投稿日 2024/12/09

激動の時代を生き抜く力。戦国武将・藤堂高虎に学ぶ、現代のキャリアサバイバル術

#マーケティング #歴史 #本

あなたは今の環境で評価され、成長する自分の姿を感じられているでしょうか?

もしかすると、新たな挑戦が必要だと感じつつも、次の一歩を踏み出せずにいるかもしれません。ビジネスパーソンにとって、常に自分の成長を求め続けることは簡単ではないでしょう。

戦国時代を生き抜いた武将の人生物語からは、現代のビジネスパーソンが学べることが多くあります。時代小説 「虎の城 上 乱世疾風編 (火坂雅志) 」 「虎の城 下 智将咆哮編 (火坂雅志) 」 に描かれる藤堂高虎の生涯は、ビジネスパーソンへの示唆を教えてくれます。




逆境を機会に変え、自らを変革して成長を続けた藤堂高虎の生き方から、キャリアを成功に導くヒントをぜひ一緒に探っていきましょう。

本書の概要




書籍 「虎の城 (火坂雅志) 」 は長編歴史小説で、上下巻からなる作品です。戦国時代の実在の武将である藤堂高虎 (1556年 - 1630年) の波乱万丈の生涯を描いた物語です。

高虎が生きた時代は、織田信長が間もなく天下を統一すると思われた頃から、本能寺の変が起こり豊臣秀吉が天下統一を果たし、その後に徳川家康が江戸幕府を開き、家光が三代将軍になったくらいまでです。

あらすじ

本書は、逆境に育ち徒手空挙 (としゅくうけん) の身から、知力・人脈・情報を駆使して乱世を切り開いた藤堂高虎の成長と活躍を描いています。

幾多の悲運に翻弄されながらも、高虎は豊臣家と徳川政権の中枢に登り詰めました。主人公の藤堂高虎が、逆境から身を起こし、その知力と体力を駆使して乱世を生き抜く姿を興味深く読めます。

藤堂高虎は、自らの実力に正当な評価を求めて主君を転々とする中で、豊臣秀吉の弟である羽柴秀長と運命的な出会いを果たします。

秀長は 「算盤侍」 と揶揄されたくらい黙々と金策に走り、兄である秀吉を裏で支え続ける存在でした。

秀長の姿に、高虎はやがて新しい武将のあり方を見出します。「戦闘だけでは猪武者に終わる。これからは兵法、築城術、兵糧の調達、金銭の出納を身につけることが肝要だ」 という秀長の教えのもと、高虎は算用 (計算) 、兵站、築城術、人心掌握など多岐にわたる知識と技術を学び、その才能を開花させていきます。特に築城の才能を発揮し、やがて 「天下一の城造り」 として名を馳せるようになります。

藤堂高虎が築城した城

藤堂高虎は多くの城の築城や改修を担いました。手掛けた有名な城には次のようなものがあります。

  • 和歌山城 (和歌山県和歌山市) 
  • 伊賀上野城 (三重県伊賀市) 
  • 津城 (三重県津市) 
  • 今治城 (愛媛県今治市) 
  • 宇和島城 (愛媛県宇和島市) 
  • 二条城 (京都府京都市) 
  • 江戸城 (東京都千代田区) 

藤堂高虎の人物像

この本での藤堂高虎は、熱血漢で主君を尊重し、家臣を思いやる人物として描かれています。常に自己成長を追求し、時代の変化に適応していく姿勢を貫きました。若いころは武勇に秀でた血気盛んな武将でしたが、その後は経営術、城や河川などの建築技術も身につけた、新しい時代の武将像を体現していきます。

高虎の人として成長、時代の荒波の中での苦悩や葛藤を通じて、現代に生きる私たちにとっても多くの教訓を与えてくれる歴史小説です。

ビジネスパーソンへの教訓


藤堂高虎の生涯は、戦国時代という激動の時代を生き抜いたひとりの武将の物語ですが、現代のビジネスパーソンが学べることが多く詰まっています。

高虎の生き方からの教訓を、5つの項目に分けて見ていきましょう。

  • 継続的な学習と自己成長
  • 適切な環境を選ぶ重要性
  • 柔軟性とバランス感のある適応力
  • 情報力からの先見性と戦略的思考
  • リーダーシップとマネジメント


では順番に解説していきます。

継続的な学習と自己成長

藤堂高虎は常に新しい知識や技術を学び続けることを怠りませんでした。

主君の秀長のもとで学んだ算用 (計算) や築城術は、高虎のキャリアにおいて重要なスキルとなりました。とくに築城技術で腕を磨き、この分野のエキスパートとなりました。

特定の分野で専門性を築くことは、自身の価値向上につながります。高虎は築城の技術を武器に、かつて豊臣家に仕えた武将という外様ながらも徳川政権で重要な地位を得ました。ビジネスパーソンも自分の専門性を磨き、活用することで、キャリアの成功をつかむことができます。

ビジネスパーソンは、自己成長のために学び続けることが大切です。時代の変化に合わせて、ときには今までの知識や価値観を変え、アンラーニングという学び直しを通じて成長し続ける姿勢は、どのような職業においても大事です。

適切な環境を選ぶ重要性

藤堂高虎は自分を正当に評価してくれる主君を求めて転々としました。

これは、ビジネスパーソンにとっても教訓を与えてくれます。自分の存在や能力が認められ、成長を促してくれる環境を見つけることが、キャリアをつくります。

適切な環境を選ぶことで、自分の持つポテンシャル (可能性) を最大限に引き出すことができるでしょう。

柔軟性とバランス感のある適応力

藤堂高虎は異なる主君のもとで様々な経験を積みました。

これが示すのは、異なる環境や状況に適応することの重要性です。高虎は主家の滅亡という大きな変化や危機に直面しても、新たな環境に適応し、自らの存在感を発揮しつづけました。

ビジネスパーソンも、環境の変化に柔軟に対応する能力が求められます。変化の激しい現代においては、柔軟性と適応力を持つことが、長い目で見たときの成功につながります。

高虎は豊臣家や徳川家のために尽くしつつも、藤堂家、家臣や民を守ることにも心を配りました。組織への貢献と個人の成長のバランスを取ることの大事さを物語ります。

ビジネスパーソンにとっても、上司や同僚との信頼関係を築くことはキャリア構築に不可欠です。組織に貢献しつつも、自己の成長を図るためのバランス感覚を持つことが重要です。

情報力からの先見性と戦略的思考

藤堂高虎は主君として仕えた秀長の死後、かつてからは変わってしまい暴走的な豊臣秀吉の政策に危惧を抱き、徳川家康に身を寄せるという戦略的な判断をしました。

先見性と戦略的思考は、ビジネスにおいても大事です。

生活者環境や市場の変化を捉え、将来を予測し、見据えた未来像から適切な戦略を立てる能力は、ビジネスの成功に直結します。

変化をいち早く察知するためには、情報収集がカギを握ります。高虎は伊賀者という忍者などを駆使し、独自の情報網をつくり上げました。敵国の裏事情まで精通できたことで、起こり得るシナリオをつかみ、的確な戦略をつくり打ち手を実行しました。

また、戦が起こる前や築城の際は、高虎は必ずと言っていいほど現場に赴き、自分の足と目で現地を詳しく確認しました。高虎の現場主義は一次情報を自ら取りに行く重要性を私たちに教えてくれます。

リーダーシップとマネジメント

藤堂高虎の生き方からは、組織を動かすリーダーシップや効果的なマネジメントについても学ぶことができます。

高虎は築城では自ら泥に塗れ、石工 (いしく・せっこう) や大工などの城を築くために働いた人々 (普請人足 (ふしんにんそく) ) とともに汗を流しました。食べ物の差し入れや晩酌もともにするなど、現場の人たちとの交流を大切にしました。

築城術を学んだだけにとどまらず、現場からの信頼を得たことで土木へのマネジメント能力を高め、リーダーシップを発揮しました。

自己否定と自己成長


藤堂高虎の生涯から学べる現代のビジネスパーソンへの教訓の総括として、「自分をアップデートしつづけること」 の重要性があります。

自らをアップデートしつづける

高虎は戦国時代という激動の中で、自分を正当に評価してくれる主君を求めて波乱万丈の人生を送りました。時代や環境の変化に合わせて、高虎は常に自分自身を変え続けました。

これは、現代においても示唆的です。仕える君主を変えるという高虎の行動は、現代のビジネスパーソンにとっては、働く会社を変えることに相当します。

また高虎の自己変革は、時には自己否定やアンラーニング (これまでの知識やスキルを一度捨てること) を伴いながら、現代で言えば自分の専門領域を柔軟に変えていくことに当てはまります。

専門領域が変わったり広がるごとに、節目ごとに転職をし、就職先もときには意図的に、ときには偶然から運命的に変わったというのが藤堂高虎の生き方でした。

ビジネスパーソンへの示唆

ビジネスパーソンに当てはめて考えると、たとえば最初は分析スキルやプログラミング力を駆使するデータアナリストとしてキャリアをスタートしたとします。やがて、ビジネスの本質を理解するために事業運営、経営理論、リーダーシップについて学び、より幅広い専門知識を獲得するということです。

そして今では AI をどのようにビジネスに活用するかを考えるステージに入ったというように、キャリアの各段階で必要なスキルや知識を柔軟にアップデートしていく姿勢を高虎からは学べることです。

藤堂高虎の生き方は、自分をアップデートし続け、変化の激しい現代社会で生き抜いていくヒントをもたらしてくれます。

まとめ


今回は、書籍 「虎の城 (火坂雅志) 」 をご紹介し、藤堂高虎の生き様から学べることを見てきました。

最後にポイントをまとめておきます。

✓ ビジネスパーソンへの教訓
  • 継続的な学習と自己成長
  • 適切な環境を選ぶ重要性
  • 柔軟性とバランス感のある適応力
  • 情報力からの先見性と戦略的思考
  • リーダーシップとマネジメント

✓ 自己否定と自己成長
  • 自分をアップデートし続けることが大事
  • 時には自己否定やアンラーニング (これまでの知識やスキルを一度捨てること) を伴いながら、自分の専門領域を柔軟に変えていく
  • 藤堂高虎の生き方には、自分をアップデートし続け、変化の激しい現代社会で生き抜いていくヒントがある



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多田 翼 (運営者)

書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。マーケティングおよびマーケティングリサーチのプロフェッショナル。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

前職の Google ではシニアマネージャーとしてユーザーインサイトや広告効果測定、リサーチ開発に注力し、複数のグローバルのプロジェクトに参画。Google 以前はマーケティングリサーチ会社にて、クライアントのマーケティング支援に取り組むとともに、新規事業の立ち上げや消費者パネルの刷新をリードした。独立後も培った経験と洞察力で、クライアントにソリューションを提供している。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。