2018/05/09

書評: OKR (オーケーアール) - シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法 (クリスティーナ・ウォドキー) 。ストレッチゴールを達成するためのシンプルなマネジメント手法


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OKR (オーケーアール) - シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法 という本をご紹介します。



エントリー内容です。

  • 本書の内容
  • OKR とは何か。OKR 運用の例
  • OKR について思ったこと


本書の内容


以下は、本書の内容紹介からの引用です。

OKR は、Objectives and Key Results の略。目標の O (Objectives) と主な結果の KR (Key Results) を設定する最も注目されているフレームワーク。

大きな目標 O と具体的な数値目標 KR を組合せることで、目先の数字に振り回されず、やる気が出て、生産性が断然上がります。

前半は物語、後半はノウハウですんなりわかる。


OKR とは


OKR は、Objective and Key results の略です。「目標 (Objective) 」 と 「主要な結果 (Key results) 」 の2つに分かれます。

以下は、O と KR の特徴、OKR の例です。


Objective の特徴


  • 定性的な目標を掲げる。数値目標は KR に入れるので O には入れない
  • O は自分たちや人を鼓舞する内容。O を見てワクワクできるか
  • 時間的な縛りをつくる。例えば3ヶ月 (四半期) や1ヶ月
  • O はミッションほど長期的ではない。ミッションから、四半期や1ヶ月の目標に落とし込んだもの
  • 目標難易度は、達成できるかどうかが 50% 程度にする (ストレッチゴール) 。簡単に達成できる (達成見込み 100%) 、あるいは絶対に不可能な目標設定 (達成見込み 0%) にはしない
  • 他の組織に依存しないようにする。例: 「営業部の成績が悪かったので自分たちも達成できなかった」 とならない目標設定にする
  • O は基本的には1つ設定する


Key results の特徴


  • KR は、O の目標設定が達成できたかを定量的に評価するもの
  • 1つの O に対して KR は3つまでとする
  • O を設定したタイミング (例: 四半期の最初) の KR の自信度は 50% (または 5/10) とする


OKR の例


  • Objective:素晴らしい MVP (Minimum viable product: 実用最小限の製品) をつくる
  • Key results 1:事前登録者の 80% が実際に MVP を使う
  • Key results 2:40% のユーザーが1日に2回以上利用する
  • Key results 3:製品を人に勧めたいかどうかのスコア (NPS) の平均が、10点満点で8点以上になる


OKR 運用の例


OKR は期初の始めに設定して終わりでは、意味がありません。重要なのは、日々の業務において、OKR を目安にすることです。

そのために週単位で OKR の振り返りをします。本書で紹介される方法は、月曜と金曜に OKR の振り返りと今後の見通しを確認します。


月曜のチェックイン


  • OKR の達成見込み度を確認する (期初の始めが 50% だったものが、現在どうなっているか)
  • OKR から落とし込まれた今週の優先度の高いやるべきことを確認する。次週以降で発生する優先事項も把握する
  • 月曜の OKR チェックインは対話の場。リーダーや上司から一方的に話すだけで終わらせない。KR の達成見込み度が変化すれば、理由や今後どうすべきかを対話する
  • チームメンバーの健康、案件やプロジェクトの健全性も確認し話し合う


金曜のウィンセッション


  • 1週間の祝いの場 (ウィンセッション) とする
  • 各自や各チームから、できたこと・達成したことを見せ合い共有する。お互いの理解と感謝の場にする
  • 必要であれば軽食やドリンク (可能ならアルコールを可とする) を用意する


OKR で思ったこと


ここからは OKR について思ったことです。3つです。

  • O と KR の関係
  • 50% という OKR の難易度設定
  • OKR は手段である

以下、それぞれの補足です。


1. O と KR の関係


Objective は定性的な目標、key results は objective の達成を評価するため定量的に設定するのは、理に適った方法です。

Objective にはあえて数値目標は掲げずに、O と KR の2つの役割を明確に分けています。

O と KR をセットにすることは、O という定性的な内容を定量的な KR に落とし込み、KR をどうやって測定し、どのくらい実現したかどうかを数字で見るということです。OKR によってこの考え方が定着すれば、ビジネスにおいても有効な思考法が身に付きます。


2. 50% という OKR の難易度設定


OKR を設定した時点で、期限までに達成する見込みが 50% という難易度設定は絶妙です。必ず達成できる容易な設定でもなく、絶対に達成ができないような絵に描いた餅にもしない難易度です。

50% が意味するのは、目標は達成するために掲げる一方、決して達成ありきで目標をつくることではありません。

目標は達成すべきことであると同時に、ストレッチゴールによって自らを成長させる原動力です。


3. OKR は手段である


OKR は一度つくって終わりではありません。OKR の肝は、定期的にチェックし、自分たちがやっていること、今後やっていくことの指針にすることです。

先ほどご紹介したように毎週の月曜と金曜に OKR を振り返り、達成したことを共有する場をつくります。運用形式も、単に一方向での報告会や、上からの責任追及の場にするのではありません。

OKR という共通点を通して、対話と共有から、理解し合い、感謝をし、お互いの信頼をつくります。

OKR は目的ではなく、自分たちのミッションを行動にするための手段です。


最後に


本書の構成は、大きく2つに分かれます。前半でスタートアップの小説形式から OKR を知ることができます。後半は OKR の解説です。前半のストーリーで OKR の考え方を頭に入れ、より詳細を後半の説明で学ぶことができます。

前半と後半を逆に読んでもよいでしょう。最初に後半で OKR の理論を把握し、前半のストーリーで具体的にどのように OKR が使われるかのケースとして読みます (私は後半から読みました) 。

OKR はグーグルなどが全社的に取り入れているマネジメント手法です。OKR 自体は IT 系の会社では浸透しつつあるものの、具体的な方法を詳しく解説する情報は見かけません。本書は OKR を知り、実際に導入し運用するのに役に立ちます。

会社の組織でも、個人でも OKR 設定は有用です。



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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社概要はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。