投稿日 2021/07/20

相手の期待を超える問題解決の方法。理想提示型の問題解決


今回は期待以上の成果をつくる問題解決の方法です。

✓ この記事でわかること
  • 問題設定の2つのタイプ
  • 相手の期待を超えるのは 「理想提示型」 
  • 理想提示型の問題解決ステップ
  • 具体的なビジネス事例で解説

ぜひ最後まで読んでいただき、お仕事での参考になればうれしいです。

2つの問題設定


問題解決のポイントは、いかに本質的な問題設定ができるかです。

問題設定には2つのタイプがあります。「問題明確型」 と 「理想提示型」 です。

✓ 問題明確型
  • 見れば問題だとわかり、皆がそれを問題だと認識している問題
  • 解決しなければいけない状況が明確

✓ 理想提示型
  • 一見すると問題だと気づかないが、見えている人にはそれが問題だとわかる問題
  • あるべき姿という理想と比べて現状が問題だと思える
  • 理想が提示され初めて問題だと気づく


身近な例 (部屋の片付け状態) 


2つのタイプを身近な例に当てはめると、「問題明確型」 は部屋の中が散らかっていて足の踏み場もなく、ゴミも落ちている状態です。これは問題だとひと目でわかります。

一方の 「理想提示型」 は、部屋にゴミ落ちていなく物は片付いていますが、物がしまってある場所がバラバラで必要な時にすぐにどこにあるかわからない状態です。

理想を、「物が必要な時にすぐに見つかりストレスなく見つかる部屋」 とすれば、部屋は一見するときれいでも物が整理整頓されていてなければ、理想と比べると問題ありと捉えるわけです。

* * *

相手の期待を超える問題解決



ここでビジネスの話に入ります。

仕事でプロとして成果を出すためには、相手の期待を超え続けることです。この一言に尽きます。

問題解決で相手の期待を超えるには、問題明確型のみの対応では難しいです。すでに顕在化している、または与えられた問題を解いているだけだからです。相手の期待を超えるには理想提示型の問題解決ができるかどうかです。


理想提示型のプロセス


では理想提示型の問題解決は、どのように進めていくといいのでしょうか?

理想提示型の問題解決のステップは次の5つです。

✓ 理想提示型のプロセス
  1. 現状把握
  2. 理想描写
  3. 問題特定
  4. 課題設定
  5. 問題解決

ではビジネスでの具体例で、5つのステップを当てはめてみましょう。

[ステップ 1] 現状把握


ある営業チームの話です。

同じような案件内容でも営業担当者の違いで、社内での案件運用がスムーズに行く時とそうではない場合があることがわかりました。

ただしこの違いは決して顧客の不満につながっているわけではなく、また運用チームは営業とは別の組織ということもあり、営業チーム内では誰も問題視をしてきませんでした。

[ステップ 2] 理想描写


ある時に営業チームと運用チームの合同会議で、2つのチームで目指す理想はどういう状態かを議論する機会がありました。

認識をすり合わせた理想のあるべき姿を、「業務オペレーションが確立し誰でも同じようにまわせるチーム」 にしました。あらためて理想と現状を見比べると、今の営業と運用チームでのクライアント案件の進め方は理想とは程遠いことに気づきました。

理想を描いて、初めて現状には問題があることがわかったのです。

[ステップ 3] 問題特定


そこで、営業担当者の違いで社内運用がスムーズに行く時とそうではない場合に、どんな要因があるかを掘り下げました。

わかったのは、営業担当によって社内運用メンバーへの説明で、案件がたとえ同じような中身でも伝え方が違うことでした。

営業担当の A さんは、クライアントの背景や意図、先方の期待、成果物の使われ方まで、案件の前後の情報や意味合いを詳しく共有していました。

一方の営業 B さんは、運用メンバーへは仕様書の最低限の提示のみでした。事前共有が少ない分だけ B さんの案件は運用チームに渡りスタートは早いものの、その後に何度も運用メンバーと営業 (B さん) との間で確認が発生し非効率な運用になっていました。

[ステップ 4] 課題設定


課題とは、問題解決のためにやることです。

現状把握と理想描写から問題特定までで見出し、問題解決のために設定した課題は、担当営業の違いによる社内運用のバラツキを小さくすることです。具体的な解決策として、共通の営業からの依頼シートの導入を決めしました。

ここでは A さんのやり方を参考に、社内で共有するクライアント案件情報をフォーマット化して運用することにしました。

[ステップ 5] 問題解決


共通の依頼シートを皆が使うようになり、営業担当者によるバラツキはなくなりました。全体での業務効率がアップしたのは事前の期待通りでした。

さらに依頼シートを共通したことによりチーム全体での顧客対応の能力向上が見られました。営業はヒアリング項目として使い顧客理解の抜け漏れがなくなったのと、運用メンバーもシートの項目で情報が不十分だと思えば、積極的に営業にクライアント情報を取ってほしいとリクエストし、間接的に接しているクライアントの理解が深まりました。

人材育成への効果も表れ、この部分は期待以上でした。

* * *

以上が営業チームで見た 「理想提示型」 の問題解決ステップのイメージです。


まとめ


今回は問題解決の方法でした。

最後にまとめです。

2つの問題設定
  • 問題明確型: 見れば誰もが問題だと思い、解決しなければいけない状況が明確
  • 理想提示型: 一見すると問題だと気づかないが、見えている人には問題だとわかるもの。理想が提示され初めて問題だと捉えられる

相手の期待を超える問題解決
  • 仕事でプロとして成果を出すためには、相手の期待を超え続けること
  • 問題解決で相手の期待を超えるには 「問題明確型」 のみの対応では難しい
  • 相手の期待を超えるには 「理想提示型」 の問題解決ができるかどうか

理想提示型のプロセス
  • 現状把握
  • 理想描写
  • 問題特定 (理想と現状から、理想状態になることを阻害している問題の真因を追求する) 
  • 課題設定 (問題解決のためにやる課題を決める) 
  • 問題解決


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。