
今回は書評です。
TEN (楡周平) という本をご紹介します。
この記事で書いていること
- 本書の概要
- 働くことの意味
- 誰に向かって仕事をするか
- 顧客不在の仕事になっていないか
ビジネス小説 TEN が面白く、一気に読めました。
この記事では、ストーリーの概要と読んで考えさせられたことを書いています。
小説のストーリー
内容を一言で言えば、現代版・豊臣秀吉のサクセスストーリーです。
物語の時代設定は昭和なので厳密には現在ではありませんが、豊臣秀吉が当時の戦国時代で出世をしたプロセスを現代に当てはめるとこうなるというビジネス小説です。
例えば豊臣秀吉は冬の寒い朝に織田信長の草履を温め、信長の足が冷えない配慮をしたと言われてます。この小説でも主人公の小柴駿太は、同じような状況からチャンスを掴みます。
以下は本書の内容紹介からの引用です。
戦後の動乱期、横浜のドヤ街で当たり屋稼業をして暮らす 「テン」 こと小柴俊太は、幼馴染と偶然再会した縁で、料亭の下足番として雇われる。
ある日、幼馴染の上司でもあるムーンヒルホテルの次期社長・月岡に見出され、彼の運転手を務めることになる。やがて月岡の会社に就職した俊太は、学歴はないものの独創的なアイデアと度胸で次々と実績をあげ、異例の出世をしていく。
ところが、ある事件が発覚し、会社は上場廃止の危機に陥る。一連の騒動の背後には、思いもよらぬ人物の裏切りがあった……。
働くとは
この本で考えさせられたことから一つに絞るとすると、働くことの意味合いです。特に、誰に向かって自分は働いているのかを問いかけられました。
仕事への第一優先度を自分の成功、出世、保身のためとしていないでしょうか?
主人公の俊太は、自分の欲ではなく自分の世話をしてくれた恩人のためにを第一にしていました。一方で周りの人達は出世や保身のためでした。
この違いが後から振り返った時に、自分の道がどんなキャリア形成だったかに繋がります。
仕事と自己実現
働くことへの意味に自己実現があります。
仕事を通して自分を成長させることは大事なことです。
しかし自己実現が、いつしか他人との評価やものさしの中だけでしか語れないものになっていないでしょうか?
他者からの評価とは、自分が頭一つでも出世をしたい、今のポジションや肩書きを守りたい、他人よりも少しでも多い年収でありたい、というものです。
自己実現で大事だと思うのは、あくまで自分の中、自分のものさしで測れる実現です。
顧客不在の仕事
仕事のプライオリティを自分が第一になると、顧客不在の仕事になってしまいます。
顧客不在とは、自分の欲望を達成するためだけの仕事、上司や社内で影響力の高い人を向いてご機嫌取りをするような仕事です。社内政治をうまく乗り切ることばかりに目が向いています。
これらはいずれも内輪の論理です。ここに顧客の存在はありません。
仕事の意味合いへの優先順位
では仕事での意味合い、優先順位はどう考えればいいのでしょうか?
人それぞれの答えがあっていいと思いますが、私は自分自身のことは最後に持っていきたいです。具体的には優先順位は次のように考えます。
仕事の意味合いへの優先順位
- 目の前の相手 (顧客, 一緒に働く人) の成功
- 世の中。社会をより良くする
- 自己実現
大事なのは三つのバランスと順番です。注意したいのは自分ばかり・自分だけのための仕事にならないようにです。
まとめ
今回は TEN という本をご紹介しました。
いかがだったでしょうか?
最後に今回の記事のまとめです。
本書の概要
- 内容を一言で言えば、現代版・豊臣秀吉のサクセスストーリー
- 社長の運転手を務めるところから始まり次々と実績をあげ、異例の出世をしていく
働くとは
- 働くことの意味合い、誰に向かって自分は働いているのかを問いかけられた
- 主人公の俊太は、自分の欲ではなく自分の世話をしてくれた恩人のためにを第一にした
仕事の意味合いへの優先順位 (三つのバランスと順番が大事)
- 目の前の相手 (顧客, 一緒に働く人) の成功
- 世の中。社会をより良くする
- 自己実現
TEN (楡周平)