#マーケティング #企画 #本
お仕事で企画を立てる際、アイデア出しに苦労していませんか?
斬新な発想を生み出すことは容易ではありません。しかし、それは 「ひらめき」 を待つしかない、どうしようもないことなのでしょうか。もしかしたら、私たちはその考え方を見直す必要があるのかもしれません。
実は、独創的なアイデアを生み出し、魅力的な企画を作るためには 「仕組み」 があります。その仕組みを知ることで、誰もがアイデア発想力を飛躍的に高められる可能性を秘めています。
今回は、バンダイで大ヒット商品を生み出してきた高橋晋平氏の著書 「一生仕事で困らない企画のメモ技 (テク) - 売れる企画を "仕組み" で生み出すメモの技術 (高橋晋平) 」 を取り上げます。
こちらの本から、アイデア発想のコツ、企画を磨き上げるテクニックまで、実践的な手法をぜひ一緒に学んでいきましょう。
本書の概要
著者の高橋晋平さんは、バンダイでのバラエティ玩具の企画開発やマーケティングに従事されてきた方です。代表的な玩具には大ヒット商品となった玩具 「∞プチプチ」 があります。現在は株式会社ウサギ代表取締役として、さまざまな形の 「モノコトづくり」 に携わっています。
この本では高橋さんのアイデア発想術や企画をつくる方法を、具体的に余すことなくオープンにされています。
アイデア発想法の3大原則
企画の原案になるアイデアを生むために、姿勢として持ちたいことは3つです。
- アイデアは 「考えたいお題」 × 「ネタ (欲しいと思うものごと)」 で発想する
- アイデアは質より量である
- アイデアは、ダメなものから率先して出し始める
3つ目について補足をすると、ダメなアイデアから先に出そうと意識すると、アイデアを考える心理的なハードルが下がります。
パッと見でイケてなさそうなアイデアが出たとしも、それをもとに 「ちょっとだけここを変えてみたら?」 とか、「逆に考えてみたら?」 、「少しだけ現実に寄せてみたら?」 などと、少しずつ視点を変えて考えてみます。そうすると、派生して2つ目、3つ目とアイデアが出やすくなるというわけです。
独創的なアイデアの生み出し方
ではここからは、この本を読んで参考になったアイデアのつくり方をいくつか見ていきましょう。
企画の種を集めたネタ帳
企画をつくるために常日頃からやっておきたいのは、「自分がほしいと思うものこと」 を集めたネタ帳をつくることです。
ほしいものリストをネタとしてためておき、いざ考えたい 「お題 (例: 新しい商品の企画) 」 がでたらネタ帳の出番です。ネタ帳にあるネタとランダムにかけ合わせ、企画の原案となるアイデアをつくっていきます。
アイデアの原型を量産し、よいものを選定するために 「三角形メモ」 (くわしくは後ほどご説明します) を活用し、筋のよさそうなものを企画にします。
ネタ帳に何を書く?
ネタ帳の中身ですが、ネタ帳には自分のほしいものを一言で自分にわかるように書きためておきます。
ポイントは、企画の材料となるネタを集める時は、自分がほんとうに欲しいと思うものだけをメモすることです。自分自身がほしいと思う、すなわち自分の視点で 「自分の欲求を動かす」 と確信したネタだけでネタ帳を埋めるという考え方です。
この本を読んで私もネタ帳を書きためるようにしていますが、たとえばこんな感じです。
- 雨の中でも晴れの日のように問題なく走れるジョギングスーツ
- 騒音や家族の話し声を遮断する寝室
- ダミーの電話番号。個人情報をどうしても記入する必要があるときに使用
- 個人情報を教えるのをうまく断れるツール
- おならのにおいから腸内環境を測定するアプリ
- 食物繊維バランスが完璧になった粉末食品 乳酸菌入り
- 味しかない食べ物。栄養もカロリーも一切ない
- 水だけで身体の汚れを落とすモードと、肌の保湿をしてくれるモードが切り替えられるシャワー
- 食事の最後に、これを口に入れたり食べれば歯磨きを一切しなくても、歯周病や虫歯にならない
日常のなかでこんなのがほしいと思ったものを、存在しなさそうなものもすべて含めてスマホのメモにしておきます。音声入力がはやくて便利です。
しりとり発想法
アイデアは既存のものとの組み合わせであるというのは、よく知られた考え方でしょう。
ただし、実際に使えるアイデアを生み出すためには、なんでもかんでも組み合わせればよいというものではなく、かけ合わせるものの関係性が低いものを意識して選ぶ必要があります。
そこでご紹介したいのは、言葉の 「しりとり」 を使ったアイデア発想法です。
任意にしりとりで出した言葉を組み合わせてアイデアを出す方法です。
やり方はかんたんです。
1列目に、しりとりで出てきた単語などを上からどんどん入れていきます。次に、企画のお題 (例: 新しいおもちゃのアイデア) にその単語をかけあわせ、出てきたアイデアを2列目以降に書き連ねていくという発想手法です。
この例では 「ゴリラ」 とおもちゃをかけ合わせていますが、普通、いきなりゴリラのおもちゃを作ろうという発想にはならないでしょう。しかし、りんご、ゴリラ、ラッパ…、としりとりをし、強制的にお題と組み合わせることで、アイデアが自然と出てきます。
しりとりで出した数の分だけお題とかけあわせるので、しりとりから20個出せば、アイデアも20個と量産できます。
三角形メモ
もう1つ、この本で参考になったフレームをご紹介します。
マーケティングそのものだと思ったのが、こちらの 「三角形メモ」 です。
三角形には 「何を」 「誰に」 「いくらで」 の3つを頂点とし、企画をこの3つの視点で磨いていきます。
これら3つは、何を (提供価値 (商品) ) 、誰に (ターゲット顧客) 、いくらで (価格) となり、3つの中から2つをかけ合わせて整合性をとっていきます。
具体的には、
- 「誰に × 何を」 でターゲット顧客のほしいものか
- 「何を × いくらで」 で稼げるか。コスト的に実現可能か
- 「誰に × いくらで」 でターゲット顧客が買いたいと思えるか
大トンガリを1つに絞る
三角形メモでおもしろいと思った考え方は、商品の提供価値である 「何を」 において、もっとも打ち出したい特徴を "大トンガリ" として1つだけ設定するというものです。
大トンガリではない特徴や魅力は "小トンガリ" は用意するものの、あえて隠しておくというスタンスをとります。
隠す狙いは、大トンガリだけを訴求し小トンガリについて事前にはあえて言わないことで、購入者や利用者のサプライズ体験につなげるためです。「こんなにいいポイントが他にもあって、買った自分だけがそれを知ることができた」 という体験をつくることを狙います。
まとめ
今回は、書籍 「一生仕事で困らない企画のメモ技 (テク) - 売れる企画を "仕組み" で生み出すメモの技術 (高橋晋平) 」 を取り上げ、学べることを見てきました。
最後にポイントをまとめておきます。
- アイデアは 「考えたいお題」 × 「ネタ (欲しいと思うものごと)」 で発想する
- アイデアは質より量である
- アイデアは、ダメなものから率先して出し始める
✓ 独創的なアイデアの生み出し方
- 自分が本当に欲しいと思うものことを書きためる 「ネタ帳」
- しりとりで出した言葉をお題と組み合わせてアイデアを出す 「しりとり発想法」
- 企画を "何を" "誰に" "いくらで" の3つの視点で磨く 「三角形メモ」
✓ 大トンガリを1つに絞る
- 商品の提供価値である 「何を」 において、もっとも打ち出したい特徴を 「大トンガリ」 として1つだけ設定
- 大トンガリ以外の 「小トンガリ」 はあえて隠しておく。ユーザー体験でのサプライズを起こすため
この本は、新しいアイデアを生み出したい、企画のつくり方を学びたい、独創的な発想力を鍛えたい、そんな方におすすめです。
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