2018/12/07

ケータイとスマホの不満と未来から考える、アンケートやインタビュー調査の方法


Free Image on Pixabay


今回は、アンケートやインタビュー調査についてです。

このエントリーでは、一般的なアンケートなどの調査では引き出しにくいことは何か、どうすればよいかを書いています。

以下は、エントリー内容です。

  • 適切な調査の条件
  • ケータイとスマホに見る潜在的な不満
  • 意見よりも事実を聞く


適切な調査の条件


アンケートやインタビュー調査で大事なのは、「誰に聞くか」 と 「何を聞くか」 です。


 「誰に聞くか」 と 「何を聞くか」


知りたいことがあり聞き方が正しくても、聞く相手が間違っていれば有益どころか、時には判断を誤る情報を得てしまいます。

調査対象者が正しくても、聞く内容が適切でなければ、調査から意味のある情報を引き出すことはできません。


聞くタイミング


もう1つあるのは 「聞くタイミング」 です。

例えば、何が問題か、不満は何か、満足しているか、望ましいのはどうあるべきかを聞いても、タイミングが妥当でなければ、アンケートやインタビューでの質問から抽出できません。

特に既存の延長ではない、まだ世の中にはない全く新しいことについては答えられません。答えられたとしても、既存のことを前提にした回答になります。


ケータイとスマホに見る潜在的な不満


タイミングの例として、携帯電話を取り上げます。


ケータイへの不満に気づく時


スマートフォンが登場する以前のケータイ (今で言うガラケー) が全盛の時に、ケータイへの不満、どういうケータイが望ましいかを聞いたとしても、誰もスマートフォンのようなものが良いとは答えられなかったでしょう。

当時のケータイの潜在的な使いにくさや不満は、スマホが登場し自分で体験して初めて気づくことです。使いやすく便利なモバイルデバイスとは、スマホ以前と後で全く異なります。

スマホについても同じことが言えます。2018年現在で人々はスマホは便利だと思っていますが、潜在的な不便さ、意識できていないような使いにくさを内在しています。


スマホの文字入力


例えば文字入力です。

スマホのフリック入力は確かにケータイのボタンの物理的な連打入力よりも楽にはなりました。しかし、ディスプレイ画面をこする操作は、本当に最適なのでしょうか。

未来の世界では、そもそも指や手を動かさなくても、頭の中で言葉を言うだけでモバイルデバイスに転送され、文字や絵・スタンプで表示されるかもしれません。

マインド入力 (?) が未来の世界では当たり前になっていれば、フリック入力は面倒だと気づきます。当時はよくあんな方法でみんな文字入力をしていたと不思議に思うでしょう。


アンケートではわからないこと


こうした問題点をアンケート等でただ聞くだけでは、有益な情報は得られにくいです。

将来、スマホの次のモバイルデバイスが普及し、実際に体験してようやく今のスマホの問題やモバイルデバイスはこうあってほしいということがわかるはずです。

逆に言えば、まだ存在しないこと、見たり体験したことがないものについて、どういうものが望ましいかを人から引き出すことは簡単ではありません。


意見よりも事実を聞く


では、どうすればユーザー体験の前でも、まだ存在しない新しいことへのヒントになる情報を抽出することができるのでしょうか?

やり方の1つは、意見よりも事実を聞く、あるいは見ることです。アンケート、インタビュー、観察調査のいずれでも同様です。

事実とは、例えば今あるプロダクトをどう使っているかの利用シーンです。

利用シーンには、なぜそれを使うのか、どういう利用目的があり使うのか、使うことによってどんな価値を得ているのか (例: うれしいことは何か) があります。ユーザー体験を把握し、どんな利用行為だったか、ユーザーは使うことによりどう感じたかを、聞いたり見ることによって推測します。

ポイントは、自分たちが知りたい答えそのものを、聞く相手からの回答に直接求めないことです。欲しい答えを相手の言葉や回答に期待するのではなく、大事なのは答えを見い出すのはあくまで自分たちであるというスタンスです。


まとめ


最後に、今回のまとめです。


  • アンケートやインタビュー調査で大事なのは、「誰に聞くか」 と 「何を聞くか」 。
    知りたいことがあり聞き方が正しくても、聞く相手が間違っていれば有益どころか、時には判断を誤る情報を得てしまう

  • もう1つは 「聞くタイミング」 。
    何が問題か、不満は何か、満足しているか、望ましいのはどうあるべきかを聞いても、タイミングが妥当でなければ、有益な情報は得られない

  • 意見よりも事実を聞く。
    事実とは、例えば今あるプロダクトをどう使っているかの利用シーン。利用シーンには、なぜそれを使うのか、どういう利用目的があり使うのか、使うことによってどんな価値を得ているのか (例: うれしいことは何か) がある

  • ポイントは、自分たちが知りたい答えそのものを、聞く相手からの回答に直接求めないこと。欲しい答えを相手の言葉や回答に期待するのではなく、大事なのは答えを見い出すのはあくまで自分たちであるというスタンス

最新記事 (毎日更新中)

書いている人 (多田 翼)

ベンチャーから一部上場企業の経営・事業戦略を支援。マーケティング、コンサルティング・アドバイザー・メンター、プロダクトマネジメント。前職は Google でシニアマーケティングリサーチマネージャー、現在は独立 (詳細は LinkedIn または Facebook をご覧ください) 。

note, Twitter, YouTube, stand.fm, himalaya も更新しています。

1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。