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1164回目のブログ更新です。
右脳思考 という本をご紹介します。
このエントリーで読んでいただきたい内容は、以下です。
- 本書の内容。本書の問題意識
- 左脳と右脳のキャッチボール
- 右脳を使うインプットとアウトプット
本書の内容
以下は、本書の内容紹介からの引用です。
本書で伝えたいのは、ロジカルシンキングの否定ではない。ロジックに加え、感情や勘、すなわち右脳を働かせることで仕事をより効率的に進める、あるいは、成果をあげられるということだ。
「勘や感覚よりもロジックが大事」 というのはビジネスの常識。勘・感覚は右脳的、ロジックは左脳的。ビジネスは左脳重視の世界だ。
本書はこの常識に挑戦する。ロジックの権化と言われる戦略コンサルティングファームのトップを務めた著者は 「右脳も大事」 と説く。コンサルタント時代から右脳重視派だった著者が右脳・左脳の使い分け方、使うタイミングを解説する。生産性と創造性が劇的に上がる1冊。
本書の問題意識
この本での問題意識は、右脳の使い方がプライベートと仕事で異なっていることです。
普段のプライベートで、例えばレストランや見たい映画を選ぶ時には、まずは直感の感覚で候補を絞り、その中で良さそうなものを決めるでしょう。最初から全ての候補を徹底的に調べ、始めから最後まで論理的に決めるアプローチはしません。
一方で、仕事では後者のやり方でロジカルで進めます。本書のメッセージは、プライベートでやっている方法が本来の人間らしい決め方で、同じように仕事でも左脳だけではなく右脳も有効に使おうというものです。
左脳と右脳のキャッチボール
左脳だけではなく右脳も効果的に使うためには、左脳と右脳のキャッチボールができるかです。
キャッチボールとは、次のような左脳と右脳の使い方です。
- 右脳を使って考えたことを左脳でロジカルにチェックする
- 左脳で考えたことがしっくりこない、うまくストーリーにならない時は、できあがったロジカルな分析やストーリーを右脳で見直す
このように、仕事でも左脳と右脳を行ったり来たりするほうが良いと本書では強調されています。
右脳を使うインプットとアウトプット
興味深いと思ったのは、インプットからアウトプットのプロセスで、著者の右脳と左脳を使い分けるやり方です。
インプット、検討・分析、アウトプットに至るステージでは、それぞれ右脳、左脳、右脳が主な役割を果たします。
インプット → 右脳
- 五感をフルに活用する
- ものを観察したり、異変や面白いことを感じたことが課題の仮説になる。ひらめきが解決策の仮説になる
- キーワードは 「見る」 「感じる」 「ひらめく」
検討・分析 → 左脳
- 左脳を目一杯使う情報処理のプロセス
- インプット情報に基づき、真の課題を特定し解決策を考える。課題が複雑な場合は構造化する。仮説が正しいかどうかを検証する
- キーワードは 「正解」 「数量化」
アウトプット → 右脳
- 結論を出すのは最後は右脳で決める
- 結論を人に 「腹落ち」 してもらい、実行に移すためには右脳を働かせる。特に先行きが不透明な状況では右脳で決断する
- キーワードは 「理解させる」 「納得させる」 「行動させる」
人は理屈ではなく感情で動く
先ほどの3つ 「インプット → 検討・分析 → アウトプット」 において特に興味深いと思ったのは、最後のアウトプットで右脳を主に働かせることです。
左脳でロジカルに決断することもできますが、相手を動かすのは右脳による判断がよいとします。というのは、人は理屈では動かず感情で動くからです。
右脳から構想や提案を描き、ロジックだけではなく全体で腹落ちするストーリーになるようにアウトプットをします。もちろん、右脳だけではなく左脳でキャッチボールをし、左脳でのチェックもやった上での最後は右脳での決断です。
最後に
この本が興味深く読めたのは、「右脳と左脳のキャッチボール」 という著者独特のやり方が、具体的なイメージや方法でわかりやすく書かれていることです。
説明のされ方自体が、右脳と左脳をうまく使われています。読み手にとっても、右脳でまずは全体イメージを捉え、次に左脳での論理的な理解に細部に入っていきながら読み進められます。
書かれていることが腹落ちするのは、読書体験からも右脳と左脳のキャッチボールを体験できるからです。
この本は、左脳一辺倒ではなく右脳を効果的に使い、意識としては 「左脳 < 右脳」 が大事だと考えさせられる一冊です。
右脳思考 (内田和成)