#生き方 #7つの習慣 #本

ビジネスや人生では、ときに 「アウェー」 とも呼べる新しい環境に飛び込み、そこで信頼を築き、結果を出すことを求められる局面があります。

そんなとき、私たちはどう行動すればいいのでしょうか。

名作漫画 「Dr.コトー診療所 (山田貴敏) 」 を 7 つの習慣のレンズで読み解くと、そのヒントが見えてきます。

Dr. コトー診療所

Dr. コトーのストーリーを簡単に振り返ります。この物語は、離島医療という厳しい現場で、一人の医師が島民と向き合いながら信頼を得ていくヒューマンドラマです。

主人公は、東京の大学病院から、医療設備も人材も限られた離島の診療所に赴任してきた若き外科医・五島 (ごとう) 健助 (コトー先生) です。

物語の舞台となる離島には、美しい自然がある一方で厳しい自然環境もあり、島には閉鎖的なコミュニティが残っています。

島民たちは当初、都会から来た若い医師を警戒し、前任者と比べながら冷たく接します。

そんな中でも、コトー先生は誠実に医療に取り組み、島民一人ひとりと真摯に向き合いながら、少しずつ信頼を得ていきます。

嵐の夜の緊急手術、限られた設備での高度医療、島民総動員での救助活動など、数々の困難を一緒に乗り越えるうちに、コトー先生と島民の間に深い絆が生まれていきます。

7 つの習慣と Dr. コトー

スティーブン・R・コヴィー博士の 「7 つの習慣」 のレンズを通して Dr. コトーの物語を読み解くと、コトー先生が信頼を得ていく過程には、7 つの習慣と重なる行動が数多く見えてきます。

最初は孤立無援だったコトー先生が、少しずつ信頼を得て島全体に影響を与えていく過程は、7 つの習慣が説く人格的成功の流れとも重なります。

7 つの習慣に沿って、その行動を紐解いていきましょう。

[第 1 の習慣] 主体的である

周囲の環境に振り回されず、自分が選べる行動に集中するというのが、コトー先生の最初の選択でした。

都会での安定した医師としてのキャリアを捨て、離島の診療所に赴任するという主体的な選択をしたのがコトー先生です。島に着いてみれば、診療所はボロボロで、島民から拒絶され、嫌がらせまで受けます。

そんな状況でも、コトー先生は環境が悪いと諦めたり、被害者として振る舞ったりしませんでした。

嫌味を言われても怒り返さず、笑顔で挨拶し、往診を続けます。自らの価値観にもとづき、医師として自分が正しいと考える行動を選び続けたのです。

これは 7 つの習慣で言う 「影響の輪 (主体的に選択できる自分の行動・現在) 」 に集中した行動です。一方の 「関心の輪」 には、自分では変えられない他人の態度や過去などが含まれます。

コトー先生は限られた医療設備の中でも、できない理由に目を向けるより、どうすればできるかを考えます。前任医師との比較や批判にも感情的に反応せず、自分の信念に沿った行動を続けました。

 「刺激と反応の間には選択の自由がある」 という考え方を、その行動で示しています。

[第 2 の習慣] 終わりを思い描くことから始める

島の未来を見据えた志が、コトー先生の言動を支えていました。

コトー先生が見ていたのは、目の前の患者を治療することの先にある未来です。島民が自分の健康を守れるコミュニティをつくり、離島の医療格差を減らすという長期的なビジョンを持って行動しています。

そのため、目の前の治療に加えて、予防医療や健康教育にも力を入れます。患者の日常生活や治療後の未来を見据えて治療方針を決め、島全体の医療体制をどう継続させるかまで考えているわけです。

離島医療を通じて人々の命と生活を守るという使命を、自分の中ではっきり持っています。その使命感は、7 つの習慣で言う個人的な 「ミッションステートメント」 に近いものです。目先の仕事に追われるだけでなく、人生全体の目的にもとづいて行動しています。

[第 3 の習慣] 最優先事項を優先する

緊急ではないが重要なことに時間を使う。コトー先生には、この姿勢も見られます。

コトー先生は、患者の命と信頼関係の構築を常に大切にします。夜中であろうと、嵐の中であろうと、SOS があれば駆けつけます。これは 「緊急かつ重要な領域」 の活動です。

同時に、日々の地道な往診や子どもたちとの会話、島民への健康教育といった 「緊急ではないが重要な領域」 にも時間を使います。すぐには成果が見えにくい活動ですが、長期的な信頼関係という大切な資産につながります。

患者の命を優先し、忙しい中でも一人ひとりと向き合う時間を確保する。何を優先するかを明確にした行動の積み重ねが、島の人たちとの信頼につながっていきました。

[第 4 の習慣] Win-Win を考える

医師と患者が共に幸せになれる関係を、コトー先生は目指していました。

医師が上で患者が下という上下関係を取らず、島民と対等なパートナーシップを築こうとします。

コトー先生が島民を助ける一方で、コトー先生自身も島民に支えられます。治療する側だけが主導権を握り、患者がただ従う関係にせず、医師と患者の双方にとってより良い道を探しました。

島民が健康になることは、コトー先生自身の再生にもつながっていきます。自分の専門性や価値観を押し付けず、島民の気持ちや考えを尊重しながら最善の結果を探る姿勢が、Win-Win の関係をつくっています。

[第 5 の習慣] まず理解に徹し、そして理解される

コトー先生は、最初から医学的な正論を押し付けませんでした。

例えば、薬を飲みたがらないお年寄りがいれば、頭ごなしに怒ったり、無理やり飲ませたりせず、なぜ飲みたくないのか、どんな生活をしているのかに耳を傾けます。なぜそれほど医者を嫌うのか、過去のトラウマとなっているものは何かを理解しようと努める場面もあります。

島の閉鎖感、都会から来た人物への警戒心、外から来た医者への不信、一人ひとりの年齢・家族構成・生活習慣などを理解していくことで、医師と患者が人として向き合う治療の土台ができます。

自分を理解してもらうことを急がず、信頼が生まれるまで相手の話を丁寧に聴きます。その積み重ねによって、コトー先生の医学的なアドバイスも少しずつ島民に受け入れられるようになっていきます。

[第 6 の習慣] 相乗効果を創り出す

1 + 1 が 10 にも 20 にもなる協働が、相乗効果の力です。

コトー先生は一人では手術ができない状況で、看護師の星野彩佳 (あやか) に加え、助産師歴 50 年のベテランで島民からの信頼も厚い高齢の女性の内 (うち) さん、時には子どもたちや漁師たちまで巻き込み、困難な手術や救助活動を成功させます。

自分だけが医療の専門家だと驕らず、自分とは異なる人たちの強みを尊重し、力を合わせました。島民の器用さや人脈、漁師の体力や勇気、お年寄りの知恵、子どもの柔軟性。皆がそれぞれの強みを活かすことで、1 + 1 = 2 を超え、一人の医師だけでは難しかった成果を何度も生み出していきます。

それぞれの違いを脅威と受け止めず、新しい可能性として活かしていく。そこにシナジーが生まれています。

[第 7 の習慣] 刃を研ぐ

長く力を発揮し続けるには、継続的な自己投資が欠かせません。

コトー先生は、離島という過酷な環境でも自己成長を怠りませんでした。

ときには都会での医療研修に戻って最新医療を学び、心身の疲れや消耗とも向き合いながら、医師として、人として自分を磨き続けています。島の自然や人々との触れ合いで心を癒し、自分の弱さを認めて休むことも忘れません。

肉体的な健康維持、精神的なバランス、知性の研鑽、情緒的な成熟。この 4 つの側面を継続的に整えることによって、長期にわたり島民に貢献できる存在であり続けています。

* * *

俯瞰すると、Dr. コトー診療所の物語には、7 つの習慣が提唱する成功の考え方と重なる部分が数多く見えてきます。

  • 主体的な行動によって離島で医療行為をし、ビジョンを持ち、行動することで私的な成功 (自立) を確立する (第 1 ~ 3 の習慣) 
  • 島民を理解し、信頼関係を築き、チームで協力することで公的な成功 (相互依存) を実現する (第 4 ~ 6 の習慣) 
  • 最後に、そのサイクルを持続させるために再生し続ける (第 7 の習慣) 

漫画 「Dr. コトー診療所」 を自己啓発の 7 つの習慣という視点から読み直すと、新天地で信頼を築き、自分ならではの価値を生み出すための学びが、より具体的に見えてきます。

まとめ

漫画の 「Dr.コトー診療所」 を取り上げ、そこから学べることを見てきました。

学びのポイントをまとめておきます。

  • 新しい環境では、環境や他人のせいにせず、自分がコントロールできる 「影響の輪」 にある自分の行動に集中する
  • 短期的な成果とあわせて、長期的なビジョンを持つ。未来から逆算し、目の前のタスクの先にある本質的な目的を見失わないようにする
  • 緊急ではないが重要なことに時間を使う。信頼関係の構築はすぐには成果が見えにくいが、長期的には大きな資産となる
  • 自分の専門性を押し付けず、まず相手を理解し、相手の強みを活かす。異なる背景や価値観を持つ人々との協働が、予想を超える成果を生む
  • 成功を続けるには、継続的な自己投資が欠かせない。肉体・精神・知性・情緒のバランスを保ちながら、刃を研ぎ続けることが重要