藤航陽氏は、これからの社会は資本主義から 「価値主義」 に変わっていくと指摘しています。
エントリー内容です。
- 資本主義から価値主義へ
- 価値主義での生き方
資本主義から価値主義へ
価値主義とは
以下は、本書からの引用です。
資本主義上のお金というものが現実世界の価値を正しく認識・評価できなくなっています。今後は、可視化された 「資本」 ではなく、お金などの資本に変換される前の 「価値」 を中心とした世界に変わっていくことが予想できます。
私はこの流れを 「資本主義 (capitalism) 」 ではなく 「価値主義 (valualism) 」 と呼んでいます。
(引用:お金 2.0 - 新しい経済のルールと生き方)
価値主義の 「価値」 は、本書では資本主義における価値よりも、もっと広い意味で使われています。
- 資本主義における価値は、人の欲望を満たす実世界での実用性 (利用価値)
- 利用価値に加えて、精神的なものも含む。個人の内面的な感情である、愛情・共感・興奮・好意・信頼など
- 経済的な実用性、人間の精神的な効用 (内面的な価値) 、社会全体にとってポジティブな普遍性を対象にしている
価値主義では価値を最大化する
資本主義の世界では、資本を高めることが目的でした。いかに儲けるかです。一方、価値主義は、価値を最大化することを目指す世界です。
本来、資本とは価値を媒体する存在でした。お金は、価値の保存・交換・尺度 (評価) する手段です。しかし、資本主義が行き過ぎると、手段であるはずのお金を増やすこと自体が目的になってしまいます。手段の目的化です。
価値主義は、行き過ぎた資本主義の揺れ戻しです。本来のあるべき姿である価値を高めることを目的にします。
本書で興味深いと思ったのは、価値を高めておけば、必要に応じて資本など価値の媒体手段を、いつでも手に入れることができるようになるという指摘です。価値をお金に変えたり、必要なモノやサービス、情報、人の助けを得られるというものです。
価値主義での生き方
資本主義では、儲かること、お金のためが人のインセンティブです。価値主義では、以下のように変わります。
- 「儲かること」 から 「自分が情熱を傾けられること」 へ
- 「お金のため」 ではなく、「価値を上げるため」 へ
自分の好きなことに熱中している人ほど、うまくいきやすい世の中に変化していくのが価値主義の世界です。
資本主義と価値主義では逆の因果関係
資本主義と価値主義では、因果関係が逆になります。
資本主義では、個人の利益を最大化する生き方をしていると、自分の価値が上がりました。
価値主義では逆になり、自分の価値を最大化するようにすれば、結果として利益を得られる、高めた価値を利益に変えられます。これが意味するのは、単に儲かるなどの利益だけを優先しても、価値は高まらないことです。
価値を高める生き方
価値を高めるために、どのような生き方をすればよいのでしょうか。
思ったのは、以下の3つが重なるところに、価値を高めるヒントがあることです。
- 自分が熱中できること・好きなこと
- 自分の価値観に沿ったこと (やるべきこと)
- 人から求められること
自分が熱中できるものをやることがベースになり、その中でも、自分の生き方の判断基準として大切にしたい 「価値観」 に合っていること、さらには、人から自分が求められることをやるという考え方です。
この3つが重なるところを生きがいにし、人からの信用を築き、自分の価値を上げるという生き方です。
自分の内なる声を聞く
自分が好きなこと、熱中できることを知るためには、内面の感情を大切にすることです。自分は何をやっているときが楽しいと感じるか、気づけば時間がたつのを忘れるくらいに熱中していることは何かです。
人に何と言われてもやりたいと思うことには、自分をそうさせる何かがあるはずです。無意識に熱中していることに、なぜ自分はそれだけハマることができているかを意識するとよいでしょう。
大切にしたい価値観は何か
自分の価値観があれば、判断基準になり、行動や振る舞いの指針になります。価値観は、やるべきことの明確化でもあります。
私が日々の生活で大切にしたい価値観は4つあります。
- かっこよく生きる (自分が小学校二年生だった目で今の自分を見てかっこいいと思えるか)
- 我が身を正す (誰も見ていないところでも自分を正す行動が取れるか (慎独) )
- より困難なほうを選ぶ
- 大切な人を幸せにする
価値観については、今年2018年の最初のエントリーで書いています。
最後に
今回のエントリーで取り上げた お金 2.0 - 新しい経済のルールと生き方 という本に書かれている 「資本主義から価値主義へ」 は、社会全体の文脈と、個人レベルの文脈の両方で考えさせられる内容でした。
価値を上げるために自分は何をするかは、これからのビジネスのキャリアを考えていくにあたっても、判断基準になります。