投稿日 2021/03/15

抽象化力を鍛える思考法を具体例で解説


今回は思考方法についてです。抽象化力を取り上げます。

✓ この記事でわかること
  • 抽象化力を鍛える思考法
  • 具体と抽象からの横展開
  • ビジネスの例で解説 ( 「試供品」 と 「転職後の仕事」 の共通点)
  • 注意点は前提理解

ご紹介したいのは、抽象化力を高める具体から抽象への思考方法です。

ぜひ最後まで読んでいただき、何か少しでも参考になればうれしいです。

具体と抽象からの横展開


抽象化する力とは、具体と抽象を自然に行き来できる思考力です

✓ 具体と抽象からの横展開
  • ものごとを解像度高く具体化する
  • 具体を抽象化する
  • 抽象化した本質を別の具体に落とし込む

図でイメージを共有すると、次のようになります。


ポイントは図で赤字で示しているように具体から本質を見出し、つまり一度抽象化してから別の具体に当てはめます

では具体的な話で、さらにこの方法を掘り下げてみましょう。


試供品を配ることの本質


販売手法で、試供品を無料で配るやり方があります。化粧品やサプリではお馴染みの方法ですよね。

まずは試供品を使って商品の良さを実感してもらってから、本品を買ってもらうことを狙います。いきなり売らずに、お客さんからの信用を築きます。

この手法の本質を考えると、一言で表現すれば 「損して得取れ」 です。

試供品はそれなりの量を無料配布すれば、ここだけを見れば赤字です。しかし長い目で見て、本品の売上によって後から赤字を回収して収益を出します。

* * *

では、この話を他のことに応用してみましょう。


 「損して得取れ」 の横展開


例えば仕事への姿勢です。具体的なシーンとして、会社での部署異動や転職後の新しい環境になった状況に当てはめてみましょう。

最初は、まわりの人がやりたがらない地味な仕事を積極的にやってみます。こうした仕事で成果を出し信用を得てから、自分のやりたいことに広げていくのです。最初は損な役回りですが、長い目で見れば必要なプロセスだと捉えるわけです。

以上の例を具体と抽象で整理すると次のようになります。

✓ 「試供品」 と 「転職後の仕事」 の共通点
  • 試供品を使った販売手法の本質は 「損して得取れ」
  • 損な役回りの仕事は 「試供品」
  • 自分のやりたい仕事が 「 (収益につながる) 本品」


前提の注意点と示唆


抽象化からの横展開で注意点があります。

最初の具体での前提を理解する重要性です。もし前提が違うと、そのまま横展開をしても上手く機能しません。

先ほどの試供品からの 「損して得取れ」 の例で続けると、試供品から本品につなげるために大事な前提は2つです。

✓ 試供品から本品につなげる前提
  • 試供品に価値がある
  • 試供品から本品までの距離が近い

1つ目の前提は、試供品がお客さんにとって価値があることが大事です。お客はもらってうれしくなり、使えば良いものだと実感できます。たとえタダであっても価値がなければ本品は売れません。

2つ目の前提である 「試供品から本品までの距離」 についてです。

例えば無料の試供品の次が何万円もするようなセット品だと、試供品がたとえ良くても本品を買うのはお客さんは躊躇するでしょう。

この場合はもう1つステップを入れるといいです。ホップからいきなりジャンプではなく、ホップ・ステップ・ジャンプと間にもう1つを入れます。例えばセット品ではなくその中の単品バラ売り商品です。

ここは工夫の余地があり、「単品 + 試供品」 でセット品の体験ができる商品設計をするといいです。


2つの前提からの示唆


では、試供品から本品までの 「損して得取れ」 がうまくいく前提から、横展開した先の 「新しい環境での仕事」 にはどんな示唆があるでしょうか?

1つ目の前提 (試供品に価値がある) からは、損な役回りの仕事であっても全力で取り組み、きっちりと成果を出す重要性です。

2つ目の前提は、試供品から本品への距離の近さでした。

ここからの示唆は、自分のやりたい仕事が大がかりな案件の場合は、その前に小プロジェクト分けて結果を出すことを目指します。 一足飛びで大きな成功獲得を焦らず、ホップ・ステップ・ジャンプです。


まとめ


今回は、抽象化力を鍛える方法をご紹介しました。ポイントは 「具体と抽象からの横展開」 「具体から抽象での前提理解」 です。

最後に記事のまとめです。

具体と抽象からの横展開
  • ものごとを解像度高く具体化する
  • 具体を抽象化する
  • 抽象化した本質を別の具体に落とし込む

試供品から仕事への横展開
  • 試供品を使った販売手法の本質は 「損して得取れ」
  • 損な役回りの仕事は 「試供品」
  • 自分のやりたい仕事が 「 (収益につながる) 本品」

注意点は前提理解
  • 具体から抽象への前提が違うと、そのまま横展開をしても上手く機能しない
  • 試供品の例での前提は 「試供品に価値がある」 「試供品から本品までの距離が近い」
  • 1つ目の前提からの仕事向き合いへの示唆は、損な役回りの仕事であっても全力で取り組み成果を出す
  • 2つ目からの示唆は、自分のやりたい仕事が大がかりな場合は、まずは小プロジェクト分けて成功させる

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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。