
今回は戦略と戦術についてです。
✓ この記事でわかること
- 戦略と戦術の違い
- 戦術の誤り、戦略の誤り
- ある BtoC プロダクトの例 (あいまいなポジショニング戦略)
- 戦略から戦術へ (自分ならこう考える)
今回取り上げるのは戦略と戦術です。2つの違いは何でしょうか?
マーケティングの事例も入れて戦略と戦術について掘り下げています。
ぜひ最後まで読んでいただき、お仕事での参考になればうれしいです。
戦略と戦術
この記事でのメッセージを一言で言えば 「明確な戦略があってこその戦術 (実行) 」 です。
ではまずは、そもそもの戦略と戦術とは何かです。
戦略とは目的を達成するための 「やること」 と 「やらないこと」 の決めごとです。
戦術は、具体的な実行プランです。戦略から、何を・誰が・誰と・どこで・いつまでに・どうやって実行するかが明確になったものが戦術です。戦略を 5W1H で実行に落とし込んでいくといいです。
戦略と戦術の2つの関係は、上位に戦略、下位に戦術です。
戦術の誤り、戦略の誤り
もし戦術が間違っていても、戦略が適切であればまだリカバリーはできます。
しかし逆のパターン、つまり戦術が一見すると良いものに見えても、そもそもの戦略が間違っていれば取り返しがつかなくなります。
現場では戦術がうまくいっているので、戦略の観点から見て自分たちが誤ったことをやっているとは気づきにくいです。戦略をつくるマネジメント層や上位層も、(実際のところは間違っているにもかかわらず) 自分たちがつくった戦略が適切ではない認識を持てないバイアスがあります。
戦略が間違ったまま誰も気づかず、また気づいたとしても指摘がされず誤った戦術のまま組織が走り続けてしまうのです。
* * *
ではここまでの話をマーケティングの観点で具体的に見ていきましょう。
ある BtoC プロダクトの例
この話は私が以前に関わったある BtoC プロダクトのマーケティング事例です。
一言で言えば、ポジショニング戦略が曖昧だったために、戦術である各施策が適切に機能しませんでした。
市場でのトップブランドは、高価格帯にいました。洗練された UX と高いブランド力を持っていました。イメージを図にすると、

それに対して自社ブランドはどのポジショニングを取るかが曖昧でした。

曖昧なポジショニング戦略
ポジショニングの方向性は大きくは3つが考えられました。
✓ ポジショニング戦略の方向性
- トップブランドと同じ高価格帯で真っ向勝負をするのか
- 機能を減らしコスパを重視した中価格帯にずらすのか
- シンプルなプロダクトにし低価格帯に移動するか (ただし競合プロダクトが多数)
私がこのプロダクトのマーケティングに入ったのは途中からでした。その時には戦略レベルで明確な方針がないままに、具体的なマーケティング施策への落とし込みに入っていました。
確かに、例えば1つ1つの広告クリエイティブは良くできていました。しかし、施策の上位にあるべきポジショニング戦略が明確になっておらず、各クリエイティブが戦略的に適切かどうかの判断ができませんでした。
表面的なクリエイティブの面白さやインパクトで評価されてしまっていたのです。
戦略から戦術へ (自分ならこう考える)
ここからは、では望ましい本来のやり方は何かを掘り下げます。
この話は 「タラレバ」 ではありますが、自分だったらこう考えるというのを掘り下げてみます。
結論は、戦略が曖昧なままの状態を放置せすに、戦略の明確化に立ち戻るべきです。
やることの方針を決めるだけではなく、「これはやらない」 という何を捨てるかの意思表示をします。ここを受けて市場での自分たちがありたいポジショニングを定めます。
今回の BtoC プロダクトの例で言えば、私が当時から思っていたのは中価格帯へのシフトです。図で表すと、

自社プロダクトの認知や価値イメージはこれからで、高価格帯にいたトップブランドとの直接対決はまだ早いです。
自社プロダクトに機能を何でも盛り込むのではなく、また利幅もあえて抑えてシェアを取りにいきます。これはトップブランドが高価格帯で揺るぎない地位を築いていた状況からの判断です。
もし逆で、トップブランドが中価格帯にいれば、自分たちはひとつ上の高価格帯にずらすポジショニング戦略をとったでしょう。
いずれにしても大切なのは、戦略を現場に共有浸透させ、全てのマーケティング施策を上位のポジショニング戦略と一貫性があるように具体化していきます。
まとめ
今回は戦略と戦術についてでした。
最後に今回のまとめです。
戦略と戦術の違い
- 戦略とは目的を達成するための 「やること」 と 「やらないこと」 の決めごと
- 戦術は何を・誰が・誰と・どこで・いつまでに・どうやって実行するかが明確になったもの
戦術の誤り、戦略の誤り
- もし戦術が間違っていても、戦略が適切であればまだリカバリーはできる
- 戦術が一見すると良いものに見えても、そもそもの戦略が間違っていれば取り返しがつかなくなる
戦術は明確な戦略があってこそ活きる
- 戦略が曖昧なままの状態であれば放置せずに、戦略の明確化に立ち戻る
- 大切なのは戦略を現場に共有浸透させ、全ての施策を上位の戦略と一貫性があるように具体化する