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投稿日 2015/09/02

Google のプロジェクト管理ルール 「70 : 20 : 10」 がシンプルで使いやすい


※2015年9月1日に発表された新しい Google ロゴ

グーグルのプロジェクト管理ルールが興味深いと思ったので、ご紹介します。

エントリー内容です。

  • グーグルのプロジェクト管理ルール
  • 意図的に制約をつくる
  • 管理ルールの応用
投稿日 2015/08/26

Google が全社員に求めるリーダーシップとは




How Google Works - 私たちの働き方とマネジメント という本には、グーグルの組織論と人という観点から、これまでグーグルがどのようにマネジメントをしてきたかが詳しく紹介されています。



エントリー内容です。

  • Google の4つの採用基準
  • Google が求めるリーダーシップ
投稿日 2015/06/10

Google フォトはグーグルの悲願であるサインインユーザー増の起爆剤になるか




Google はミッション (使命) として、次のことを掲げています。

世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること
Google’s mission is to organize the world’s information and make it universally accessible and useful.


ミッションを実現する写真サービス


このミッションを体現したものが、写真サービス Google Photos (Google フォト) です。2015年5月末の開発者向けイベント Google I/O で発表されました。
投稿日 2015/04/18

Google のエイプリルフールに見る郵便受けの不便さ




2015年4月1日 (エイプリルフールです) 、グーグルは Smartbox by Inbox という、全く新しいメールサービスを発表しました。

Smartbox by Inbox: the mailbox of tomorrow, today | Official Google Blog


Google の Smartbox by Inbox とは


Smartbox by Inbox は電子メールではなく、通常の郵便受けです。イメージは、以下のグーグルが作成した紹介映像をご覧ください。




Smartbox by Inbox には様々な機能があります。
投稿日 2015/04/04

Google の特許から考える 「自分自身をロボットにダウンロードするとどうなる?」




グーグルが取得した特許が話題になっています。出願は2012年4月で、2015年3月31日に登録されたとのことです。

参考:有名人や故人の人格をロボットにダウンロードする時代が来る?Google が特許取得|ITmedia ニュース (2015年4月2日)


以下は上記記事からの引用です。

人格データをクラウドからダウンロードしてロボットに吹き込む ── 米 Google がこんなシステムの米国特許を取得したことが分かった。有名人や故人の人格をロボットに演じさせるといった使い方も想定しているようだ。
特許は2012年4月に出願され、今年3月31日に登録された。人のさまざまな特徴に基づく人格データを蓄積するデータベースやデータを配信するクラウドベースのシステムで、ネットを介してロボットやモバイルデバイスが人格データを受信し、人格を再現する。
投稿日 2015/03/28

書評: Google vs トヨタ - 「自動運転車」 は始まりにすぎない (泉田良輔)




競争ルールとイノベーションについて考えさせてくれたのが、Google vs トヨタ - 「自動運転車」 は始まりにすぎない という本でした。興味深く読め、一気に読み終わりました。



いま自分たちが競っている市場の競争のルールは何か


この本で印象的だったのは、イノベーションは 「既存の競争ルールの無効化」 という考え方でした。以下、本書からの引用です。
投稿日 2015/03/17

Google グローバルマーケティング担当 上級副社長が語る 「マーケターは仲人たれ」




今回は、マーケティングについてです。

  • Google が考えるマーケターの役割とは?
  • 「マーケターは仲人たれ」 とはどういう意味?

こんな疑問に答える内容でブログを書きました。


記事でわかること


この記事でわかるのは、グーグルから学ぶマーケターの役割です。

グーグルのグローバル マーケティング担当責任者とマッキンゼーとのインタビュー対談が、マーケティングに示唆に富む内容だったのでご紹介します。

参考:How Google breaks through | McKinsey & Company (インタビューは2015年2月)


グーグルのグローバルマーケティング担当責任者は、上級副社長の一人でもある Lorraine Twohill 氏 (ロレイン・トゥーヒル  ※ 役職は2015年現在) です。ロレイン氏は、2003年にグーグルへ入社、2009年からグローバルマーケティングの責任者となり、2014年から上級副社長に就いています。

投稿日 2014/12/28

Dell Chromebook 11 を3週間使ってみたレビュー




Chormebook (クロームブック) を買いました。メインで使っているパソコンは MacBook Air 13で、サブで使うパソコンという位置づけです。


買ったのはデルのクロームブックです。



今回のエントリーは、デルのクロームブックを3週間ほど使ってみてのレビューです。
投稿日 2014/11/30

アイレップが動画広告の検索行動への効果検証調査を提供開始




インターネット広告代理店のアイレップが、動画広告の効果検証サービスをリリースしました (2014年11月14日 ベータ版) 。


動画広告の検索広告への効果検証


特徴は、動画広告を見てその後の検索行動に、広告が影響したかを測定できることです。

参考:アイレップ、動画広告の新しい効果検証方法の β 版を開発、提供開始へ 動画広告接触ユーザーの検索行動における変化を観測-|株式会社アイレップ (リリース PDF)


アイレップの調査手法


アイレップの提供するサービスの分析手法は、同じユーザーが動画広告を見る前と後で検索ワードがどう変わったかを比較します。同一ユーザーにおけるプレポスト方式です。
投稿日 2014/09/14

Google アンケートモニターが普及するための2つのポイント




グーグルのアンケートサービスである Google Opinion Rewards が日本でもローンチされました (2014年9月11日) 。

Google Opinion Rewards Now Available in Italy and Japan! | Google Consumer Surveys (Google+)

日本でのサービス名は 「Google アンケート モニター」 です。

すでにローンチされているのは、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアの英語圏の国です。非英語圏ではドイツとオランダに続き、日本はイタリアと同じタイミングでのリリースです。


Google アンケートモニターとは


Google Opinion Rewards (Google アンケートモニター) とは、グーグルが提供するマーケティングリサーチのサービスです。

Google アンケートモニターの特徴は以下です (2014年9月現在) 。
投稿日 2013/06/16

眼鏡型コンピュータの次はインターネットコンタクトレンズ




今回は、ウェアラブルコンピューターについてです。眼鏡型コンピューターや、期待しているインターネットコンタクトレンズについて書いています。

エントリー内容です。

  • ウェアラブルコンピューターへの期待
  • インターネットコンタクトレンズとは
  • レンズを媒体に脳とネットが直接つながる?

投稿日 2013/05/12

YouTube 有料チャンネルを開始した Google の狙いを、ビジネスモデルから考えてみる




YouTube が有料チャンネルを開始


YouTube が、月額課金制でチャンネルを開設できる新サービスを開始しました (米国時間 2013年5月9日) 。


まずはパイロットプログラムとしてのスタートのようです。チャンネルに登録 (サブスクリプション) したユーザーから課金できるもので、最低料金は月額99セントからです。

全てのチャンネルに14日間の無料トライアル期間がつけられ、年間契約でディスカウントもされるとのことです。

今回の YouTube 有料チャンネルが、Google のビジネスモデルにどう影響するかを考えてみます。
投稿日 2013/03/20

Google のビジネスモデルとイノベーティブであり続ける魅力




ビジネスモデルを見極めるポイント


ビジネスモデルを考える上で大切な要素は 「誰が顧客なのか?」 を把握することです。そのビジネスモデルで誰にどんな価値を提供するのかです。

もう1つはお金の流れです。基本は顧客に提供する価値への対価としてお金を支払ってもらうことですが、全ての顧客からお金をもらわなくてもビジネスモデルは成り立ちます。どの顧客からお金をもらって、どの顧客からはお金をもらわないのかです。

誰が顧客なのか、どんな価値を提供するのか、お金の流れはどうなっているのか。この3つを考えつつ、以下の2つが成り立っているかどうかがうまいビジネスモデルを見極めるポイントです。
投稿日 2013/01/13

注目しているGoogle Nowから考えるGoogleの描く未来

グーグルが提供するサービスで注目しているのがGoogle Nowです。

■Google Nowの特徴

Google Now(グーグルナウ)とはパーソナルアシスタント機能で、スマホなどの端末内のユーザー情報をもとに、そのユーザーが今必要であろう情報を提示してくれます。端末内のカレンダー情報、天気や交通状況、ユーザーのウェブ履歴などの複数のデータを連携/統合することで実現しています。

イメージとしては、カレンダーに目的地も含めて予定を登録しておくと、現在地と目的地への所要時間が提示され、駅や空港に着くと、現在時刻から次の便の出発時刻などを知らせてくれます。ユーザー自らが検索するのではなく、グーグルナウがユーザーにその時に必要な情報を提示するのが特徴です。

Introducing Google Now|YouTube


ちなみに、Google Nowの紹介ページには「Google Nowは必要な情報を必要なときに提供します」(Google Now gets you just the right information at just the right time.)と書かれています。なお、Google Nowが使えるのはAndroid 4.1以降の端末です。

冒頭で「Google Nowに注目している」と書きましたが、その理由はGoogle Nowはこれまでのグーグル提要サービスに比べて、一歩踏み込んだものだと思うからです。

比較として検索サービスとGoogle Nowを考えると、検索サービスは受け身なスタンスであるのに対し、Google Nowは能動的な性格を持っています。ユーザーがグーグルで何かを検索する際には、まず始めに検索キーワードを入れて、その後にグーグルが検索結果を返します。一方、Google Nowの特徴はユーザーがこれから必要であろう情報をGoogle Nowが判断し、ユーザーが聞かずとも知らせてくれるということ。

検索は欲しい答え(知りたい情報)をユーザーがすでに想定しているのに対し、Google Nowはユーザーが欲しいであろう情報を先回りして提示するのです。例えるならば、
  • 検索は、ユーザーが「こんな色でこれくらいの大きさの花を見つけてきて」と頼み、それに一番近い花を森の中から探し出す
  • Google Nowは、頼まれる前にユーザーの好みに応じて、「あなたが今欲しい花はこれだよね」という感じでGoogle Now自らの判断で森の中から探してきてくれる
というイメージ。

■Googleとユーザーの関係

この例えにもあるように、ポイントは「ユーザーの好みに応じて」の部分。Google Nowは、ユーザーのことをカレンダー情報、現在地や目的地、天気予報などのデバイスにあるいろんなから判断しています。

グーグルの強みはユーザーデータを広範囲に大量に集めていて、それを活用していることにあると思っています。イメージはこんな感じ↓


  • グーグル提供サービスを、ユーザーが利用すればするほど便利になる
  • グーグルも集まってくるユーザー利用情報を、①提供サービスのさらなる改善、②収益の柱である広告に活用する
ことで、ユーザーとグーグルの間で良い循環ができているのです。ここはグーグルの本質的な部分だと思っています。

で、これまではユーザー情報の収集は、どんな検索をしたか、どのウェブページを閲覧したか、Gmail、等々で、オンラインを中心にした情報でした。それに対してGogole Nowはスマホやタブレットに付いている機能なので、ユーザー情報取得範囲はオフラインにも広がります。モバイルの利用データを使える意味は大きいんですよね。

■Googleのさらなる挑戦

「そうそう、今欲しいのはこの情報なんだよね」。必要な情報をユーザーが検索しなくても、スマホがその時その時で欲しい情報を提供してくれる。

Androidを持っていないのでGoogle Nowを日常で体験したことはありませんが、自分の欲しい情報を言わなくても見せてくれるようになれば便利な機能だと思います。Google Nowというパーソナルアシスト機能が、自分にとってなくてはならないものになるかもしれません。

グーグルの狙いはまさにここで、ユーザーがどれだけグーグル提供サービスに「依存」してくれるか。依存すればするほど、それだけユーザーはグーグルを使うことになり、ユーザーデータも集まってきます。それをグーグルは広告という収益に変えることができる。グーグルの強固なビジネスモデルです。

PCをベースにしたオンラインの世界で、このモデルを築けたからこそ今のグーグルがあるわけですが、今後はこのモデルをスマホなどのモバイルや、ネットの外側のオフラインの領域でも構築できるのか。グーグルの未来を構成するカギの1つがGoogle Now。それと、グーグルが開発中のウェアラブルコンピューターの1つであるGoogle Glassです。

Google Glassも個人的にかなり注目しているプロダクトで、グーグルが描く未来の1つのカタチだと思っています。以下のYouTubeにあるイメージが実現される日もそう遠くないかもしれないですね。

Project Glass: One day...|YouTube



※参考情報

Google Now
Introducing Google Now|YouTube
Google Now - Boarding pass card|YouTube
Google、Android のGoogle Now をChromeブラウザに組み込みへ|engadget 日本版
Project Glass: One day...|YouTube


投稿日 2012/09/29

Google が 「自動運転車は5年以内に一般の人が利用できる」 との見通し (2012年9月) 。自動運転車は普及するのか?


グーグルの自動運転車


グーグルは2012年9月25日、研究を進めている自動運転車について 「5年以内に一般の人が利用できるようになる」 との見通しを示しました。


グーグルの見通し


以下は、日経産業新聞の記事からの引用です (2012年9月27日) 。

グーグルは2010年に自動走行車の開発に着手。これまでに30万マイル (約48万キロメートル) の走行試験を実施した。

この計画を担当するブリン氏は 「視覚障害者など自動車の恩恵に浴していない人の生活を改善できる」 と指摘。交通事故の減少や渋滞緩和にも効果があると説明した。

実用化に関連しては 「センサーの性能向上などが課題となる」 という。自社製造ではなく、自動車メーカーへの技術供与を検討している。
投稿日 2012/09/02

reCAPTCHA:認証の裏にある秀逸なアイデア




reCAPTCHA (リキャプチャ) というユーザー認証サービスがあります。このサービスの裏にあるアイデアが素晴らしいのでご紹介します。


reCAPTCHA の2つの役割


ウェブサービスへの登録時やブログにコメントする時に、以下のような認証画面が表示されます。reCAPTHA はスパムプログラムと人間を見分けるためのものです。

実際の認証画面は以下のイメージです。一度は使ったことがある方も多いでしょう。
投稿日 2012/04/01

Google Consumer Surveys の価値:グーグルの新しいビジネスモデルはネットリサーチの破壊的イノベーションとなるのか


Free Image on Pixabay


グーグルが米国時間2012年3月29日に、新しいビジネスモデルを発表しました。

Google Consumer Surveys というマーケティング調査アンケートによるマネタイズを狙うものです。さすがグーグルと思ってしまう仕組みです。

今回のエントリーは、Google Consumer Surveys の仕組みと価値、要するに何を意味するのか (So what?) 、課題を書いています。
投稿日 2012/03/17

情報社会の未来:私たちはネットの世界に知らない間に閉じこもってしまうのか

ここ最近よく考えるのは「パーソナライズ化」というキーワードです。パーソナライズ化とは、簡単に言えば「あなただけにカスタマイズされたサービス」というイメージで、例えばアマゾンではこれまで買った商品と関連のあるものを「あなたへのおすすめ」という形でレコメンドする機能があります。同じアマゾンを利用しても購買行動によりパーソナライズ化がされています。あなたが見ているアマゾンと、私が見ているアマゾンは同じではないのです。

■パーソナライズ化って何?

ウェブでのパーソナライズ化は実はいろんなところで起こっています。自分のアカウントでログインして利用するサービスは、多かれ少なかれほぼ全てでパーソナライズ化されていると思っていいでしょう。例えばツイッターやフェイスブックではフォローする人やつながっている友達により中身が全然違ってきます。

あるいはグーグル。グーグルの検索では、自分のアカウントでログインしている状態とログアウトしている時での検索結果は、同じ検索キーワードでも微妙に違っていたりします(試しにやってみると実感できるかと思います)。なぜこのようなことが起こるかと言うと、グーグルでは過去の検索履歴やウェブ閲覧履歴、すなわちウェブでの行動履歴を取っているので、そこからグーグルはアカウントごとに特徴づけています。つまり、グーグルはウェブ行動から「あなたはこういう人だよね」という人物像をつくっていて、検索結果はそれに最適なものを返している。だからアカウントでのログイン状態(パーソナライズ化)でとログアウト状態(匿名化)では結果が異なるのです。

■なぜパーソナライズ化をするのか

ではなぜグーグルはパーソナライズ化をしているのでしょうか。同じキーワードでの検索結果は誰がやっても同じ結果を返すほうが仕組みとしてはシンプルです。でもグーグルはアカウントごとに「あなたにはこの検索結果が欲しかったんだよね」とカスタマイズしてくれているのです。

1つの理由は、ユーザーにとってより使いやすいサービスの提供です。同じキーワードでの検索でも、人によって知りたいことは違っていたりします。であれば、その人に最適なサービスを提供しよう、そうすればもっと自分たちのサービスを使ってもらえる、ユーザーも自分たちもWin-Winになれる、そういう考え方です。

別の側面としては、広告のパーソナライズ化でしょう。実はこっちがグーグルが本当にやりたいこと。広告のパーソナライズ化はあなたにとっての最適な広告を表示させることで、実現すればより効果的な広告をユーザーに提供できます。効果的というのは、より興味関心の持ってもらえる広告だったり、買いたくなるもの、一度買ったものをもう一度買いたくなるような広告です。グーグルの収益の大部分はネット広告から上げているので、これは企業としては当然の考え方だと思います。

■メリット

パーソナライズ化は一見するとユーザーにとってはとても便利に思えます。以前のエントリーでもパーソナライズ化について取り上げていますが(参考:重宝してるアプリziteをヒントに4層で考えるTVのパーソナライズ化|思考の整理日記)、今もよく使っているキュレーションアプリであるzite。ziteとはiPhone/iPad用のアプリで、パーソナライズ化されるデジタルマガジンみたいな感じです。自分の興味あるテーマの記事を自動的に集めてくれるもので、例えば「ソーシャルメディア」、「モバイル」、「マーケティング」、「Google」、「Facebook」などのキーワードで登録しておくと、関連する記事が表示されます。さらに、ziteでの記事閲覧行動履歴データを集め、独自のアルゴリズムでパーソナライズ化してくれ、使えば使うほど「あなただけのデジタルマガジン」になる。雑誌には編集者がいますが、ziteの編集者は行動履歴データに基づくアルゴリズムというイメージ。

グーグルもアマゾンも自分に最適な情報を提供してくれる、より探していたもの、知りたかったこと、買いたかったものを見つけるメリットは大きいでしょう。あるいは、フェイスブックではよく知っている友達がいて、人間関係のパーソナライズ化ができている。これらはパーソナライズ化のメリットです。

■デメリット(問題点)

いきすぎたパーソナライズ化に警鐘を鳴らしているのが、最近読んで考えさせられた「閉じこもるインターネット―グーグル・パーソナライズ・民主主義」という本です。原題は「The Filter Bubble: What the Internet Is Hiding from You」。この本ではインターネットでパーソナライズ化されている状況をFilter Bubble(フィルターバブル)と表現していて、ユーザーがパーソナライズ化するフィルターで囲まれてしまった状態をあたかもバブル(泡)に包まれていると表現したもの。で、サブタイトルのWhat the Internet Is Hiding from You(ネットで見えなくなっているもの)はまさに著者の問題意識です。



パーソナライズ化とは、自分が見たい情報だけを取捨選択してくれる状態です。これは過去の大量の行動履歴データと高度に発達したアルゴリズムなどにより実現できている・されようとしているもの。著者はそこに落とし穴があると指摘します。私たちの考え方・思想、行動、そして民主主義にも悪影響を及ぼすとの主張です。

自分が見たい情報だけが見られるということは、逆に言えば自分と異なる考え方や未知なるものとの出会いが減っていくと著者は言います。これは例えばツイッターを考えると、自分の興味関心に近いユーザーをフォローする傾向にあるので、自分のタイムラインに流れる内容はわりと自分に近い考え方という状況がそれです。つまり、このようなタイムラインだけを見ていると、自分とは違った考え方、異なる視点でのものの見方に触れることができない、そうなるとますます偏った考え方になってしまうのではないか、これが懸念される影響です。

著者が問題視するものの1つに、パーソナライズ化は企業が勝手にやっているが故に、私たちはどうパーソナライズ化されているか見えないし、パーソナライズ化を訂正することが難しい、さらにはそもそも自分がパーソナライズ化されているとは気づかない点があります。「あなたが見ているネットと、わたしが見ているネットは同じではない」という状況に気づかない。人々の思想を変えるということは、極端なことを言うとパーソナライズ化をちょっとずつ調整することで、世の中の意見や世論もコントロールすることもできるのではないかというのが、著者の意見です。

もう少し現実的なイメージをすると、例えばレコメンドサービス。これは自分が今までに買ったものを参考にしているという認識だったのが(「XX」を買ったんだから「XX vol.2」も買うよねというレコメンド)、実は購買履歴以外にも広告販促費をより多くもらっていえる商品がレコメンドに含まれている場合でも、それはどういうロジックでレコメンドなのかこっちにはわからない。知らず知らずのうちに、何かを買うという行動もパーソナライズ化によってコントロールされることだってあり得るわけです。

■So What?

ネットでのパーソナライズ化の是非。正直これはまだ自分の中での結論は出ていません。今のところは自分に最適化されたサービスは、そうではないものより便利だと感じています。前述のziteがそうですし、アマゾンでもレコメンドを参考に本を買うこともあります。ツイッターでも情報が自分の興味・関心にだけ絞られているからこそ、おもしろい情報が流れています。こうしたサービスがもたらされること自体がすごいことだと思うし、これがなければ日々入ってくる情報の確度はもっと下がってしまうはず。その意味で情報を取捨選択してくれるパーソナライズ化の恩恵は一定は受けていると思います。

一方、こうしたパーソナライズ化された情報の外側はあえて知ろうとしないとわかることができないわけで、これがフィルターバブルの内側に閉じこもっている状態。これまでと違う考え方、自分とは違う価値観に触れる機会が減るというのは確かにあまり良くないかなとも思います。未知との遭遇があるからこそ、自分の中で考え方など何かが変わるのだと思うし、そういう複眼的なものの見方は意識してしておきたいもの。フィルタリングされることで自分に興味がないものは目に入らなくなるとすれば、考え方によっては全体像がどうなっているかがわからないとも言えます。つまり、目の前の情報がどの程度の代表性を持つか/偏っているかの判断できないのではないと。

間違いなくネットではパーソナライズ化の方向で進んでいくと思います。3月1日からグーグルのプライバシーポリシーが変更されましたが、これはグーグルが提供する各種のサービスでのユーザー利用情報を1つに統合するという変更。統合することでもっとユーザーのことがわかるようにしたいわけです。グーグルが強調しているのは統合することでより使いやすくなるとしていますが、本当にやりたいことはユーザー情報を統合し、その人により関連性のある広告を表示したいという意図でしょう。前述の「なぜパーソナライズ化をするのか」に書いた通りです。

では自分にできることは何か。今のところの考えは、あえてバブルの外側に出る、あるいは一度バブル自体を割ってしまうことではないでしょうか。例えばグーグルの過去の検索履歴やクッキー等をクリアすること。ひと手間をかけて違う意見や一次情報に当たってみること、そんなところから始める感じでしょうか。それと、自分が見ているものはパーソナライズ化されているという認識、「わたしのネットはあたなのネットと同じではない」こうした意識も持つことだと思っています。


※参考情報

重宝してるアプリziteをヒントに4層で考えるTVのパーソナライズ化|思考の整理日記
The personalized web is just an interest graph away|GigaOM
グーグル広告部門幹部、「次なる狙いは検索と広告のパーソナライズ」と発言|Computerworld
プライバシー ポリシー|Google
Googleがソーシャル検索にシフトするのはウェブの世界が変わりつつあるから|思考の整理日記
「グーグル ネット覇者の真実 追われる立場から追う立場へ(In the Plex)」から考えるデータ至上主義とGoogleの描く未来|思考の整理日記


閉じこもるインターネット――グーグル・パーソナライズ・民主主義
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投稿日 2012/02/18

Screenwise panel から考える Google の本質、貪欲なまでのデータ至上主義




以下のモデル図は、グーグルとユーザーの関係を簡単に表したものです。グーグルは、ユーザーに無料で検索・Gmail・YouTube などの様々なサービスを提供しています。




グーグルが得ているのは、膨大なユーザーデータです。それをさらなるサービスの利便性向上や、グーグルの主要事業であるネット広告事業に活かしています。

ユーザーは利便性を享受し、グーグルも集めたデータを有効活用し、収益化しているというウィンウィンが成立しています。
投稿日 2012/01/21

書籍 「グーグル ネット覇者の真実 - 追われる立場から追う立場へ」 から考えるデータ至上主義と Google の描く未来




グーグルの提供価値とユーザーデータ


グーグルがやっていることを簡単に図にすると、以下のようになります。ポイントは、

  • 検索や Gmail などのサービスをユーザーに無料で提供する (ユーザーは利便性を享受)
  • 無料サービスを提供する代わりに、膨大なユーザーデータを取得する
  • ユーザーデータをさらなるサービスの利便性向上や、データをグーグルの主要ビジネスであるネット広告事業に活用




ネット覇者の真実


ここ最近読んだ中で興味深かった本は、グーグル ネット覇者の真実 - 追われる立場から追う立場へ でした。



書かれている内容が非常にリアルでした。著者はグーグルの中に入ることを許可され取締役会などにも参加し、延べ数百人にもわたる関係者への取材から書かれています。

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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。