今回は、組織の多様性についてです。
- 組織に多様性が必要とよく聞く
- 具体的にどんな多様性が理想なの?
- 自分の会社組織にも参考にしたい
こんな疑問に答える内容でブログを書きました。
よく組織には多様性が必要と言われます。今回は、そもそもどんな多様性が良いのかを考えます。
この記事では、組織の多様性とはどんな要素があるのか、理想的な多様性のある組織とはどういう常態なのを書いています。
組織の多様性を3つの観点で整理する
前職の Google や、支援しているスタートアップでの観察からあらためて整理すると、3つの観点で多様な組織がよいと考えます。
3つとは、知、人脈、実行です。
- 知 (Knowledge):組織のそれぞれの人が持っている 「知」 が多様なこと。具体的には、知識 (一般知識や専門知識) 、スキルやノウハウ、経験。ものの見方や発想の仕方も含む
- 人脈 (Connection):各人が持っている人脈の多様性。その状況において、組織の誰かが 「あの人にコンタクトをすれば解決するのではないか」 という適切な人にアプローチできる人脈資産を持っている
- 実行 (Execution):行動の仕方や実践方法が、皆が同じではなく多様。組織内に様々な実行が起こっている
3つの多様性がある理想の組織イメージ
3つそれぞれが多様な組織では、以下のような環境になります。
✓ 知が多様な組織
- 知と知が掛け合わされ、新しいアイデアが得られる。異なるものが組み合わされるほど、全く新しい発想や概念が生まれる
- 組み合わさった知に対して皆が刺激や気づきを得るので、さらに新しい発想が生まれる。知が創発し続ける好循環に
- [大事な前提] オープンマインド。自分とは異なる知に興味を持ち、受け入れる姿勢を皆が持っていること
✓ 人脈が多様な組織
- 自分や自分たちだけではすぐに解決しないことも、誰に聞けばいいか、誰にサポートが得られるかを組織の誰かがすぐに思いつき、問題解決につながる
- 適宜、組織に外部の情報や知恵が入る。場合によっては外部の人が組織に加入する。組織の知が活性化し、新しいアイデアや気づきが生まれる
- [大事な前提] 持っている人脈はお互いに信頼に基づいた人間関係であること。単に過去に名刺交換をしただけのような表面的な関係ではない。自ら情報や知恵を相手に損得なしに提供する姿勢 (pay forward) からお互いの信頼が築き上げられていること
✓ 実行が多様な組織
- 知や人脈の多様性があっても、重要なのは行動に移し実行できるかどうか。やりきれるかどうかである
- 実行が多様であれば問題解決方法が様々あり、1つのアプローチが機能しなくてもすぐに別のやり方を試せる (二の矢、三の矢がすぐに放たれる)
- アイデア仮説が創発され続けているのと並行して、実行からの仮説検証と振り返り・学びが常に高速にまわっている組織になる
- [大事な前提] 行動の判断基準 (価値基準) への理解が組織でそろっていること。理解は統一された上で行動に多様性があることが望ましい
まとめ
今回の記事内容をまとめます。
3つの観点で多様な組織がよい
- 知:組織のそれぞれの人が持っている 「知」 が多様なこと
- 人脈:各人が持っている人脈の多様性
- 実行:行動の仕方や実践方法が、皆が同じではない。組織内に様々な実行がされる
知が多様な組織とは
- 知と知が掛け合わされ新しいアイデアに。異なるものが組み合わされるほど、全く新しい発想や概念が生まれる
- 組み合わさった知に対して皆が刺激や気づきを得る、さらに新しい発想が生まれる
人脈が多様な組織とは
- 自分や自分たちだけではすぐに解決しないことも、誰に聞けばいいか、誰にサポートが得られるかを組織の誰かがすぐに思いつき、問題解決につながる
- 適宜、組織に外部の情報や知恵が入り、外部の人が組織に加入する。組織の知が活性化し、新しいアイデアや気づきが生まれる
実行が多様な組織とは
- 実行が多様であれば問題解決方法が様々あり、1つのアプローチが機能しなくてもすぐに別のやり方を試せる (二の矢、三の矢がすぐに放たれる)
- アイデア仮説が創発され続けているのと並行して、実行からの仮説検証と振り返り・学びが常に高速にまわっている
最後に
今回は組織の多様性を考えました。イノベーションが創発されるような組織になるためには、どのような多様性が良いかです。
多様性は、年代や性別、出身地や国籍などの表面的なわかりやすい項目よりも、持っている知、人脈、実行において多様なことです。3つにおいてお互いが違っていて、組織の中で常に異なるもの同士が時には反発し、つながっている組織です。
そのような組織は、中にいるだけで気づきや学びがあり、自分の成長ができます。
最後に、関連エントリーのご紹介です。以下は、組織の本質とは何かについて書いたものです。
よかったら、ぜひ読んでみてください。