投稿日 2024/12/23

東大合格から学ぶビジネス成功術。漫画 「ドラゴン桜」 が教えてくれる戦略の要諦

#マーケティング #戦略 #本

少なくないビジネスパーソンが、日々の業務やプロジェクトにおいて目標達成に苦労していることでしょう。

ではどうすれば効率的に目標を設定し、それに向かって進むことができるのか。そんな悩みを抱えていませんか?

実は、あの人気漫画 「ドラゴン桜」 には、受験生だけではなくビジネスパーソンにとっても示唆に富む戦略的思考が詰まっています。東大合格を目指す高校生たちの奮闘物語の中に、私たちの仕事を変えるカギが隠されているのです。


ドラゴン桜から、ビジネスにおける戦略立案や目標達成の秘訣、ぜひ一緒に学んでいきましょう。

ドラゴン桜



漫画の 「ドラゴン桜」 は、三田紀房 (みたのりふさ) さんによる人気作品です。2003年から2007年まで講談社の漫画雑誌 「モーニング」 で連載されました。

ストーリー概要

主人公の桜木建二は、元暴走族で現在は弁護士という異色の経歴を持つ人物です。桜木は経営破綻寸前の私立龍山高等学校の運営問題を請け負うことになります。

当初は龍山高校を廃校にし清算をするつもりでいた桜木でしたが、その考えを改めます。学校を廃校にするよりも、龍山学校の経営状態を改善するという方針転換でした。そのためには進学実績を上げるのが最も効果的だとし、5年後に東大合格者100人を出すという大胆な目標を掲げます。

この目標を達成するため、東大専科という特別クラスを開設しました。将来に何も希望を持てず人生をあきらめかけていた水野直美と矢島勇介という二人の生徒が、東大専科のクラスに入ることを希望します。

水野と矢島の学力レベルは、当初は偏差値で言えば 30 くらいでした。高3の4月時点でこのレベルの2人を、1年後に偏差値 70 を超える東大に入学させようというものです。ちなみに偏差値 30 とは下位 2% くらい、偏差値 70 以上は上位 2% ほどです。

桜木は過去に受験指導で大きな実績を上げた個性豊かな教師たちを集め、水野と矢島の東大合格という目標を一丸となって進めていきます。

読みどころ

ドラゴン桜の物語では、桜木の厳しい指導法や冷静な判断力、そして生徒たちへの深い愛情が描かれています。桜木はただ厳しいだけでなく、生徒たちの個性を尊重し、生徒の強みを引き出すための最善の方法を常に考えています。

物語は、2人の落ちこぼれの生徒が東大合格を目指して奮闘する姿を通じて、受験勉強の具体的な方法や人生の価値観についても掘り下げていきます。

ドラゴン桜は、日本の受験制度や教育システムに対する批判的な視点も含んでおり、徹底した戦略的なアプローチと実践によって困難を乗り越えることができるというメッセージを読者に伝えています。

ビジネスパーソンが学べること


漫画の 「ドラゴン桜」 には、受験生だけにとどまらずビジネスパーソンとしても学べる点が多くあります。

ここからは、具体的なポイントから戦略やマーケティングなどのビジネスへの学びを見ていきましょう。

目的を明確にする

ドラゴン桜から学べるのは、目的を明確にすることの重要性です。

桜木建二が掲げた 「龍山高校は5年後に東大合格者を100人出す」 という目標は、明確で具体的な目標設定です。この目標は、龍山高校の経営再建という大きな課題に対処するために提示されました。

東大専科のクラスの2人の生徒には 「東大Ⅰ類の合格」 と最初に決め、東大に入ることそのものを明確なゴールとしました。目的とゴールの設定により、生徒の努力の方向性が定まり、生徒と親、先生たちも皆が同じ目標に向かって進むことができたのです。

目的を明確にしゴールに落とし込むことは、ビジネスにおいても重要です。組織やチームが一体となって動くためには、明確なビジョンと具体的な目標が不可欠です。

 「やること」 と 「やらないこと」 を決める

次に、桜木は目的達成のための戦略を立案します。

戦略とは、目的を達成するための 「やること」 と 「やらないこと」 の決めごとです。

ドラゴン桜では 「やること」 は、東大一本に絞り、徹底した基礎固め (小学校レベルの基礎から徹底させた) 、特別講師を招いての東大受験のための指導、東大の過去問の徹底分析と対策などです。

一方の 「やらないこと」 としては、難関私大の二次試験対策や、無駄な勉強法 (例: 教科書や参考書の重要箇所に線を引いてわかった気になること) などです。これらは意思を持ってやらないこととして最後まで貫きました。

東大一本に絞り、難関私大の二次試験対策は一切行わないという決断は、勉強へのリソースの集中と効率化を図る戦略です。

ゴールから逆算して考える

ゴールからの逆算思考も重要です。

桜木は、東大合格という最終目標から逆算して必要な学習内容を決定していきました。

最終的な目標を達成するために、必要なステップを逆算して計画を立てることで、効率的な受験勉強ができます。たとえば、どのタイミングで過去問に入るか、東大模試をいつ何回受けるかなどです。

目的とゴールから逆算して考えることで必要なステップを明確にし、今何をすべきなのか、やるべきでないのかを決めることができます。

敵を知り、己を知る

孫子の兵法には 「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」 という言葉があります。この教訓は、ドラゴン桜でも実践されています。

ここでの 「敵を知る」 とは、過去問や出題者の意図を理解することです。徹底的に過去問を分析し出題傾向をとらえ、出題者の意図を汲み取ろうとすることで、東大合格に向けた勉強を効果的に行えます。

さらに 「己を知る」 というのも大事です。

自分自身を客観的に理解する、科目ごとの得意・不得意な学習テーマの把握や、自分が問題を解けた・解けなかった理由の分類や傾向の分析、効率的な学習方法や計画につながります。

先人の知恵を徹底的に活用する

ドラゴン桜では、受験勉強において 「先人の知恵」 を徹底的に活用します。

桜木は、水野と矢島の2人の生徒には、勉強法の定石や受験テクニックを教え、まずはそれらを徹底して実践することから始めさせました。

これは 「守破離」 の考え方と同じです。まずは型をひたすら真似することから始め (守) 、少しずつ自分のやり方を取り入れる (破) 、最終的には自分なりのオリジナルの方法を見出していく (離) というアプローチです。

すでにある勉強方法や受験のテクニックを自分で一から考え出すような 「車輪の再発明」 は避け、先人の知恵で使えるものはマネをするという潔さが大事です。

ゲーミフィケーション (ゲーム化) 

ドラゴン桜では、受験勉強をゲームのようにとらえる場面もあります。

桜木は、受験勉強をあたかもゲームを一つ一つクリアするように取り組むことを生徒に奨励しました。受験勉強をゲームになぞらえクリアしていくアプローチは、モチベーションの維持と達成感の獲得に効果的です。

ビジネスにおいても、大きな目標を小さな達成可能な目標に分割し、それぞれの達成を称えることで、最終的な大きなゴールを達成するモチベーションを維持できます。

リーダーシップ

漫画 「ドラゴン桜」 の教えは、受験生のためだけのものではありません。

桜木の指導法には、リーダーシップの要素も含まれています。桜木は生徒の可能性を信じ、2人の生徒の潜在能力を引き出すことに注力しました。

これはビジネスリーダーにとっても重要な、チームメンバーの育成と強みの発揮と共通します。

環境変化に合わせて戦略を適応させる

最後に、ドラゴン桜が示唆する重要な点は、戦略は固定的なものではなく、必要に応じて環境の変化に応じて柔軟に変えていくものだということです。

漫画のストーリーの中でも、生徒の学習の進捗度合い、生徒を取り巻く家庭や学校の環境の変化に合わせて、勉強方針が適宜修正されました。

ビジネスにおいても、市場の変化、たとえばお客さんの価値観の変容や新たな競合の出現、技術の進歩、規制の強化や緩和などに応じて戦略を見直し、適応させていく必要があります。こうした柔軟性と適応力こそが、長期的な成功を導くカギとなるのです。

まとめ


今回は漫画の 「ドラゴン桜」 を取り上げ、ビジネスパーソンが学べることを見てきました。

最後にポイントをまとめておきます。

  • 目的を明確にする
  • 「やること」 と 「やらないこと」 を決める (特にやらないこと) 
  • 目的とゴールから逆算して考える (逆算思考) 
  • 敵を知り、己を知る
  • 先人の知恵を徹底的に活用する
  • ゲーミフィケーション (ゲーム化) 
  • 相手を信じ、潜在能力を引き出すリーダーシップ
  • 環境変化に合わせて戦略を適応させる


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多田 翼 (運営者)

書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。マーケティングおよびマーケティングリサーチのプロフェッショナル。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

前職の Google ではシニアマネージャーとしてユーザーインサイトや広告効果測定、リサーチ開発に注力し、複数のグローバルのプロジェクトに参画。Google 以前はマーケティングリサーチ会社にて、クライアントのマーケティング支援に取り組むとともに、新規事業の立ち上げや消費者パネルの刷新をリードした。独立後も培った経験と洞察力で、クライアントにソリューションを提供している。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。