2019/01/07

2019年の新年休みに読んだ AI ビジネス関連の本をまとめてご紹介 (5冊)


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1119回目のエントリーです。今回は、2019年のお正月休みに読んだ AI ビジネス関連の本をご紹介します。

以下の5冊です。


全て2018年10月以降に発売された本です。どの本もわかりやすく書かれ、サクッと読める量です。1冊ずつよりも5冊まとめて読んだので、体系立てて理解できました。

以下、5冊それぞれについて、簡単にご紹介します。



いまこそ知りたい AI ビジネス




著者は、シリコンバレーと日本で事業展開をしている AI ビジネスデザイナーです。経営している会社のパロアルトインサイトは、シリコンバレーを拠点にしています。

この本では、著者が注目する AI 関連のプロダクトやビジネスの事例紹介、AI ビジネスに導入するプロセスや注意点、AI 時代に求められる人材が書かれています。

AI をインターネットのようにインフラとして捉え、いかに既存のビジネス課題に取り組むか、どのように AI を導入するとよいかがわかりやすく説明されています。

印象的だった言葉が、「AI "が" 何をしてくれるかではなく、AI "で" 何をするか」 でした。つまり、AI はあくまで手段として人間が主体的に AI を利用し、ビジネスモデルを変えるなどの自分たちのビジネスをどう良くするかです。

本書には、AI がインフラのように当たり前になる世の中において、いかにビジネスを展開し、自分たちの働き方、さらに言えばどう生きるかを読者に問いかけます。



AI をビジネスに実装する方法




著者は ABEJA の社長である田中陽介氏です (肩書は2019年1月現在) 。ABEJA は、2018年12月に Google から出資を受けるというニュースがありました。

ABEJA の経営トップが考える、AI をビジネスへ実装する具体的方法が書かれています。

顧客企業へのこれまでの AI 導入支援実績や経験にもとづいて、AI をビジネスの現場に導入する考え方、プロセスが詳しく書かれています。こちらも AI は魔法のように何でも解決してくれるものではなく、現実的にどう AI を利用するかという捉え方です。

興味深く読んだのは、ABEJA の企業への AI 導入事例の Before & After です。4社の実際のケースで、導入に至ったビジネス課題などの背景、導入後にどのような変化や効果が見られたのかが具体的に書かれ、AI を導入するイメージが湧きます。

AI 導入は手段であり、ビジネス課題ありきが本来です。まずは自分たちの課題は何かです。AI が解決する問題が自社ビジネス全体のボトルネックであるほど、AI は力を発揮します。



サブスクリプション - 「顧客の成功」 が収益を生む新時代のビジネスモデル




本書は AI そのものがテーマではありませんが、サブスクリプションは AI ビジネスに関連するので読みました。

AI はビジネスモデルまで変えうるほどの潜在的な影響力を持っています。ビジネスモデル再構築にサブスクリプションは有力な選択の1つです。AI ビジネスのために、サブスクリプションとは何かを理解するために本書を手に取りました。

サブスクリプションは、支払いを月額の定額制にするなどの単なる課金体系の変更ではありません。サブスクリプションの本質は、顧客が満足し続ける価値を常に提供していくことです。

商品やサービスを売って終わりという 「点」 から、継続した顧客関係を構築していくという 「線」 になります。

顧客接点が線になることによって、顧客理解を深めることができます。顧客理解がより良い価値提供につながり、顧客理解と価値提供の好循環がサブスクリプションモデルを支えます。



MaaS - モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ




この本は、サブスクリプションの次の代表例になる可能性のある MaaS を学ぶために読みました。

MaaS は Mobility as a Service の略です。MaaS とは、あらゆる交通移動手段を統合、最適化し、マイカーと同等以上に快適な移動サービスを提供する交通プラットフォームです。

MaaS 利用者は、定額料金であらゆる交通移動手段が乗り放題で利用できます。スマホアプリ1つで、全ての交通手段からのルート検索、予約や決済が行え、シームレスな移動体験ができます。

MaaS の本質は、MaaS そのものよりも MaaS が社会インフラになった先にあります。

本書では、MaaS の先をインターネットになぞらえて説明します。インターネットが定額で使い放題になり、ネット上に様々なサービスが展開されたように、MaaS によって人の物理的、金銭的な制約が取り除かれていった先の、MaaS が前提の新しいビジネスが社会を変えます。

MaaS とはあくまで手段であり、MaaS の上に乗っているビジネスが社会をどう変えるか、サブスクリプション x モビリティという視点で未来を考えさせられる本です。



テクノロジーの地政学 - シリコンバレー vs 中国、新時代の覇者たち




この本は、シリコンバレーと中国の最新のビジネス動向や最先端のトレンドを、豊富な事例と有識者へのインタビューで学ぶことができます。

6つの分野があり、そのうちの1つが AI です。6つは、以下です。

  • 人工知能
  • 次世代モビリティ
  • フィンテック・仮想通貨
  • 小売り
  • ロボティックス
  • 農業・食テック

シリコンバレーの事例は知っているものもありましたが、中国の最新情報は知らないことが多かったです。

6つのテーマのうち、最後の農業と食テックが興味深かったです。農業は Agtech (農業 (agriculture) と技術 (technology) を組合せた造語) と表現され、フードテックとともに興味深い事例でした。

6つのテーマのいずれからも多くの事例を通して学べるのは、AI などの技術がビジネスにどう組み込まれ、既存のどんな課題に取り組み、何の問題を解決するのか、その結果、どういう価値が提供されるのかです。



最後に


今回は、2019年のお正月休みにまとめて読んだ本から、AI ビジネスに関連する本を5冊取り上げました。

俯瞰して思うのは、AI などの技術は手段であり、目的があって明確なほど技術は活かされるということです。

技術を手段として活用するのは人間です。人が主体的になり、AI をどう活用するかです。そのためのビジネスの課題設定は、私たち一人ひとりの役割です。







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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社概要はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。