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1140回目のブログ更新です。書評の記事です。
ご紹介したい本は、MaaS - モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ です。
- どんなことが書かれている本?
- MaaS とは何?
- MaaS によって何が起こるの?
こんな疑問に答える内容でブログを書きました。
この記事でわかること
この記事で書いているのは、本書の概要、MasS とは何か、本質は何なのかです。MaaS の可能性や日本で普及するかどうかも書いています。
ぜひ、最後まで読んでみてください。
以下は、記事の内容です。
- 本書の内容。MaaS とは何か
- MaaS の本質 (交通プラットフォーム構築の先)
- 読んで思ったこと (2つ)
この本に書かれていること
以下は、本書の内容紹介からの引用です。
2030年、世界で100兆円以上に達すると予測されるモビリティサービスの超有望市場 「MaaS (Mobility as a Service、マース) 」 。
自動車メーカーだけではなく、鉄道やバス、タクシーといった公共交通、シェアリングビジネス、配車サービスをも巻き込む 「『100年に一度』のゲームチェンジ」 で生き残る秘策とは――。
交通サービス分野のパラダイムシフトにとどまらず、MaaS で実現する近未来のまちづくり、エネルギー業界から不動産・住宅、保険、観光、小売り・コンビニまで、MaaS の 「先」 にある全産業のビジネス変革を読み解く、日本で初めての本格的な MaaS 解説書!
MaaS とは何か
MaaS は Mobility as a Service の略です。あらゆる交通移動手段を1つのパッケージのサービスとして提供される交通のプラットフォームサービスです。
電車やバス、タクシー、レンタカー、シェアリングカーやシェアリング自転車など、交通移動手段を統合し個々人に最適化され、マイカーと同等かそれ以上に快適な移動サービスを提供することを目指します。
交通系プラットフォームがつくられ、ユーザーはスマホアプリ1つでルート検索、予約や決済が完了し、非効率な乗り換えや無駄な待ち時間をなくし、より良い移動体験です。MaaS では、定額の月額費用を支払えば交通手段は乗り放題になるイメージです。
MaaS の本質
MaaS が実現することは、あらゆる交通手段を統合し、その最適化を図り、マイカーと同等かそれ以上に快適な移動サービスを提供することです。
ただし、MaaS の本質はその先にあります。
MaaS によって期待されることは、都市の渋滞や交通事故の解消、過疎化や高齢化が進む地方での移動手段の確保、MaaS という移動手段の新しいサブスクリプションプラットフォームを前提にしたビジネスなど、社会的なインパクトです。
本書では具体的に、MaaS によりどのような社会やビジネスが出現するかが説明されています。
MaaS で実現する近未来のまちづくり、エネルギー業界、不動産や住宅、保険、観光、小売りやコンビニと、MaaS の先にある様々な産業のビジネスの変革を読むことができます。
MaaS で変わるであろうことを整理すると、以下の3つです。
MaaS で変わること
- 人々がモビリティの選択の自由を享受する
- 自動車中心 (モノ中心) の町や社会が、人間中心の設計になる
- 社会問題の解決、経済的な繁栄と活性化
MaaS の本当の意味は、快適な移動サービス提供の先にあります。MaaS の本質は、町や都市が人間中心の設計になり、社会問題の解決、経済的な繁栄と活性化です。
思ったこと
ここからは、本書を読んで MaaS について思ったことです。
思ったこと
- MaaS の可能性
- 日本で普及するのか?
[思ったこと 1] MaaS の可能性
MaaS の私のイメージは、通勤・通学の定期券が身近な交通手段の全てに適用されることです。
一定期間において定額の料金をあらかじめ支払えば、交通手段が使い放題になります。自分の TPO に応じて全体最適化された移動経路と方法を、今よりもストレスが少なく使えます。サービス設計が提供者起点ではなく、市民や利用者の視点でつくられます。
MaaS のインパクトが、交通手段の最適化だけではなく、その先にビジネスや社会がどう変わるかも興味深いです。
移動手段が使い放題になった時の人々の外出や移動への価値観や行動が変わります。技術が発達し、人々の受け取り方や価値観が変容し、それに応じた法制度やサービスなどの社会の仕組みも変わっていきます。
[思ったこと 2] 日本で普及するのか?
MaaS がもたらす世の中には、本書を読んでわくわくしましたが、一方で日本では本当に普及するかは考えさせられます。
2010年代後半の今の日本の都市や町は、自動車や電車などの交通手段を前提に都市設計がされています。生活スタイルもそれが前提になっており、今の移動手段のやり方に適応されてしまっています。卵か鶏の議論ですが、新しい概念と物理的にも変わる設計である MaaS の日本での浸透には時間がかかると思います。
予想するに、局所的に MaaS のようなサービスや仕組みが入ってくるでしょう。例えば、タクシーの配車サービスです。各タクシー会社で分断されてはいなく、全てのタクシー会社で使えるアプリの統一やタクシーと民間バス、私鉄とのサービス統合などです。
一気にドラスティックに MaaS が提供されるのではなく、少しずつ交通手段の最適化がなされるのではないでしょうか。
まとめ
今回は、MaaS - モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ という本をご紹介しました。
最後に今回の記事のまとめです。
- この本に書かれていることは、MaaS で実現される近未来を、エネルギー業界から不動産・住宅、保険、観光、小売り・コンビニまで幅広い。MaaS の先にある全産業のビジネス変革を読み解く内容
- MaaS は Mobility as a Service の略。あらゆる交通移動手段を1つのパッケージのサービスとして提供される交通のプラットフォームサービス
- MaaS の本質は快適な移動サービス提供の先にある。町や都市が人間中心の設計になり、社会問題の解決、経済的な繁栄と活性化
- MaaS で移動手段が使い放題になれば、人々の外出や移動への価値観や行動が変わる。技術が発達し、人々の受け取り方や価値観が変容し、それに応じた法制度やサービスなどの社会の仕組みも変わっていく
- 2010年代後半の今の日本の都市や町は、自動車や電車などの交通手段を前提に都市設計がされている。MaaS の日本での浸透には時間がかかると思う
最後に
MaaS には、サブスクリプションモデルによるビジネスモデル変革だけではなく、社会基盤を変えうる可能性があります。
欧州など先進事例を今後も目を離さず、未来の当たり前がどうなるかを見ていきたいです。