2018/06/29

投資家が大切にする4つの質問に、回答例を考えてみた


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知人から、4つの質問を教えてもらいました。

主にスタートアップの企業に投資するベンチャーキャピタリストが、その企業に本当に投資する価値があるかを判断するための質問です。

今回は、投資家が大切にする4つの質問と、答えの例を自分なりに考えたのでご紹介します。4つの質問は次の通りです。

  • 何が魅力か?
  • 懸念は何か?
  • なぜ今か?
  • 多くの人は信じていないが (あるいはまだ気づいていないが) 、あなただけが信じている大切なことは何か?

以下、それぞれの質問について、回答例と併せてご紹介します。


1. 何が魅力か?


この質問は、本当に投資したいと思える魅力は何かです。答えの具体的な例は、次の通りです。

  • 描いているビジョン、やるべきミッションに共感できる。社会をより良くすることを掲げている (生活者視点である)
  • ビジョンとミッションの背景 (解決すべき問題) が明確である
  • 起業して1年未満のアーリーステージにもかからわず、収益化の仕組みができている。既存事業の収益を、新しい事業へ資金を投資できている
  • CEO と COO の2トップが社員を牽引している (経営層の魅力)
  • 特定の会社の後ろ盾がなく、独立した経営体制になっている
  • 営業力が強い。顧客との関係構築が良好で、顧客の経営層まで食い込めている


2. 懸念は何か?


2つめの質問は、現在や将来で懸念や不安に思えることです。具体的な回答例は以下です。

  • 営業は強いが、一方で、技術開発やマーケティングが弱い (バックエンドがフロントより弱い)
  • 事業拡大に伴い、人材確保は追いつけるか。人が足りなくなり、採用基準を緩め中途半端な人を入れることは起こらないか
  • 今後の差別化要素と、それを実現するための会社としての源泉が、5年スパンでの視点で具体化されていない
  • ビジネスモデルにおいて、仲介者のポジションである。しかし、この領域では今後は、非中央の分散型社会になり仲介者が不要になる世界になると考えられる。自分たちの存在意義をどこに見い出すか
  • 個人情報の保護、活用の厳格化が予想されるが、ビジネスと収益基盤に影響はないか。対策はあるか


3. なぜ今か?


3つめの質問は、スタートアップが投資家に自分たちへの投資を募るのは、なぜ今このタイミングなのかです。投資家にとっては、本当に今が投資すべき時かどうかです。

回答の例は、次のようなものが考えられます。

  • 自分たちが実現したいビジョンを達成するための技術が普及し、安価に利用できる環境になってきた。クラウドサーバー、マシンラーニング、ブロックチェーンなど
  • 外国企業の参入が確実視され、国内企業は危機感を抱いている。ようやく重い腰を上げる雰囲気になっている
  • 2020年に向けて、日本は最後とも言える投資、経済成長の機運が高まっている
  • 海外からの旅行者や短期滞在者が増加。日本への関心が高まっており、日本初の未来のあるべき姿、ビジネスモデルを発信するチャンスである
  • 事業拡大のための資金を一気に調達して投資し、より一層の攻めの経営に舵を切りたい


4. 多くの人は信じていないが (あるいはまだ気づいていないが) 、
あなただけが信じている大切なことは何か?


4つの質問のうち、聞いた時に私がユニークだと思ったのがこの質問です。「多くの人はそうは思っていないが、自分にとっては大切な真実は何か」 です。

人と違うことをやるという逆張り思考から、競争が少ない領域に入ろうとしているか、あるいは、全く競争のないところで新しくゼロからイチをつくろうとしているのかを問う質問です。

回答例は以下です。

  • 現在のユーザー体験は長年続き、皆が当たり前に思っている。不便を常識だと思い込んでいる (受け入れている) 。しかし、あるべきユーザー体験は、もっと良くできる
  • 未来のユーザー体験は、アメリカや中国のスタートアップが発信していることが、日本も含め世界的に注目されている。しかし、自分たちが描いているユーザー体験は、それらとは一線を画している
  • イノベーションは外からのディスラプト (破壊的な業界参入) によって起こると考えられている。一方で、自分たちは既存のパートナーと組み、自分たち自らで主体的に変化し、イノベーションを実現しようとしている (未来の当たり前を自らつくる)


最後に


今回は、投資家が投資判断に使う4つの質問と、回答例をご紹介しました (回答例は架空のスタートアップを想像し、つくってみました) 。

4つの質問は、以下です。

  • 何が魅力か?
  • 懸念は何か?
  • なぜ今か?
  • 多くの人は信じていないが (あるいはまだ気づいていないが) 、あなただけが信じている大切なことは何か?

ベンチャーキャピタリストではなくても、自分がこれから始めようとしていることなど、個人のレベルでも大局的に考えることができる質問です。

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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社概要はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。