投稿日 2019/01/25

マーケティングのフレーム 「戦略 BASiCS」 で、ビジネスキャリアを考える


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1137回目のエントリーです。今回は、これからの自分の働き方をマーケティングの観点で整理しています。

  • 今のままの働き方でよいのか不安…
  • 自分のキャリアをどうつくっていけばいい?
  • マーケティング思考を使ったキャリアのつくり方

こんな疑問に答える内容でブログを書きました。


この記事でわかること


この記事でわかるのは、マーケティング戦略を使ったビジネスキャリアのつくり方です。

記事の前半ではマーケティング戦略のフレームワークをご紹介します。後半ではマーケティングの考え方を応用したキャリアのつくり方を解説します。

ぜひ、最後まで読んでみてください。

以下は、記事の内容です。

  • 戦略 BASiCS (マーケティングのフレーム)
  • ビジネスキャリアと戦略 BASiCS
  • BASiCS で働き方を整理する


戦略 BASiCS (マーケティングのフレーム)


実戦 商品開発マーケティング戦略 という本に、マーケティングのフレームが書かれています。



フレームは 「戦略 BASiCS」 です。著者の佐藤義典氏が提唱する独自のマーケティング戦略フレームです。

5つの頭文字から、BASiCS です (i はベーシックスと読みやすいように入っています) 。戦略 BASiCS は、次の5つで構成されます。


戦略 BASiCS
  • Battlefield (戦場)
  • Asset (独自資源)
  • Strength (強み)
  • Customer (顧客)
  • Selling message (メッセージ)


以下、それぞれについて補足です。


Battlefield (戦場)
  • 顧客の頭に浮かぶ選択肢が市場である。市場は 「自社商品 + 競合」 で構成される
  • 市場は売り手側が決めるのではなく、顧客視点で市場を設定する


Asset (独自資源)
  • 独自資源とは、強み (以下の Strength) を実現するための源泉
  • 自社で保有する技術や人的資産、特許、提携する外部パートナー、企業カルチャーなど
  • ポイントは、強みが簡単に真似されないような、独自性があるかどうか


Strength (強み)
  • 強みとは、お客が競合ではなく自分たちを選ぶ理由
  • 選ぶ理由とは、お客にとっては価値でありうれしさ


Customer (顧客)
  • 提供する商品やサービスを価値だと思ってくれる顧客
  • 顧客から見ても、この商品・サービスを買いたいと思えるような、顧客と自社で相思相愛になる顧客が望ましい


Selling message (メッセージ)
  • 使い方と価値 (強み) を伝えるメッセージ
  • メッセージを5つの要素に入れているのは、どんなに良い商品で高い価値がもたらさせるとしても、顧客に知られていなければ意味がないから


BASiCS の整合性


BASiCS で一貫性が取れれば、以下のような整合性のある流れができます。


マーケティング戦略の整合性
  • 戦いやすい市場で [戦場]
  • 独自資源を活かし (ノウハウや資産など) [独自資源]
  • 差別化された商品・サービスを [強み]
  • ターゲット顧客に対して [顧客]
  • わかりやすく価値を伝えられる [売り文句]


ビジネスキャリアと戦略 BASiCS


戦略 BASiCS は、ビジネスキャリアを考える時にも役に立つフレームです。5つの順番を少し変えていますが、以下のような問いになります。


戦略 BASiCS のビジネスキャリアへの応用
  • 働く場所・環境:会社、業界、専門領域のどこを選ぶか [Battlefield]
  • 働く相手:一緒に働く人は誰か。顧客は誰か [Customer]
  • 自分の強み:自分が相手から選ばれる理由は何か。自分の提供価値は何か [Strength]
  • 強みの源泉:その強みの源泉になっているものは何か [Asset]
  • 端的な自分の説明:自分の魅力をシンプルに伝えるとどんな表現になるか [Selling message]


これら5つが相互に連動し、一貫性のあるストーリーになっていれば、より良い働き方ができます。


BASiCS で働き方を整理する


現時点での私の働き方を戦略 BASiCS に当てはめて整理してみます。


[整理 1] 働く場所・環境


スタートアップ企業の経営や事業支援を、個人事業としてのメイン事業にしています (2019年1月現在) 。

自分に合っている環境だと思うのは、すでに組織体制や事業領域がある程度成熟した大きな企業よりも、起業してまだ数年のこれからさらに成長していくであろうベンチャー企業です。

解決すべき問題が多く、問題を与えられるよりも自分で問題を見い出し課題設定ができる環境が、働く場所として合っています。

組織開発やマネジメントの導入から支援できるような、変化の早い環境です。


[整理 2] 働く相手


一緒に働きたいと思える企業や人の判断軸は、以下があります。


一緒に働く判断基準
  • 経営や組織の理念 (ビジョン・ミッション・価値基準など) に共感できる
  • 相手から自分が受け入れられ、必要とされる。直感的に相性が良いと感じる (一緒にいて違和感がない)
  • お互いに尊敬し合え、共に成長できる関係が築ける


[整理 3] 自分の強み


強みとは、自分が相手から選ばれる理由です。私が持っている専門性や知見、特性について、具体的には次のようなものが強みと評価されてほしいと考えています。


自分の強み
  • マーケティングやマーケティングリサーチ
  • プロダクト開発やプロジェクトのマネジメント
  • データ分析や結果の可視化 (ビジュアライズ)
  • 汎用スキル (例: 問題整理と課題設定、会議設計やファシリテーション、リーダーシップ、戦略的なものの見方と考え方)
  • 組織開発 (例: 価値基準などの文化醸成、OKR 等の評価基準の策定)
  • 人柄や人間性


[整理 4] 強みの源泉


自分が持っている強み (選ばれる理由) を、持続可能なものにできるかは、強みの源泉があるかどうかです。強みの源泉とは、人事評価で言えばコンピテンシーに当てはまります。

もし源泉が独自のものとして他人に簡単に真似できないようなことであれば、自分の強みは継続して持つことができます。

自分自身の強みの源泉で認識しているのは以下です。


強みの源泉
  • Google や前々職でのキャリア
  • 個人事業主として 「複業」 をすることにより、あるところでの経験が別の場所で活かせている (異なる点と点をつなげている)
  • 日頃からのインプットや勉強をブログ等で毎日アウトプットをし、知識の定着を図っている。毎日の内省と言語化により問題整理と課題設定の訓練になっている
  • フリーランスで組織に属していないので、客観的な外部の視点を持っている。相手のことを引き出して支援するサーバントのあり方ができている


[整理 5] 端的な自分の説明


自分の強みを端的なメッセージへは、まだ言語化ができていません。というのは、自分の強みはある1つのことを極めているというより、ある程度のレベルのものをいくつも持ち、それらをかけ合わせているからです。

一言でこれというメッセージに昇華できていないので、自分の魅力をシンプルに伝えるとどんな表現になるかは、自分のビジネスキャリアでの課題です。


まとめ


今回は、マーケティングの視点で、ビジネスキャリアをつくる方法をご紹介しました。

今回の記事のまとめです。

  • マーケティング戦略のフレーム、「戦略 BASiCS」 とは、
    • 戦いやすい市場で [戦場]
    • 独自資源を活かし (ノウハウや資産など) [独自資源]
    • 差別化された商品・サービスを [強み]
    • ターゲット顧客に対して [顧客]
    • わかりやすく価値を伝えられる [売り文句]

  • 戦略 BASiCS は、ビジネスキャリアに応用ができる。
    • 働く場所・環境:会社、業界、専門領域のどこを選ぶか [Battlefield]
    • 働く相手:一緒に働く人は誰か。顧客は誰か [Customer]
    • 自分の強み:自分が相手から選ばれる理由は何か。自分の提供価値は何か [Strength]
    • 強みの源泉:その強みの源泉になっているものは何か [Asset]
    • 端的な自分の説明:自分の魅力をシンプルに伝えるとどんな表現になるか [Selling message]


最後に


今回は、戦略 BASiCS というマーケティングのフレームから、自分のビジネスキャリアと働き方について考えました。

フレームがあることによって、特に今の自分に何が欠けているのか、これから重点的に明確にすることがわかってきます。

私の場合は、BASiCS の5つの要素では、「働く環境や場所」 と 「端的な自分の説明」 が詰めきれていません。特に自分は何者なのか、何屋として生きていくのかは今後の課題です。

今回使った戦略 BASiCS は、汎用的なフレームで応用範囲が広く重宝しているフレームです。

ご紹介した 実戦 商品開発マーケティング戦略 という本は、プロダクト開発の観点で BASiCS が使われており、おすすめの1冊です。



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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。