2019/03/18

意図的戦略と創発的戦略の2つから、ビジネスキャリアを考える




1189回目のブログ更新です。

今回は、ビジネスキャリアについてです。イノベーション・オブ・ライフ という本から、キャリアを戦略的にどうつくっていくかを考えます。

このエントリーで読んでいただきたい内容は、以下です。

  • 意図的戦略と創発的戦略
  • キャリアの 「デザイン」 と 「ドリフト」
  • 2つのバランスを取るために大事なこと

最後に、内容をまとめています。


意図的戦略と創発的戦略


イノベーション・オブ・ライフ - ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ という本に、2つの戦略が書かれています。著者は 「イノベーションのジレンマ」 でも有名な、クリステンセンです。





2つとは、「意図的戦略」 と 「創発的戦略」 です。

  • 意図的戦略:文字通り、意図した狙い通りの戦略。計画通りにいくもの
  • 創発的戦略:予期していない戦略。想定していなかったが、時には偶然も重なりうまくいったもの

本書では、創発的戦略のビジネスの例で、かつてのホンダのスーパーカブという小型バイクを取り上げています。

米国の大型バイク市場の参入を狙ったホンダでしたが、その戦略は当初は決してうまくいきませんでした。

一方で米国市場でヒットしたのは小型のスーパーカブでした。ホンダの社員がスーパーカブを乗っているのを見たアメリカ人からの問い合わせをきっかけに、小型バイク市場を米国で新たにつくったのです。予期していなかったホンダの小型バイク市場の創造が創発的戦略であったという指摘です。


キャリアの 「デザイン」 と 「ドリフト」


イノベーション・オブ・ライフ では、ビジネスにおける意図的戦略と創発的戦略の考え方を、ビジネスキャリアへの応用を説いています。

意図的戦略は、あらかじめつくったキャリアプランです。

対して創発的戦略は、偶然のきっかけから始まるようなキャリアの機会です。例えば、当初は本業とは関係がなかった取り組みが、後から振り返ってみると自分のキャリアの転換点になるものです。

意図的戦略と創発的戦略のキャリアへの応用を読みながら思い出したのは、働くひとのためのキャリア・デザイン (金井壽宏) という本に書かれていたことです。





この本では、キャリアにおける 「デザイン」 と 「ドリフト」 の2つが大事であるとします。

キャリアの節目では、自分のキャリアをしっかりとデザインをします。ただし、常に自分のキャリアプランを考えていると息がつまります。そもそも、キャリアが自分の計画通りに進んでいくことは起こりにくいものです。

そこで 「ドリフト」 です。ドリフトとは、偶然にもたらされた機会に乗っている、流れに身を任せるようにやってみることです。

クリステンセンの意図的戦略と創発的戦略は、それぞれデザインとドリフトに当てはまります。

  • 意図的戦略 → デザイン
  • 創発的戦略 → ドリフト

大事なのは、デザインとドリフトの2つのバランスです。

デザインで固めすぎても良いというわけではありません。キャリアの非連続な発展性は起こりにくく、おもしろみに欠けます。そもそもキャリアが自分の描いた通りにいくことは稀です。

一方、デザインなきドリフトも、望ましいキャリア形成とは言えません。偶然に左右されすぎるので不確実性が大きいキャリアになります。節目節目でのキャリアの判断軸がなければ、流されっぱなしになります。


2つのバランスを取るために大事なこと


では、デザインとドリフト、あるいはキャリアにおいて意図的戦略と創発的戦略のバランスを取るためには、どうすればよいのでしょうか?

私が思う大事なことは、次の3つです。

  • 自分の状況を把握している
  • 余白を常に持っている
  • 戦略からの撤退条件を持つ

以下、それぞれについてご説明します。


[ポイント 1] 自分の状況を把握している


置かれている自分の状況を客観視し、今は意図的戦略なのか創発的戦略のどちらなのかを見極めることです。

自分のやりたいこと、情熱をかけられることが見つかっていれば、意図的戦略としてそのまま進めるのがよいでしょう。

しかし、必ずしも本当に自分がやりたいことかどうかがわからない状況では、創発的戦略であると捉えてみます。キャリアのデザインとドリフトで考えれば、今はあえてドリフトをしている、偶然の流れに身を任せていることを把握します。

意図的戦略だと思っていた中に、創発的戦略を発見できるかもポイントです。計画した中にも偶然の要素、予期せぬことが起こります。


[ポイント 2] 余白を常に持っている


車のハンドルの 「遊び」 のように、余白を持っていることも大事です。

余白があり、気持ちの余裕があれば偶然の機会が入ります。余裕がなく切羽詰まった状況では、機会に気づくことができません。後からターニングポイントになるような機会に、いつでも乗っかれるように余白を持っておきます。


[ポイント 3] 戦略からの撤退条件を持つ


戦略とは、つくった時点ではあくまで仮説です。戦略は実行されて、はじめて価値があります。逆に言えば、実行前の段階では不確実性があります。

キャリアにおける戦略も同じです。予期せぬことである創発的戦略は不確実性があり、意図的戦略であっても全てが計画通りにはいかないでしょう。

だからこそ、戦略からの撤退条件を持っておくことです。どういう状況になれば、身を引くかです。自分が生き延びるためです。


まとめ


今回は、イノベーション・オブ・ライフ働くひとのためのキャリア・デザイン という本から、2つの戦略である意図的戦略と創発的戦略と、デザインとドリフトから、キャリアに当てはめて考えました。

最後にまとめです。

  • 意図的戦略とは、文字通りの意図した狙い通りの戦略。創発的戦略とは、予期していない戦略

  • ビジネスキャリアに当てはめると、意図的戦略はあらかじめつくったキャリアプラン。創発的戦略は偶然のきっかけから始まるようなキャリアの機会。意図的戦略は 「デザイン」 、創発的戦略は 「ドリフト (流れに身を任せる) 」 。2つはバランスが大事

  • バランスをとるために大事にしたいのは、① 自分の状況を把握している、② 余白を常に持っている、③ 戦略からの撤退条件を持つ




イノベーション・オブ・ライフ - ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ (クレイトン・M・クリステンセン / ジェームズ・アルワース / カレン・ディロン / 櫻井祐子 (訳) )




働くひとのためのキャリア・デザイン (金井壽宏)

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書いている人 (多田 翼)

ベンチャーから一部上場企業の経営・事業戦略を支援。マーケティング、コンサルティング・アドバイザー・メンター、プロダクトマネジメント。前職は Google でシニアマーケティングリサーチマネージャー、現在は独立 (詳細は LinkedIn または Facebook をご覧ください) 。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。