投稿日 2022/02/28

具のボリュームが常識外のおにぎり 「スゴおに」 に学ぶ、主役変更からの戦場と勝ち筋

出典: 駅パラ

今回のテーマは戦略です。

✓ この記事でわかること
  • 常識を変えた、具がオニすごいおにぎり 「スゴおに」 とは?
  • スゴおにの本質とは?
  • 本質をマーケティングの視点で捉えると?
  • 戦場と勝ち筋 (学べること)

おもしろいと思ったコンビニのおにぎりを取り上げ、戦略やマーケティングの観点で学べることを解説しています。

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

コンビニのおにぎり 「スゴおに」


ご紹介したいのは、JR 東のニューデイズ (コンビニ) が販売しているおにぎりです。名前は 「スゴおに」 です。

出典: @Press

具だくさんでプチぜいたく


以下は、日経新聞の記事からの引用です。

コンビニエンスストアやスーパーなどの店頭で 「具だくさん」 の商品が人気を集めている。新型コロナウイルス禍で自粛疲れが続くなか、手軽に 「プチぜいたく」 をしたい消費者の心を捉えているようだ。イベント代わりに、自宅でチャレンジする人もいる。大きな具が日常生活のちょっとしたスパイスになっているようだ。

JR 東日本クロスステーション(東京・渋谷)が展開するコンビニ 「NewDays (ニューデイズ) 」 で目立つのは、具材が主役のおにぎり 「スゴおに」 シリーズだ。

中野北口店 (東京・中野)で同シリーズの 「ポーク玉子バーガーおにぎり」 を購入した会社員の石川絵美さん (30) は 「仕事の後で肉が食べたいと思っていたときに見つけた」 と話す。存在感がある具に 「おいしそう」 とひかれた。
ポーク玉子バーガーおにぎり (出典: 日経)

スゴおにの開発背景


記事では開発の背景も書かれていました。

スゴおには2020年に発売したポーク玉子が好評だったことをきっかけに、21年6月からシリーズとして展開を始めた。「のり弁にぎりました」 「ミックスフライ弁当にぎりました」 など約10種類がある。

のり弁の場合、ちくわ天や魚フライがご飯からはみ出すボリューム感が特徴で、重さは210グラムと通常のおにぎりの2倍だ。価格も300円と一般的な商品の2倍だが、発売から3週間連続で同社おにぎり部門の売り上げ1位になった。

開発を担当する商品戦略部の森優花さんは、新型コロナの感染が広がってから満足感がある高めのおにぎりの売れ行きが目立っていた点に注目。「のり弁をそのままおにぎりにしたら面白い」 と考えた。

ではここからは、スゴおにの本質は何かを掘り下げていきましょう。


主役交代


本質は何かを考えると、本質は 「主役の交代」 です。

一般的におにぎりのメインはお米です。具はおにぎりの中に入っていて、量は白米に比べると少ないですね。

それに対して 「スゴおに」 は、「具がオニすごい」 と自ら言っているように、具のボリュームが満点のおにぎりです。おにぎりの常識を変えました。


戦場と勝ち方


では、主役交代というスゴおにの本質が、マーケティングの観点で何を意味するのかを考えてみましょう。

結論から先に言うと、主役の交代によってこれまでとは 「戦う場所」 と 「勝ち方 (勝ち筋) 」 が変わったことを意味します。

戦場の変更


象徴的なのは先ほどの記事の中にあった、スゴおにを買った女性のコメントです。「仕事の後で肉が食べたいと思っていた時」 と言っていて、発想として 「おにぎりが食べたい」 ではなく 「肉が食べたい」 という購入シーンでした。

一般的におにぎりの戦場 (選ばれる選択肢) は、主食としておにぎりにするか、あるいはパンや麺類にするかです。一方のスゴおには、「主食戦場」 ではなく 「肉を食べたい戦場」 での争いをしているわけです。

この時の競争相手は、例えば焼肉弁当や唐揚げ弁当、豚の生姜焼き弁当です。スゴおには、これらとの争いに参入したのです。

勝ち筋も変わる


戦場が変われば、自分たちの勝ち筋も変わります。

勝ち筋を別の表現をすれば、「勝ちパターン」 や 「お客さんへの提供価値」 、「お客さんからの選ばれ方・選ばれる理由」 です。

スゴおには具だくさんのおにぎりで、選ばれる理由は、

  • のり弁などの弁当をコンパクトに再現していて、手軽に片手で食べられる
  • 複数買えばその分だげ 「色々なお弁当」 を一度で味わえる
  • インパクトがあって試しに1度は食べてみたい

といった理由からスゴおにが選ばれているはずです。

このように戦場が変われば、お客さんからの選ばれ方が変わり、勝ち筋も変わるのです。


学べること


では最後に、スゴおにから学べることを整理してみましょう。

2つあり、学びは 「自分たちがいる戦場と勝ち筋の把握」 と 「勝ち筋の追求」 です。

前者の 「戦場と勝ち筋の把握」 とは、マーケティングの視点で言えば参入している市場やカテゴリーを理解することです。具体的には市場にはどんなお客さんがいて、他にいる競合プレーヤーとどういう争いをしているかです。

勝ち筋とは、そうした競争環境における自分たちの比較優位、お客さんから価値だと認識されているものです。

学びの2つ目として挙げた 「勝ち筋の追求」 とは、自分たちの強みを伸ばすことです。

ただし注意点があり、今の強みが将来も同じように強みであり続けるとは限りません。

これまでの強みは今も本当にそうなのか、今後も強みとしてお客さんに評価してもらえるかは、適宜で良いので自分たちに問いかけるべき課題意識です。


まとめ


今回は具だくさんのコンビニおにぎり 「スゴおに」 を取り上げ、戦略やマーケティングで学べることを見てきました。

最後にまとめです。

戦場と勝ち方
  • 戦場が変われば、自分たちの勝ち筋も変わる
  • 勝ち筋を別の表現をすれば、「勝ちパターン」 や 「お客さんへの提供価値」 、「お客さんからの選ばれ方」 となる

理解と追求
  • 市場にいるお客さん、競合プレーヤーとの競争状況を理解し、戦場と勝ち筋の把握しよう
  • 自分たちの強みを伸ばし、勝ち筋を追求する
  • 今の強みは今後も強みとしてお客さんに評価してもらえるかは、適宜で良いので自分たちに問いかけるべき


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。