2019/03/03

書評: 働くひとのためのキャリア・デザイン (金井壽宏) 。節目でデザインし、その後はドリフトをしながら自分だけのキャリアを歩む


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1174回目のブログ更新です。

働くひとのためのキャリア・デザイン (金井壽宏) という本をご紹介します。





このエントリーで読んでいただきたい内容は、以下です。

  • 本書の内容。キャリアデザインとドリフト
  • キャリアの節目の見分け方
  • いいキャリアを歩むとは


本書の内容


以下は、本書の内容紹介からの引用です。

就職後の現実に失望する若者、疲れたミドルと元気なミドルの二極分化……。たった一度の仕事生活を納得して送るにはどうすればいいのか。

入社、昇進、転職……人生の節目には自分を見つめ直し将来の方向性をじっくり考える――これが本書のおすすめする 「キャリア・デザイン」 。これさえすれば、後は偶然に流される生き方も長期的にはプラスに作用する、と著者は言う。

心理学にも精通する著者は、経営学の中でも人間の問題に深く関わるトピックを主に研究している。自分らしく成長していくためのヒントを、代表的なキャリア研究、発達心理学の概念を通して紹介。

働く自分の問題として、世代を超えて役立つ本。


キャリアデザインとドリフト


この本のキーワードは 「デザイン」 と 「ドリフト」 です。

本書の主題は、キャリアの節目では自分のキャリアをデザインし、節目以外では流れに身を任せてみること (ドリフト) です。これが良いキャリアにつながると説明します。


キャリアデザイン


自分のキャリアをデザインするためには、次の3つを考えてみるとよいです。

  • 何が得意か。自分にできることは何か [Can]
  • 自分がやりたいこと。自分はどうありたいか [Will]
  • 何に意味を感じるか (価値観) 。人や組織から求められること [Should]

これらの問いを内省し、客観視したことを言語化します。


ドリフト (流れに身を任せてみる)


キャリアの節目となる時以外はドリフトをします。

ドリフトとは、偶然の機会に乗ってみるなど流れに身を任せることです。例えば、思わぬところから声がかかった仕事や、最初は仕事にすらなっていないようなことです。

自分には関係ないと思わずに、たとえ自分のキャリアデザインとはズレていても、楽しみながら取り組んでみることです。

なぜキャリアの節目以外ではドリフトを推奨するかの理由は、以下があります。

  • 偶然の機会や人との縁が、キャリアの転換点につながる可能性がある。後から振り返るとターニングポイントになっている
  • キャリアに幅が出る
  • いつもキャリアデザインばかり考えていると息が詰まる (節目以外はドリフトを楽しむ)
  • ドリフトがあるからこそデザインが発展する。ドリフトがないとずっと同じ固定されたデザイン (デザインを持っていれば流されっぱなしのキャリアになってしまうことを防げる)


キャリアの節目の見分け方


では、自分のキャリアの節目を見極めるには、どうすればよいのでしょうか?

本書で興味深いと思ったのは、キャリアの節目を見分ける4つのポイントでした。

  • 自分の状況に危機感や焦燥感がある時。マンネリ化を感じる時。つまり 「このままでいいのか」 と感じる時
  • 仕事が順調に行き過ぎている時。ゆとりや楽しさがあり、仕事に夢中になっている時。調子がいいからこそ自分を見つめ直す契機にする
  • 先輩や上司、メンターから気づく (外からの声により節目を見分ける)
  • カレンダーや年齢的な節目。例えば、3年目、30歳、仕事でのプロジェクトの区切りなど

印象的だったのは、1つめの 「危機感や焦燥感を感じる時」 と、2つめの 「順風満帆な時」 です。

イノベーションなど何かが新しく生まれる時と共通します。キャリアにおいても、後から振り返るとターニングポイントになるのは、後がない時や順調で余裕のある状況なのです。


いいキャリアを歩むとは


節目節目で自分のキャリアをデザインし、それ以外では流れに身を任せてみる、そんなキャリアからどういうキャリアを歩んでいけばよいのでしょうか。

本書には、いいキャリアを歩むとは、どういうことかがいくつか紹介されています。

  • 節目でキャリアがデザインされている
  • ドリフトを楽しむ余裕を持っている
  • 節目では決断し選び、流れに身を任せ、次々とアクションを取っている

  • 個人のニーズと組織のニーズがマッチングしている
  • 2つのニーズがダイナミックにマッチングしている

  • 緊張とリラクゼーションが絶妙に入り混じっている
  • 良い我慢 (とことん努力する) はあるが、悪い我慢 (嫌々やっている) は排除されている

  • 自己決定をしている感覚がある。皆とともに自分があり、自分は皆に生かされているというつながりを感じる
  • キャリアが長くなるほど、より自分らしく生きていると実感できる

  • いくつになっても一皮むけて発達を続けている
  • 知識創造や知恵につながっている
  • 語れる物語ができている
  • 一人の人間としての深く、統合感、存在感、人間的魅力を絶えず磨き上げている

以上を自分なりにまとめると、「いいキャリアを歩む」 とは、以下のようになります。

  • デザインとドリフト (余白があり流れに身を任せてみる) のバランスが取れている
  • 物語があり、つながりを感じ、自分らしく生きている彩りのある人生
  • 知識や技能が蓄積され知恵となり、人間力を高め人格を磨いている


最後に


今回は、働くひとのためのキャリア・デザイン という本から、キャリアについて考えました。

この本は、新卒で入った会社の上司からすすめられた本でした。当時は新卒2年目ぐらいに読みました。

その後、転職や独立を経て今のフリーランスになっての状況で読むとまた違った気づきがありました。年齢を重ねたこと、それ以上に自分を取り巻く環境、経験、自分の考え方や価値観が変わっているからです。

あらためて自分のキャリアを考えさせられる一冊です。




働くひとのためのキャリア・デザイン (金井壽宏)

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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社概要はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。