2018/05/30

ブランドの戦略的なつくり方。体験から感情移入が起こりブランドはつくられる


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今回は、マーケティングの観点からブランドについてです。ブランドとは何かを定義し、どうやってブランドをつくるかを考えます。

エントリー内容です。

  • ブランドとブランディングの定義
  • ブランドのつくり方


そもそもブランドとは何か


始めに、ブランドとブランディングの定義です。私の考えるブランドとブランディングは、以下です。

  • ブランド:ポジティブな感情が伴っている商品やサービス (あるいは企業) 。感情は例えば、好き・満足感・共感・憧れなど
  • ブランディング:商品・サービスに感情移入を起こす働きかけ

ブランドかそうではないかの違いは、商品やサービスに望ましい感情が伴っているかどうかです。感情レベルが強いほど、その人にとって思い入れのあるブランドになります。

ブランドの定義で前提としている考え方は、ブランドとは人の頭の中でつくられることです。

ここに、ブランドの難しさがあります。製品は工場でつくられ、生産や品質管理は企業側でできます。しかし、ブランドは顧客である生活者の頭の中でできるものなので、ブランドは本質的には直接管理できない領域にあります。


ブランドのつくり方


では、どうすれば、商品・サービスや企業に感情を持ってもらい、顧客の頭の中にブランドができるのでしょうか?

私が考えるブランディングは、以下のプロセスを取ります。

  • 自分たちのブランドを定義する
  • 顧客を明確にする
  • 顧客のカスタマージャーニー (ブランド体験プロセス) を描く
  • ブランド体験ごとに施策をつくり、PDCA をまわす

以下、それぞれについて解説します。


1. 自分たちのブランドを定義する


自社ブランドの定義は、以下の3つから設定します。

  • ブランドビジョン:ブランドが実現したい理想の世界観
  • ブランドミッション:実現するためにブランドが成し遂げること
  • ブランドバリュー:ミッションを通じて、ブランドが人にもたらす価値

ビジョンで理想の世界観を示します。ミッションは、理想の世界を実現するために自分たちは何をするか (やらないか) です。そして、ミッションを行なうことによって、ブランドは人々に価値を提供します。

ビジョン・ミッション・バリューの3つは、ブランドのコアとなる要素です。


2. 顧客を明確にする


ブランドコアに共感してもらえる人、そして、共感してほしい人は誰かです。つまり、ブランドと相思相愛の仲になれる顧客は誰かです。

顧客を明確にするために、次の3つをつくり、関係者で共有します。

  • セグメント:人々を分ける。分ける軸は、性別年代や居住地域、ライフスタイル、価値観、情報行動、ブランド・カテゴリーの利用など
  • ターゲット:分けた各グループのうち、どのグループと相思相愛になりたいかを決める
  • ペルソナ:ターゲットグループを一人の象徴的な人物像として設定し、深く理解する。その人の今だけではなく、過去の出来事や人生も含めて具体的なターゲット像を描く


3. 顧客のカスタマージャーニー (ブランド体験プロセス) を描く


カスタマージャーニーという体験フローをつくります。ペルソナで設定した人の一連のブランド体験を描きます。

以下は、私がよく使うカスタマージャーニーです。

  • ニーズ認識
  • ブランド認知
  • 興味
  • 行動
  • 比較検討
  • 購入
  • 利用
  • 愛着

いくつか補足です。最初の 「ニーズ認識」 、最後の 「利用」 と 「愛着」 についてです。


ニーズ認識

一番始めに、「ニーズ認識」 を置いています。一般的にはカスタマージャーニーや購買フローを考えるときは、最初は商品やサービスへの認知からです。しかし、私は認知を起こす前に、ニーズを自分で気づくことが発生すると考えます。

というのは、認知をするためには、その商品やブランドについて、あるいはカテゴリーレベルで何かしらの必要性を感じ、自分ごととして捉えることが不可欠だと考えるからです。

場合によっては、ニーズ認識とブランド認知は同時に起こったり、時にはブランド認知によって、普段は気づいていない潜在的なニーズにあらためて気づかされることもあります。


利用と愛着

一般的に購買ファネルでは、最後に 「購入」 を設定します。企業から見れば、買ってもらえれば売上と利益が発生するので、購入が最後です。

しかし、買う側のお客から見れば、商品やブランドを買ったときがスタートです。なぜ購入するかと言えば、利用したいからです。

そこで、カスタマージャーニーでは、購入の後に 「利用」 を置きます。さらに、利用して商品やブランドへの 「愛着」 を利用の次にもってきます。


4. ブランド体験ごとに施策をつくり、PDCA をまわす


カスタマージャーニーは、一連のブランド体験です。ニーズ認識から愛着までの各体験ごとに、次の3つを具体化します。

  • インサイト:体験ごとに背後にある 「人を動かす隠れた気持ち」 は何か
  • 提供価値:インサイトという気持ちを満たすために、ブランドが提供するメッセージや価値は何か
  • 感情形成:提供価値や体験によって、生み出したい感情は何か。商品やサービスにどのような感情を伴ってもらいたいか

2つめと3つめの提供価値と感情形成は、ブランドコアで自社ブランドを定義した 「ブランドビジョン」 「ミッション」 「バリュー」 と一貫性があるかもチェックポイントになります。

なお、消費者インサイトについては、別のエントリーで詳しく解説しています。ぜひこちらもご覧ください。

参考:消費者インサイトとは何か? 「インサイトを見い出す方法」 をわかりやすく解説します


最後に


今回のエントリーでは、「ブランド体験」 という視点で、どのようにブランドをつくるかを考えました。

重要なことなので繰り返すと、ブランドとは人の頭の中でできるものです。売り手からすると、買い手の相手の中のことなので、本質的には直接的に管理することはできません。

企業やブランドができることは、ブランドのビジョンを掲げ、ミッションとしてやることを宣言し、その通りに行動しながら価値を提供することです。

企業本意な一方的な提供ではなく、消費者インサイトを満たすこと、そして満たすために自分たちブランドは何ができるかです。

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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社概要はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。