投稿日 2020/11/29

書評: 砂の王宮 (楡周平) 。タイトルが意味するメタファーと教訓



今回は書評です。

ご紹介する本は 砂の王宮 (楡周平) です。





この記事でわかること


  • 本書のストーリー
  • タイトル 「砂の王宮」 の意味
  • 欲への囚われが砂に気づかない


この本はストーリーとしても純粋におもしろく、またタイトルである 「砂の王宮」 の意味合いを考えさせられました。

この記事ではそのあたりを中心に書いています。ぜひ記事を最後まで読んでいただき、この本も手に取ってみてください。


本書のストーリー


この本は、戦後からを舞台にしたフィクションのビジネス小説です。

太平洋戦争の敗戦後に闇市からビジネスを起こし、一代で小売やホテル業を築いた男の物語です。

以下はこの本の内容紹介からの引用です。

戦後、復興へ向け活気に溢れる神戸の闇市で薬屋を営んでいた塙太吉。進駐軍の御用聞きをしている深町の戦略的な提案に乗り、莫大な儲けを手にする。

その勢いで、スーパーマーケットを開業し、格安牛肉を武器に業績を飛躍的に向上させた。全国展開への道を順調に進むが、ある事件をきっかけに、絶体絶命の局面に……。

日本が世界経済の中心に躍り出た激動の時代を支えた男を描く圧巻の経済小説。


タイトル 「砂の王宮」 の意味


読みながら考えさせられたのは、この本のタイトル 「砂の王宮」 が何を意味するかでした。

砂上の楼閣で、一見すると王宮のように立派でも実は砂のようにもろいことのメタファーです。一度崩れると跡形もなくなってしまうものの象徴です。

具体的には、人間関係 (家族やビジネスでの信頼関係) 、地位などの社会的ステータス、ビジネスモデルです。

小説のストーリーから考えさせられたのは、成り立っている土台や骨格、本質を理解せずに見失ったまま、つまり危うくなっていることに気付かずにせっせと砂で大きいを立派にしようとしていないかです。


砂の自分ごと化


自分自身に当てはめた時に、今の自分があるのは誰のおかげなのか、何のおかげかを問われました。自分でも気づかない間に、おごりや慢心の気持ちを抱いてしまっていないでしょうか。

足るを知る謙虚さ、感謝の気持ち、今の自分があるのは与えてもらっているからです。こうした普段は意識しないことに目を向け、自分自身が砂にならないように気をつけたいと考えさせられます。


欲に目を奪われる


この本の物語からの教えは、立派な王宮が実は砂であったことに気づかないのは、過剰に欲望に囚われてしまっているからです。

人間は誰しもが欲を持っています。それ自体は否定するものではありません。しかし欲は諸刃の剣です。際限がないので追い求めても終わりがなく、完成しないものです。

上ばかり見ていると、足元や現状把握が疎かになります。自分がやってきたことのストック (王宮) が砂であることに気づけません。ふとしたきっかけで一瞬で砂は崩れてしまいます。

この状況をビジネスに当てはめると何が言えるでしょうか?

自分たちの戦略や打ち手での前提は何か、ボトルネックやウィークポイント、どこを相手に握られるとたちまち苦しくなるのかは常に意識しておきたいことです。

欲望への固執と囚われが、いつしか砂の上に自分はいるのです。


まとめ


今回は 砂の王宮 という本をご紹介しました。





いかがだったでしょうか?

最後に今回の記事のまとめです。


本書のストーリー
  • 戦後からを舞台にしたビジネス小説
  • 太平洋戦争の敗戦後に闇市からビジネスを起こし、一代で小売やホテル業を築いた男の物語


タイトル 「砂の王宮」 の意味
  • 一見すると王宮のように立派でも実は砂のようにもろいことのメタファー。一度崩れると跡形もなくなってしまうもの
  • 人間関係 (家族やビジネスでの信頼関係) 、地位などの社会的ステータス、ビジネスモデル
  • 自分でも気づかない間におごりや慢心の気持ちを抱いてしまっていないか。足るを知る謙虚さ、感謝の気持ちを持つ


欲への囚われが砂になる
  • 立派な王宮が実は砂であったことに気づかないのは、過剰に欲望に囚われてしまっているから
  • 欲は諸刃の剣。際限がなく、追い求めても終わりがなく完成しない
  • 足元や現状把握を疎かにしない





砂の王宮 (楡周平)


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社概要はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。