2018/06/02

書評: やめられない!ぐらいスゴイ 続ける技術 (菅原洋平)


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やめられない!ぐらいスゴイ 続ける技術 という本をご紹介します。



エントリー内容です。

  • 本書の内容
  • 脳を使いこなすという発想
  • 継続力の高め方


本書の内容


以下は、本書の内容紹介からの引用です。

 「ガマン」 「努力」 「無理」 、ネガティブなもの、全て不要!

脳科学と作業療法士としての知識、経験から科学的に原因を説明してくれる初めての本。人生を変える 「継続力」 の高め方とは!?


 「脳を使いこなす」 という発想


本書で紹介される考え方でユニークだと思ったのは、行動を起こしたり続けるために、自分自身と脳を分けて捉えることです。

自分が主導権を握り、自分の脳を使いこなせるようにするという考え方です。通常、「自分 = 脳」 と見ますが、意識的に自分と脳を分け、脳を客観的に管理します。がんばって続けるのは自分ではなく、脳にがんばってもらうのです。


外発的動機と内発的動機


人がやる気を起こすのは、大きく2つの要因があります。外発的動機付けと内発的動機付けです。


2つの動機
  • 外発的動機付け:報酬 (ご褒美や給料) 、褒められること、昇進。自分の外から与えられた条件でやる気を起こし行動する
  • 内発的動機付け:自分の中から湧き起こるやる気。他人の評価は関係なく、自分の興味や楽しみから行動する


本書に書かれていたことで興味深かったのは、行動後の失敗の捉え方が、外発的動機付けと内発的動機付けで異なることです。

外発的動機付けから起こった失敗は、失敗すると続けるのをやめてしまい、内発的動機付けは失敗してもめげずにやり続けます。

人間の動機付けは、脳の内側前頭前野という部位に関係します。外発的動機付けからの失敗は、内側前頭前野の活動が低下するようです。内発的動機付けからの失敗は低下しないとのことです。

つまり、同じ失敗でも、内発的動機付けでは失敗と捉えないのです。何かを続けるためには、内発的動機付けをつくることが有効です。


続ける力の高め方


自分と脳を意識的に分け、脳を使いこなすための方法をいくつかご紹介します。


[方法 1] 自分で選び、自ら行動する


内発的な動機をつくるには、「自分で選ぶ」 「自ら行動する」 の2つが効果的です。主体的に決め、能動的に行動することです。

先ほど書いたように、本書の考え方でおもしろいと思ったのは、自分と脳を分け、脳を客観的に扱うことです。続けるためにがんばるのは自分ではなく、「脳にがんばってもらう」 と考えます。

自分で選び、自ら行動するために、後付でもよいので、脳にそう思わせることが効果的です。たとえ自分1人で選んだり決めていなくても、脳には自分で選んだことだと伝えます。

もし他人の評価を選択基準にしたとすると、選んだ理由は、自分の中から沸き起った気持ちではありません。しかし、自分の気持ちから選んだことにすれば内発的動機付けにできます。失敗しても脳は学び取り、やめずに続ける環境をつくれます。


[方法 2] 「○○ する」 と言い、脳が予測できるようにする


脳にとって、次の行動を予測できるものは、行動を起こしやすいとのことです。

有効な方法は、何かの行動を起こすときに、自分で 「○○ する」 と言ってみることです。行動を具体的な言葉で言うことによって、脳は予測できます。

一方で 「○○ しなきゃ」 では、脳は混乱します。「○○ する」 に比べて具体的ではないので、予測できず行動を起こしにくくなります。

このやり方は、やりたくない行動・やめたい行動をしないためにも効果的です。「○○ したくない」 ではなく、「○○ しない」 と明確に言葉にします。


[方法 3] 脳に 「いつものこと」 と認識させる


行動を続けて習慣にするためには、脳に 「いつものこと」 と認識させるとよいです。

少しでもやった事実をつくり、脳に 「いつもやっている」 と記憶させます。具体的には、いつも同じ時間にやる、その行動をするときの場所をつくることです。

例えば、朝起きて朝食の前に机に座り読書をする、帰宅後は自分の部屋でヨガをするなどです。先ほどの 「○○ する」 を取り入れると効果的です。読書をする前に 「本を読む」 と言ってから、実際に本を読み始めます。「本を読まなきゃ」 では脳は予測できません。

脳に 「いつものこと」 と記憶させるには、時間や場所を固定してやること自体が重要です。5分でもいいので、「いつも」 を認識させればよいのです。


習慣にするための期間


どのくらいの期間で行動が定着すれば、習慣化できたと言えるのでしょうか?

本書で参考になったのは、習慣化をしていく目標となる以下の期間の目安です。


習慣化までの期間
  • 4日:三日坊主という言葉があるように、新しいことを始めて4日継続できるか。人間には3.5日の体内周期があり、3日でやめてしまう性質があるとのこと
  • 7日:7日も生体リズムとして確立されている
  • 14日:生活習慣を変えると、体に何らかの変化が表れるのが2週間後とのこと。ちょっとした変化は自分でも気づかないこともあり、何かを続けようと思ったら、2週間後までに表れる変化を見過ごさないことが大切
  • 30日:月の満ち欠けや月経のリズムは1ヶ月単位。1ヶ月間、体のリズムが整ったら、その後も継続できるようになる


習慣化の期間で興味深いと思ったのは、ある期間において過半数でできるかどうかです。

例えば、期間を7日とすれば過半数の4日以上できれば、生体リズムの特徴は、過半数のほうに同調するようです。

習慣化のためには少しでも毎日継続することが大事です。一方で、完璧主義を貫こうとすると、1回でもできない日があると、その後に継続しようとする気持ちを持てないこともあります。

その場合は、1週間のうち、毎日できなくても最低4日以上はやることが有効です。過半数のリズムによって、脳に 「いつものこと」 と認識させることができます。


最後に


本書がおもしろく読めたのは、自分と脳をあえて分けて、続けて習慣にするために自分ががんばるのではなく、脳にがんばらせるという考え方です。脳を客観的に扱います。

意図的に、脳に 「いつもやっていること」 と記憶させ、習慣化を目指すやり方です。

三日坊主を防ぐために、やる気や根性に頼るのではなく、脳と人間の体の仕組みをうまく活用した方法で、興味深く読めた本です。



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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社概要はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。