投稿日 2021/07/14

マーケティングを成功させる方法 - 「顧客の頭の中の引き出し」 を理解しよう


今回はマーケティングです。

✓ この記事でわかること
  • マーケティングの本質
  • 選ばれるメカニズムの掘り下げ
  • 具体例で解説
  • 「顧客の引き出し」 を理解する重要性

マーケティングのものの見方や考え方は、マーケティングの仕事を直接されていない方にも役に立ちます。

ぜひ最後まで読んでいただき、お仕事での参考になればうれしいです。

マーケティングとは



いきなりの質問ですが、マーケティングと聞いてどんなイメージを持つでしょうか?

マーケティングの定義は様々な人がいろいろな表現をしています。ここでは私の一言の定義を共有すると、マーケティングとは顧客から選ばれる理由をつくる活動全般です。

選ばれるとは、買ってもらえる、使ってくれる、来店される、指名されることです。さらに 「選ばれる理由」 を掘り下げると、選ばれるのは顧客にとって何かしらの 「良いこと」 や 「うれしいこと」 があるからです。つまり価値があるわけです。

他ではなくて自分 (たち) が選ばれるには、顧客にとって何かしらの独自価値があることが大事です。


顧客の頭の中の引き出し


もう少し選ばれるメカニズムを掘り下げてみましょう。選ばれるためには何が必要でしょうか?

まず大事なのは、土俵の上に上がっていることです。別の表現をすれば、顧客が何かをしようとふと思った時に、「顧客の頭の中の引き出し」 に入っているかです。

引き出しの中には、一般的には複数の選択肢 (選ばれる候補) があります。自分以外の他の選択肢はライバル (競合商品や競合サービス) です。


引き出しの具体例



ここで言う 「顧客の頭の中の引き出し」 とは市場と見ることができます。市場は顧客が選択肢として何を含めているかによって変わります。

例えば、ある人が 「健康になりたい」 と思ったとしましょう。まず思い浮かんだのは食事です。具体的には野菜を中心とした食事の宅配サービス、健康サプリメントです。

次に食事だけではなく引き出しの中身は広がり、運動と睡眠も健康になるためには重要だと気づきます。頭の中の引き出しに入ったのは、運動ではランニングやウォーキングのためのシューズ、スポーツウェア、自宅でできるトレーニング用具、サービスではジムやヨガレッスンです。

睡眠の選択肢は、快眠につながる枕やベッドのマット、睡眠状態を計測するスマートウォッチまでが頭の中の引き出しに入りました。

以上のように、健康になりたいと思った時に選ぶ候補が多く入っているほど引き出しは充実してきます。選ばれる側にとっては、それだけ競合は増え、競争環境は激しくなるわけです。


顧客目線での市場設定


ここまでの例を続けて、自分たちの会社が健康食品を扱いサプリを提供している立場だとします。

競合他社をサプリだけしか見ていなければ市場設定は狭く、これは提供者視点での市場設定です。一方で、先ほど見たような食品だけではなくて運動や睡眠の商品やサービスも競合と見れば、消費者視点での市場設定 (顧客の頭の中の引き出し) になります。

顧客が 「選ぶ理由」 とは相対的です。誰が・どんな状況で・何と比べるかによって変わります。つまり、顧客の頭の中の引き出しの中身によって、他ではなく自分たちが選ばれる理由をどこに見出すかも変わるのです。


競合か協業か



市場設定が健康サプリであれば、他のサプリとの比較優位だけを考えれば済みます。

しかし、これでは顧客の頭の中の引き出しと合っていません。顧客の頭の中の選択肢ではサプリはあくまで 「One of them」 だからです。

引き出しという市場と競合設定 (自分たちが比べられる相手) を顧客視点で広く捉えれば、運動用のシューズや睡眠グッズと比較されての自分たちが選ばれる理由をつくることが大事です。

場合によっては競合ではなく協業パートナーになるかもしれません。

例えば、運動後に摂ると良いサプリメントをセットで提供する、寝つきが良くなる成分が入ったサプリです。このような選ばれる理由にすれば、運動用のシューズや快眠グッズは一緒に選ばれるためのパートナーです。

大事なのは顧客目線で考えることです。お客の頭の中の引き出し、何かをしたい時に引き出しの中身は何か、その中から他ではなく自分たちが選ばれる理由は何かです。


まとめ


今回はマーケティングについてでした。

最後にまとめです。

マーケティングの本質
  • マーケティングとは顧客から選ばれる理由をつくる活動全般 (買ってもらえる, 使ってくれる, 来店される, 指名される)
  • 他ではなくて自分 (たち) が選ばれるのは、顧客にとって 「良いこと」 や 「うれしいこと」 という独自価値があるから

顧客の引き出し
  • 顧客が何かをしようとふと思った時に、「顧客の頭の中の引き出し」 に入っていることが大事
  • 引き出しの中には複数の選択肢がある。自分以外の他の選択肢はライバル (競合商品や競合サービス)

顧客から選ばれるために
  • 顧客が選ぶ理由は相対的 (誰が・どんな状況で・何と比べるかによって変わる)
  • 引き出しという市場と競合設定を顧客視点で広く捉えれば、競合ではなく協業パートナーになることもある
  • お客の頭の中の引き出し、何かをしたい時に引き出しの中身は何か、その中から他ではなく自分たちが選ばれる理由は何かを見極めよう


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。