投稿日 2018/05/01

書評: ニューエリート - グーグル流・新しい価値を生み出し世界を変える人たち (ピョートル・フェリークス・グジバチ) 。持続的に成長し続けるために、すぐにできること


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ニューエリート - グーグル流・新しい価値を生み出し世界を変える人たち という本をご紹介します。



エントリー内容です。

  • 本書の内容。ニューエリートとは
  • 持続的に成長し続けるために
  • 自己啓発ではなく自己実現の本


本書の内容


以下は、本書の内容紹介からの引用です。

 「楽しんで仕事した者勝ち」 の世界がやってくる。早く結果を出して自分をアップデートしていく & 社会に影響を与えることの大切さを、これからの社会予測とともに伝える。

今の生き方、いつまで続けますか?日本在住17年の著者による、ゼロから1を創り出す方法。


ニューエリートとは


本書ではニューエリートを、「持続的に成長し続ける人」 と定義します。

以下は、本書からの引用です。

オールドエリートには成長の余地がないということです。一度、上り詰めてしまったら、それ以上の伸びシロがない。これは悲しいことです。

これからの時代をリードする人には、もっと違う定義づけができるはずです。重要なのは、「今どこにいるか」 という地位よりも、元いた場所と今いる場所に差があるということ。つまり、僕の成功の定義は 「持続的に成長していること」 です。

 (引用:ニューエリート - グーグル流・新しい価値を生み出し世界を変える人たち)

肩書も含め、今のポジションに安住したりすがりつくのではなく、常に次を見据えて成長を続けるような人です。

引用を続けます。

たとえば、会社員だった人が努力の末に起業の夢を実現したら、それがどれだけささやかな事業であっても、見上げるような成功です。小さな会社でも、転職してやりたかった仕事に就けたのなら、やっぱり成功です。

一定期間で区切った成長度合いで比較すれば、特に成功者とみなされていない人の中にも、実は成功者が存在します。

むしろ、彼らが成功者とみなされる時代が遠からずやってくるはずです。こうした人を、僕はニューエリートと定義しています。

 (引用:ニューエリート - グーグル流・新しい価値を生み出し世界を変える人たち)

これは定義には含まれていませんが、印象に残っているのは、「ゼロから新しい価値を生み出すこと」 と書かれていたことでした。


持続的に成長し続けるために


では、持続的に成長し続けるためには、どうすればよいのでしょうか?

本書に書かれていたの中から、特に興味深いと思ったことを5つ取り上げます。

  • 個人でもビジョンとミッションを持つ
  • Can よりも Will
  • 困難なほうを選ぶ
  • 変化を受け入れ、自らも変わり続ける
  • 速く決断し、速く行動に移る

以下は、それぞれについて補足です。


1. 個人でもビジョンとミッションを持つ


ビジョンやミッションは、企業として掲げている会社もあります。本書では、これからの時代をリードする人は確かなビジョンを持っていると書かれています。

ビジョンとミッションは、次の関係です。

  • ビジョン:自分が理想とする世界観
  • ミッション:その世界を実現するために自分が何をやるかの 「宣言」

ビジョンは自分がこういう世界にしたいという絵です。

ミッションは、ビジョンという世界観を実現するために自分が何をやるかです。ビジョンは 「○○○ となっている世界」 と表現します。一方のミッションは主語は私や自分たちです。

企業のサイトに、紹介されているビジョンが主語が自社になっているのを見かけることがあります (主語は文面から省略されている場合もあります) 。この場合はビジョンではなく、企業としてやることのミッションです。

話を戻すと、ビジョンとミッションが明確で、ビジョンを実現しようとする意思と熱意があれば、賛同する人が現れます。一人では実現できなくても、ビジョンに共感する者同士で、成し遂げていくのです。


2. Can よりも Will


持続的に成長のために取り入れたいと思った2つめは、自分の can よりも will を優先することです。「自分は何ができるか?」 より 「自分は何がやりたいか?」 に焦点を当てることです。

先ほどの1つめのビジョンとミッションにも関係します。ビジョンを描き、ミッションとして自分は何をやるかです。Will はビジョンとミッションから生まれます。

人がすでにやっているかどうかに関係なく、また、これから流行りそうかを考えるよりも、「誰もやっていないこと」 や 「自分にしかできないこと」 に取り組むとよいです。


3. 困難なほうを選ぶ


印象的だったのは、本書に次のように書かれていたことです。

難しい選択肢、難しい決断は、簡単な人生に繋がります。

逆に簡単な選択肢、簡単な決意は、難しい人生に繋がります。

キツい選択をしないと、あとでラクにならない。キツい選択をすれば人生がラクになる。そう信じているので、迷ったときは厳しい選択をすると決めています。

 (引用:ニューエリート - グーグル流・新しい価値を生み出し世界を変える人たち)

思うのは、A か B かを自分が選ぶときに、難しいほうである A を選べば短期的には難しい状況になることです。後から A ではなく楽な B を選んでおけばよかったと思うこともあるでしょう。

 「難しい選択肢や決断は、簡単な人生につながる」 の意味は、より中長期での視点で決めることです。難しいほうを選べば、たとえ短期的には困難な状態になっても、後から振り返れば良い人生にすることができます。

もちろん、リスクを評価し理解した上でという前提です。目の前のことに決断を迫られたときに、あえて困難な道を選んでいるかは、自分の価値観として指針としたいことです。


4. 変化を受け入れ、自らも変わり続ける


自分のまわりや世界は変わり続けます。一定の速度で変わるというよりも、変化は突然やってきます。

私たちは変化を止めることも、避けることもできません。だからこそ重要なのは、変化を受け入れることです。そして、自分自身も変わり続けることです。

変わることにはリスクがあります。一方で、変わらないリスクもあります。どちらの不確実性を取るかは自分の判断次第ですが、私は変わらないことによるリスクよりも、変わることのリスクを取りたいです。

変化とリスクについては、別のブログエントリーで書いています。以下は、将棋の羽生善治氏のリスクについて書いたものです。

よろしければ、ぜひご覧ください。



5. 速く決断し、速く行動に移る


変化の激しい環境では、いかに速く決断できるかです。決断しない人、動かない人は、何も生み出しません。

速く決断するために著者のピョートル氏が強調するのは、直観で決めることの重要性です。

直観で決めることのメリットは、2つあります。

  • 速くその場で決められる。迷っている分の時間を無駄にせず、決められれば行動に移れる
  • 自分の価値観に近い決断ができる。自分が本当に何を欲しているのかは、論理的に考えるよりも、直感的にわかる

自分の経験上、重要なことをほど直観的に決めたことは、後から正しかったということが多いです。

ただし、100% いつも正しいわけではありません。直観で決める一方で、大切だと思ったのは 「自分の決断の間違いを裏付ける証拠を探すこと」 です。

直観的な決断に対して、理論的に本当にそうなのかを確認する冷静な姿勢も大事です。右脳で判断し、左脳で検証するやり方です。


自己啓発ではなく自己実現の本


本書には、自己啓発と自己実現の違いが、以下のように書かれています。

  • 自己啓発:自分の成長が第一。悪く言えば自己中心的な考え方
  • 自己実現:自分一人の成長が全てではない。まわりと一緒に実現することが自己実現の醍醐味

自己実現は、自分のために加え、チームや会社と、あるいは社会のために何かを成し遂げることです。

本書は、自己啓発ではなく自己実現のための本です。

著者であるピョートルさんのご自身のビジョンは、「皆が自己実現できる世界」 です。



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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。