2019/02/22

書評: ファシリテーションの教科書 - 組織を活性化させるコミュニケーションとリーダーシップ (グロービス / 吉田素文) 。ファシリテーターのあり方から学べる本


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1165回目のブログ更新です。

ファシリテーションの教科書 - 組織を活性化させるコミュニケーションとリーダーシップ という本をご紹介します。





このエントリーで読んでいただきたい内容は、以下です。

  • 本書の内容
  • ファシリテーションの役割と姿勢
  • 参考になったファシリテーションのやり方


本書の内容


以下は、本書の内容紹介からの引用です。

ファシリテーションとは、会議や議論で参加者・チームの意見をどう引き出し、より良い結果を導き出せるか、そのマネジメントの手法である。

本書のアプローチは、リーダーシップの中核をなす総合的なスキルとして、ロジカル・シンキングやクリティカル・シンキングを使いながら、参加者の個々の感情やコミュニケーションを重視している。

ファシリテーターの頭の中 (思考プロセス) をどう作り上げていくか、すぐに実践できるノウハウも収録している。


ファシリテーションの役割と姿勢


この本では、ファシリテーションはリーダーシップを発揮するための中核となるスキルと位置づけます。単なるコミュニケーションスキルを超え、リーダーシップのあり方そのものの1つであるとします。


ファシリテーションの役割


ファシリテーションの本質とは、「引き出し、決めさせ、自ら動くことを助ける」 スタイルにあると書かれています。「伝え、説得し、動かす」 やり方からの転換です。

本書を読んで、ファシリテーションの役割で印象的だったことは、以下の3つです。

  • メンバーや関係者の知恵とやる気を引き出す
  • 深い納得に裏づけられた合意を実現する
  • 人や組織の能力を育成する

ファシリテーションとは、腹落ちを生み出すコミュニケーションスキルであり、リーダーシップのあり方そのものです。


ファシリテーターの姿勢


本書からはファシリテーターの姿勢にも学びがありました。

一言で言えば 「人の可能性を信じ、意欲、能力、知恵を引き出す」 ことです。

自分を無にしてでも相手や組織の成果とメンバーの成長を実現させる思いを持っていることです。書かれていたことで印象的だったのは、「ファシリテーターが不要になる状態こそがファシリテーション最終目的である」 です。

ファシリテーターのマインドセットで思ったのは、場や相手を理解し、信頼し、尊重することができているかです。参加者一人ひとりに対して向き合い、いかに意見やアイデア、思いを引き出し、場を活性化させ、最終的な腹落ちをする合意形成を実現するという意思があるかです。


参考になったファシリテーションのやり方


本書には、様々なファシリテーションの具体的な方法が説明されています。その中から、私が参考になったと思ったものを4つピックアップします。

  • 議論の出発点と到達点
  • 論点を広げて深める
  • 発言の聴き方
  • 合意形成とアクション


[ポイント 1] 議論の出発点と到達点


参加者の認識や前提をそろえるために、議論の出発点と到達点を決めます。ファシリテーターだけが把握しているのではなく、皆の認識がそろっていることが大事です。

出発点とは、議論の目的や論点を把握していること、前提となる背景情報が入っていることです。到達点は議論のゴール設定です。議論の方向性と、各論点に対してどういう状態になれば議論が終われるのかです。


[ポイント 2] 論点を広げて深める


参加者の納得感を得る議論にするためには、論点をどのように扱うかが大事です。重要な論点は、以下のような3つの流れで議論をしていきます。

  • 広げる
  • 絞る
  • 深める

最初に論点について意見を発散させ、広げた後により重要なものに絞り、その論点を深めます (収束) 。


[ポイント 3] 発言の聴き方


ファシリテーターは、発言を受け止め自分が理解したことを示し、時には他の参加者が正しく理解できるように共有します。

発言者の話を聴きたいと思う態度を示し、理解が不十分なことにわかったふりをせず、率直で誠実な対応を心がけます。

聴くためのステップは、以下です。

  • 発言を聴き理解する
  • 発言を受け止めたことを発言者に示す
  • 自分の理解を確認する
  • 参加者全員が発言を理解できるようにする

なお、3つめと4つめは状況に応じてです。毎回やると議論の流れを止めてしまいます。

ファシリテーターが意識したいことは 「様々な意見には価値がある」 ということです。仮定として持っておくことは、相手には発言内容に正しい論理や理屈があることです。発言者を尊重し、耳だけではなく目や心を向けます。

ファシリテーターには聴く力が問われます。


[ポイント 4]. 合意形成とアクション


合意形成からアクションまでのステップは、以下となります。

  • 場の目的を共有する
  • アクションの理由を把握する
  • アクションの方向性と選択肢に合意する
  • 実行プランにコミットする

合意形成のステップは、次のようになります。

  • 何の論点に対して合意できたかを把握する
  • まだ合意できていない論点を洗い出す
  • 合意に至っていない論点は、どうなれば合意できるかを確認する
    • 議論が不十分なのか
    • 議論をするために情報が不足しているのか
    • 意思決定者が不在だったからなのか


読んで思ったこと


本書を通じて考えさせられたのは2つです。

  • ファシリテーターのあり方
  • サーバントリーダーシップとの共通点


[思ったこと 1] ファシリテーターのあり方


考えさせられたのは、ファシリテーションの具体的なスキル以上にファシリテーターのあり方でした。存在意義です。

参加者のやる気、意見、知恵を引き出すこと、腹落ちし納得考えられた合意形成を促すこと、そして、議論や対話を通して人と組織を成長させることです。

いずれに対しても、ファシリテーターが上から行なうのではなく、あくまでサポーターであることです。実際に合意形成をして成長するのは参加者一人ひとりです。

ファシリテーターの姿勢で問われるのは、人の可能性を信じ、相手を尊重することです。これらを態度で示し続けられるかです。


[思ったこと 2] サーバントリーダーシップとの共通点


ファシリテーションの役割には、サーバントリーダーシップと共通点があります。

サーバントリーダーシップの特徴は、次の2つの両方があることです。

  • 実現したい理想とするビジョンや目的を示す
  • 相手に対して貢献をし奉仕をする

サーバントリーダーシップへの一般的な理解は後者に偏ることが多いです。しかし、サーバントリーダーシップとはリーダーシップなので、単に相手に奉仕をする存在とは異なります。

ビジョンや目的を示すと同時に、相手をサポートし奉仕する姿勢が、ファシリテーターと重なりました。


最後に


今回は、ファシリテーションの教科書 という本からファシリテーションについて考えました。

本書はファシリテーションの意義、どういうマインドセットでいるとよいか、具体的なファシリテーションの方法が詳しく書かれています。

2つの 「仕込み」 と 「さばき」 というフレームで説明されます。「仕込み」 とはいかに準備ができるか、「さばき」 とは会議中に場を活性化させ合意形成に至ることをどれだけサポートできるかです。

ファシリテーションというソフトスキルを高めるために、おすすめの一冊です。




ファシリテーションの教科書 - 組織を活性化させるコミュニケーションとリーダーシップ (グロービス / 吉田素文)

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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社概要はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。