投稿日 2019/01/31

書評: AI をビジネスに実装する方法 - 「ディープラーニング」 が利益を創出する (岡田陽介) 。AI 実装のプロセスがわかりやすく解説された本


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1143回目のブログ更新です。

AI をビジネスに実装する方法 - 「ディープラーニング」が利益を創出する という本をご紹介します。



エントリーで書いている内容は、以下です。

  • 本書の内容
  • 3つの視点で AI 実装を考える (技術・ビジネス・顧客)
  • AI 実装のプロセス


本書の内容


以下は、本書の内容紹介からの引用です。

もはや 「AI (人工知能) を試験的に導入してみよう」 という時代は過ぎ、様々な企業が、現実のビジネスに AI やディープラーニング技術を活かした事業展開を行っている。そうした動きは決して製造業やハイテク企業に限ったことではなく、小売・流通業や物流などなど、業界や業種を問わず急速に広がっている。

本書は、設立わずか6年で、国内企業数社での AI 導入支援の実績をもち、ディープラーニングが成果を出し始めた2012年から、いち早く同技術に注目してきた IT ベンチャーである ABEJA (アベジャ) の経営トップが自ら語る 「AI のビジネスへの実装の具体的方法」 。

AI・ディープラーニングをどう現実のビジネスに活かせばいいのか?基本的なしくみから、実装・運用の成功要件、最新事例までを、文系ビジネスマンでも理解できるように、わかりやすく解説する。

本書が指摘するのは、人工知能 (AI) がインフラのように当たり前に使われる世の中になるということです。

これを前提に、本書を興味深く読めたのは以下の3つの観点で AI をビジネスにどうやって活かすかです。

  • 考え方
  • 実装するプロセス
  • 導入した企業の事例 (ABEJA 顧客企業の具体例)


3つの視点で AI 実装を考える


本書で書かれていることで印象的だったのは、AI を実装するにあたり技術的なこと以上に大事なのは、ビジネス発想の観点だということです。

以下は本書からの引用です。

技術的な観点以上に大事なことがあります。それは、その人たちが「ビジネス発想の観点」をもっているかどうか、です。

いくら数学ができても、自社の経営課題が何かを見つけ、それにどう AI を適応させればよいか、その問題解決策、ソリューションを考えられるかどうかは、技術的な観点とは別の次元だからです。その意味では、業務プロセスの理解と、その業務の利益構造をきちんと理解している人が求められます。

 (引用:AI をビジネスに実装する方法 - 「ディープラーニング」が利益を創出する)

私が思ったのは、AI をビジネスで使うにあたっては3つの視点から考えるとよいということです。

  • 技術
  • ビジネス
  • 顧客やユーザー

3つめの顧客やユーザーとは、いかに AI によって自分たちの顧客や、プロダクトの利用者に価値を提供できるかです。ユーザー体験をより良くし顧客満足度を高められるかです。

AI 導入というと技術的な視点に偏りがちになりますが、技術以上にビジネスの観点からと顧客視点に立ち、目的に立ち返って手段として AI をどう使うかを考えるとよいです。

重要なのは、そもそもの目的 (Why) 、AI で何をしたいか (What) 、これらを明確にした上での How である AI をどうするかという順番です。


AI 実装のプロセス


本書が提示する AI 実装のプロセスは、大きくは5つです。

  • 取得
  • 蓄積
  • 学習
  • デプロイ
  • 運用

なお、4つめのデプロイとは、準備段階のテスト環境下にある AI のシステムを本番の使用可能な状態にすることです。

5つのプロセスは、さらに分けると以下のようになります (全部で9つ) 。

  • 取得:データの取得
  • 蓄積:データの蓄積、データの確認、教師データの作成
  • 学習:モデルの設計、学習
  • デプロイ
  • 運用:推論、再学習

それぞれのプロセスには、ポイントや注意点があります。本書では、わかりやすく解説されています。以下、ポイントの抜粋です。


データの取得と蓄積


  • 重要なのは 「どんなデータを取るか」
  • 「データの確認」 で引っかかる企業が多い。データフォーマットでお互いに認識のズレはないか
  • 欠損データの確認を行なう。欠損があれば補う。異常値は必要に応じて取り除く
  • 取得したデータを教師データにする。人力でタグ付け (アノテーション) をする


学習


  • モデルの作成では、実運用まで見据えること。想定するネットワーク特性や運用時の要件とのトレードオフを考える必要がある
  • 教師データからの学習には、取得した全てのデータは使わない。70~80% のデータを学習用に使い、残りは検証用に残す。100 のデータを使わないのは、データに特化しすぎる過学習を防ぐため
  • 検証にあたってモデルの精度 (正解) をどのくらいであれば実用ができるのかをあらかじめ確認しておく


デプロイと運用


  • テストが終われば本番環境へ移行する (デプロイ) 。次の 「推論」 のために、システム運用の監視など最低限の仕組みを事前に入れておく
  • 実装された後も継続的な再学習が必要。実運用が始まった後に環境が変われば得られるデータも変化する。最初に学習したデータと現状データに乖離が起これば、モデルの精度が落ちる
  • 再学習では教師データをもう一度用意する。状況によってはモデル自体を思い切って変える


最後に


本書からの学びは、AI を技術的な観点だけで捉えるのではなく、ビジネスの現場で実装するためにどうすればよいかです。

考え方や具体的なプロセス、見落としたり陥りがちなことが具体的な注意点で1つ1つわかりやすく解説されています。



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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社概要はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。