今回は仕事のやり方です。アイデアや企画の提案方法です。
✓ この記事でわかること
- コンサルティング案件での緊張の瞬間
- 提案を通すポイント
- マーケットインな案 & プロダクトアウトな案
私のやり方ですが、クライアントへの提案で意識的にやっていることをご紹介します。あえて複数案を用意するやり方です。
緊張の瞬間
コンサルティングの仕事で緊張の瞬間なのが、自分からの提案に相手がどう反応するかです。
良い案として採用されるのか、それとも不採用になるかです。提案する状況というのは、自分にとっては真剣勝負の場です。
あえて複数の案を用意する
これは私が提案で意識的にやっていることで、たとえ相手の想定は案は1つだとしても、複数案を提示します。
少なくとも次のような2つです。
✓ A 案
- クライアントが想定している案
- 相手の期待は満たせるが、大きなサプライズはない
- 現実的な妥当な案
✓ B 案
- チャレンジする案
- 相手が想定していない驚きがあるもの
- こういう考え方もあると意思を持って伝える
- 当たれば相手の期待を超えるが、外れることもある (ハイリスクハイリターン)
A 案と B 案の具体例
実際の案件でやった例で A 案と B 案のイメージをご説明しますね。
マーケティングの仕事で、ターゲット顧客のセグメント構築での提案でした。STP で言うと 「セグメンテーション」 と 「ターゲティング」 のところです。
提案の例としてご紹介すると、ターゲット顧客の一言の特徴です。現実的な A 案が 「ネットで色々と調べて一番良いタイミングで買う人」 でした。
これは説明としては正確に表現していましたが、ネーミングとして強く印象に残らない気がしました。良く言えば妥当、悪く言えば当たり障りがなくインパクトに欠けます。クライアント企業内でターゲット層が広く共有されていくことを想定した時に、特徴表現が弱いです。
そこでもう1つの B 案は、「狙った獲物は必ず仕留めるスナイパー」 にしました。
クライアントはここまでは想定していなく、良い意味で驚きがあったとのことでした。自分としては、こういう考え方もあると意思を持って伝えました。
B 案から生まれるもの
もし提示が B 案だけだと相手は事前の想定と違いすぎて、時には拒否反応が起こります。
しかし、まず A 案を見せて、その後に応用やプラン B として 「こういうのを作ってみました」 と提示するわけです。すでに A 案で相手は成果物が提案されている安心感があるので、チャレンジングな B 案にも目を向け受け入れる態勢ができています。
B 案は、想定していない相手には 「ぶっとんでいる案」 とも見えます。あえて尖った案を提示するとこによって、B 案からの副次的な効果として新しい着想やインスピレーションが生まれることもあります。C 案という新しい方向性です。
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マーケティングからの見立て
ここまでの、あえて複数の提案をすることをマーケティングから掘り下げてみます。
A 案と B 案をマーケティングに当てはめれば、A 案は 「マーケットイン」 、B 案は 「プロダクトアウト」 です。
マーケットインは顧客やマーケットを基点に進めます。顕在化しているニーズや、まだニーズになっていない本音 (顧客インサイト) に基づいて商品開発やマーケティングを展開します。
一方のプロダクトアウトは、自分たちの持っている技術、商品・サービスを基点にします。すでにあるものから誰が顧客かを見出し、ターゲット顧客へのマーケティングを考えていきます。
A 案と B 案に話を戻すと、A 案は相手が想定していることをなのでマーケットイン的な案です。B 案は自分基点で 「こういう方向性や案もあっていい」 と意思を持ってクライアントに挑戦するやり方でプロダクトアウト的な案です。
マーケティングではマーケットインとプロダクトアウトの両立が大事だと思っていて、同じことが仕事での提案にも当てはまります。
まとめ
今回は仕事のやり方で、提案方法を掘り下げました。
最後にまとめです。
複数案の提示
- たとえ相手の想定は案は1つだとしても、複数案を提示する
- [A 案] クライアントが想定している現実的な案。相手の期待は満たせるが、大きなサプライズはない
- [B 案] 意思を持ってチャレンジする案。当たれば相手の期待を超えるが、外れることもある (ハイリスクハイリターン)
B 案から生まれるもの
- まず A 案を見せて、その後に応用やプラン B として 「こういうのを作ってみました」 と提示する
- すでに A 案で相手は安心感があり、チャレンジングな B 案が受け入れられる
- B 案から新しい着想やインスピレーションが生まれることもある
マーケティングからの見立て
- A 案は相手が想定していることをなのでマーケットイン
- B 案は自分基点で 「こういう方向性や案もあっていい」 と意思を持ってクライアントに挑戦するプロダクトアウト
- マーケティングではマーケットインとプロダクトアウトの両立が大事。仕事での提案にも当てはまる