
今回は書評です。
競争しない競争戦略 - 消耗戦から脱する3つの選択 という本をご紹介します。
- どんなことが書かれている本?
- 「戦わない」 ための3つの戦略とは?
こんな疑問に答える内容でブログを書きました。
この記事でわかること
この記事でわかるのは、
- 書籍 競争しない競争戦略 - 消耗戦から脱する3つの選択 の概要
- 戦わないための3つの戦略
戦力では敵わない相手とは戦わずに、どのような戦略をとっていけばよいかを解説しています。3つの戦略は、企業や組織だけではなく、個人のレベルでも示唆があります。
ぜひ記事を最後まで読んでいただき、お仕事での参考にしてみてください。
この本に書かれていること
この本に書かれていることを一言で言えば、戦力で勝る相手と、いかに戦わずに生き残っていくかです。
本のサブタイトルは、「消耗戦から脱する3つの選択」 です。3つの戦略が豊富な事例 (50社以上の例) で紹介されていて、興味深く読める本です。
以下は、本書の内容紹介からの引用です。
日本企業は、国内では激しい同質競争で疲弊し、グローバルでは新興国企業にコスト競争をしかけられ、利益率の低下に悩んでいる。
どうすれば薄利の奪い合いから脱却できるのか。
やみくもに売上やシェアを増やさなくても、競争しない状態を作ることによって、利益率は高められる。本書はその戦略を、50社以上の企業事例をもとに、実践的に解説する。
戦略とは
いきなりですが、戦略と聞いてどのようなイメージを持つでしょうか?
戦略は戦うことが前提だと思われるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。
戦略とは、目的を達成するために決めた 「やること」 と 「やらないこと」 です。目的達成のためのリソース配分の指針が戦略です。
戦略が必要な理由は、2つあります。
戦略が必要な理由
- 目的を達成するため
- リソースに限りがあるため
もし自分たちの戦力が無尽蔵にあればリソース配分は必要ないわけです。しかし、現実はリソースには限りがあります。
限りあるリソースをどう配分すれば目的を達成するかを考えることが、戦略をつくるということです。
戦略の肝は 「やらないこと」 にあります。やらないことが明確になっているからこそ、やることにリソースを集中できるのです。
戦わないための3つの戦略
この本で示される、戦わないための戦略は次の3つです。
戦わないための3つの戦略
- ニッチ戦略
- 不協和 (ジレンマ) 戦略
- 協調戦略
以下、それぞれについて順番に解説していきます。
[戦わない戦略 1] ニッチ戦略
本書でなるほどと思ったことは、「差別化とニッチは違う」 と書かれていたことです。
一言で言えば、差別化はリーダーや大手プレイヤーと戦うこと、ニッチ戦略は戦わない戦略です。
差別化はリーダーと同じ土俵に立ち、違いを強調することによって戦います。
一方のニッチは、限られた市場で利益を上げることを狙います。ニッチ戦略は、戦力が豊富な大手プレイヤーが気づかない、入ろうと思わないところで生きる道を見い出します。
ニッチ戦略は参入障壁をどう築くかが大事です。参入障壁には、質的なものと量的なものの2つがあります。
質的な参入障壁とは、その市場での技術やビジネスモデル、あるいはユーザー体験を常により良いものに磨き、市場での成功パターンを強化し続けることです。
もう1つの量的な参入障壁とは、市場規模や中身を大手にとって魅力的に映らないようコントロールすることです。
具体的には3つです。
量的な参入障壁
- 市場規模を大きくしすぎない
- 利益率を高くしすぎない
- 市場を一気に立ち上げない
自分たちの拡大や成長への欲求を抑えていくことが、参入障壁になります。
ニッチ戦略のポイントは、限られた市場を維持するために、質的または量的な参入障壁をつくり続けられるかです。
なお、ニッチ戦略の参入障壁については、別のブログ記事でも取り上げています。ぜひ読んでみてください。
[戦わない戦略 2] 不協和 (ジレンマ) 戦略
2つ目の戦わない戦略は、不協和戦略です。
不協和戦略は、相手が持っている資源や強みを無効にする、さらには弱みに転換することを狙います。
大手プレイヤーにとっては市場に入りたくても、もし参入するとジレンマが起こり入ってこられない状況をつくり出します。
ジレンマとは例えば、多くの店舗や営業人員を抱えることは高い営業力になっていたが、人や店を介在しないビジネスモデルが成功パターンになれば、店舗や人員という資源が負債になってしまうことです。同じビジネスモデルに転換するために、簡単には人や店を捨てることはできないからです。
不協和戦略のポイントは、いかに大手プレイヤーよりも先手をうち、対応される前にジレンマとなる状況を実現するかです。
[戦わない戦略 3] 協調戦略
3つ目の戦わないための戦略、協調戦略について見ていきましょう。
ここまでの2つであるニッチ戦略と不協和戦略が 「棲み分け」 であったのに対し、協調戦略は 「共生」 の道をとることです。
協調戦略は、相手のバリューチェーンに入り込みます (または自分たちのバリューチェーンに他社を組み込む) 。
バリューチェーンや業務プロセスの一部を引き受けるための共生できる方法を探り、自分たちが必要不可欠な存在になるわけです。
バリューチェーンに入り込むためには、自分たちがそこで他よりもうまくできる強みを発揮できるかが問われます。
協調戦略のポイントは、自分たちのコアコンピタンス (強みにつながる源泉) を見極め、それを活かしてバリューチェーンをより良いものにできるかです。
まとめ
今回は、競争しない競争戦略 - 消耗戦から脱する3つの選択 という本をご紹介しました。
最後に今回の記事のまとめです。
本に書かれていることは、戦力で勝る相手といかに戦わずに生き残っていくか。3つの戦略が豊富な事例で紹介され興味深く読める。
戦わないための3つの戦略
- ニッチ戦略
- 不協和 (ジレンマ) 戦略
- 協調戦略
[戦わない戦略 1] ニッチ戦略
ニッチ戦略は、戦力が豊富な大手プレイヤーが気づかない、入ろうと思わないところで生きる道を見い出す。
ポイントは、限られた市場を維持するために、質的または量的な参入障壁をつくり続けられるか。
[戦わない戦略 2] 不協和 (ジレンマ) 戦略
不協和戦略は、相手が持っている資源や強みを無効にする、さらには弱みに転換することを狙う。
いかに大手プレイヤーよりも先手をうち、対応される前にジレンマとなる状況を実現するかがポイント。
[戦わない戦略 3] 協調戦略
協調戦略は 「共生」 。相手のバリューチェーンに入り込む (または自分たちのバリューチェーンに他社を組み込む) 。
ポイントは、自分たちのコアコンピタンス (強みにつながる源泉) を見極め、それを活かしてバリューチェーンをより良いものにできるか。
競争しない競争戦略 - 消耗戦から脱する3つの選択 (山田英夫)