2018/06/19

書評: ピーター・ティール - 世界を手にした 「反逆の起業家」 の野望 (トーマス・ラッポルト) 。競争をしない唯一無二を目指すための逆張り思考


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ピーター・ティール - 世界を手にした 「反逆の起業家」 の野望 という本をご紹介します。書いているのは、読んで考えさせられたことです。



エントリーの内容です。

  • ピーター・ティール、本書の概要
  • 興味深かったピーター・ティールの考え方
  • スタートアップが失敗する5つの要因


ピーター・ティールと、本書の概要


本題に入る前に、ピーター・ティールについてと本書の概要です。以下は、内容紹介からの引用です。

フェイスブックを最初期から支えた大物投資家。

テスラ、ユーチューブ、リンクトインなどの名だたる起業家を輩出したペイパルの伝説的共同創業者。ドナルド・トランプを意のままに操り、「影の米大統領」 (ポリティコ誌) とささやかれる政策アドバイザー。

スタンフォード大学を震撼させた自由至上主義哲学者。そして、シリコンバレーの頂点を極めながら、誰よりもシリコンバレーに絶望している男――。ジョブズ、ザッカーバーグを超える無敵の男、その全戦略と破壊的思考にせまる初の本!


興味深かったピーター・ティールの考え方


ピーター・ティールの考え方で興味深いと思ったのは、2つです。

  • 競争をしない唯一無二を目指す
  • 逆張り思考


1. 競争をしない唯一無二を目指す


ピーター・ティールは、起業家と投資家として 「独占主義」 をモットーにしています。高く評価するのは、全く新しい市場を切り拓いて独占する企業です。

他人と競争するのは、ピーター・ティールにとっては愚かなことです。競争とは、巻き込まれた時点で負けだと彼は考えます。


2. 逆張り思考


興味深かったのは、本書で紹介される彼が好む質問です。

 「賛成する人がほとんどいないが、自分にとっては大切な真実は何か?」

質問の前半 「賛成する人がほとんどいない」 とは、一見すると今の常識に反しているものです。あるいは、多くの人がまだ誰も気づいていないことです。

それに対して、質問の後半 「自分にとって大切な真実」 とは、自分にはすでに見えている未来の当たり前です (今はまだ当たり前になっていないこと) 。自分だけが気づいているものです。

この質問を別の表現にすれば、私が思うのは以下です。

 「一見すると不合理だが、自分には合理なこと」
 「部分的には不合理だが、全体で見れば合理なこと」

逆張り思考は、競争を避けることにつながります。

まだ誰も気づいていないこと、賛成しないが、自分には大切な真実を追求することは、他の人とは違うことに取り組むということです。競争をせずに、新しい市場を切り拓いていけます。


スタートアップが失敗する5つの要因


2018年6月現在、本業とは別にスタートアップのアドバイザーもやっています。経営戦略やマーケティングのアドバイス、技術支援です。コンサルティングやメンターとして関わっています。

本書にはスタートアップが失敗する5つの要因が書かれています。

  • アイデアが時期尚早だった
  • アイデアが遅すぎた
  • アイデアに意味がない
  • アイデアが高くつきすぎる
  • アイデアにこれといったメリットがなかった


早すぎず遅すぎないタイミングとは?


5つのうち、はじめの2つはタイミングについてです。アイデアを実現させるのに、早すぎず、遅すぎないタイミングかどうかです。

そのためにベストな時期かどうかを判断する基準は、自分でさえアイデアのことが 「半信半疑」 かどうかです。成功する確率が 50% 、失敗するかもしれない確率が 50% のタイミングです。

先ほどの逆張り思考でご紹介したように、スタートアップのアイデアとは 「賛成する人がほとんどいないが、自分にとっては大切な真実」 です。今から取り組んだとして、大切だと強く信じている自分ですらも、今やって本当に成功するかはわからないものです。

アイデア自体は、自分以外の人も気づいているでしょう。異なるのは、気づいている中でも半信半疑な状況で、実現のためにいち早く行動できるかです。


 「解の質」 を上げる前に 「問題の質」 を高める


スタートアップが失敗する5つの要因のうち、残りの3つは 「そのアイデアは、自分たちが取り組むのに相応しい問題を解決するか」 です。

問題を解決するとは、問題の解を導き出すことです。

ただし、いきなり問題をアイデアで解こうとするのではなく、重要なのは 「問題の質を高めること」 を先にやることです。

スタートアップ失敗要因の3つからの示唆は、本当に解くべき問題なのかの見極めが最初で、その後に、その問題はアイデアによって実際に解けるかを考えることです。この順番を間違ってはいけません。


最後に


今回は、競争しないことを考えるための逆張り思考と、スタートアップが失敗する5つの要因について書きました。

ピーター・ティールは起業家であり投資家なので、対象は企業についてです。しかし、読んでいて思ったのは個人のレベルでも当てはまることです。

例えば、個人レベルでも 「多くの人が賛成しない (あるいは気づいていない) が、自分には大切なことは何か」 を考えることや、自分が信じることが半信半疑な状態でも、積極的に行動することの大切さを教えてくれます。



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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社概要はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。