#マーケティング #選ばれる理由 #フレームワーク
マーケティング部門への異動が決まったとき、まず感じるのは期待と同時に戸惑いかもしれません。
やるべきことが多すぎて、どこから手をつければいいのか分からない…。そんな状況にあるあなたに、迷わず前に進むためのマーケティングの考え方と方法をお伝えします。
初めてのマーケティング実務を目の前にして…
新しくマーケティング部門に異動すると、最初に戸惑うのは 「やることが多すぎて、どこから手をつければいいのか分からない」 ことだと思います。
広告、SNS 、販促、商品企画、価格設定、営業支援……。どれもマーケティングっぽく見えるし、どれも大事そう。
でも、順番や軸がないまま動き始めると、施策だけが 「点」 のまま増えていって、結局何をやっているのか分からなくなります。
だからこそ大切なのは、最初に 「そもそもマーケティングをどう捉えるか」 を揃えておくことなのです。定義が揃うと、その後のフレームワークの話が理解しやすくなります。
マーケティングの本質
ではあらためて、マーケティングとは何でしょうか?
選ばれる理由をつくる
結論から言うと、マーケティングとは 「お客さんから選ばれる理由をつくる活動全般」 です。
活動全般という言葉の通り、マーケティングは広告や販促だけを指すわけではありません。商品企画、価格、流通、店頭体験、営業支援、コミュニケーション。選ばれる確率を高めるためのすべてが対象範囲になります。
マーケティングによる 「お客さんに選ばれる」 とは、商品を買ってもらえる、使ってもらえる、来店してくれる、指名されることです。こうした選ばれる状態が続くことで、商品は生き残ります。ひいては、ビジネスそのものが存続できるわけです。
大事なのは、選ばれるのを偶然に任せないこと。ビジネスの文脈では、自社商品やサービスが意図的に選ばれる確率を高めるのがマーケティングの役割になります。
最終決定権は顧客にある
ここで忘れてはいけない大前提があります。
それは、買う商品や使うサービスを 「選ぶ」 という行為の最終決定権は、常にお客さんにあるということ。企業側の論理だけで 「良い製品だ」 「この機能が優れている」 と主張しても、それだけではお客さんの心は動きません。
つまり、マーケティングの出発点は常にお客さんなのです。
「誰に」 「どんな価値」 を届けたいのか。そしてそのお客さんは 「なぜ」 他の商品ではなく自社を選ぶのか。あるいは、選ばないのか。お客さんの立場に立って、具体的に深く理解することが求められます。
誰にどんな価値を提供するか
「選ばれる理由をつくる」 という目的を、実務で迷わず形にするために役立つのが、マーケティングを骨格で捉える考え方です。
誰に (Who) 、どの市場で (Where) 、競合より高い価値を (What) 、どうやって実現するか (How) ――
これはビジネスで考えるためのフレームであり、マーケティングを行うにあたって強い味方になるはずです。理由はシンプルで、やるべき順番と、考えるべき論点を漏れなく揃えてくれるからです。
マーケティングは、いきなり 「SNS やりましょう」 「キャンペーン打ちましょう」 などの手段から入ると、運が良いと当たりますが、再現性は残りません。
再現性をつくるには、先に 「誰に」 「どこで」 「何を」 「どうやって」 がつながっていることが問われます。
ただし一方で大事なのは、完璧な正解を最初から実現することではありません。初めは 「現時点で最も筋が良い仮説」 をつくり、仮説を検証しながら精度を上げていく発想です。そしてテストして学ぶということです。
では、「誰に」 「どこで」 「何を」 「どうやって」 (Who, Where, What, How) を順に見ていきましょう。
[Who] まずは 「誰のためか」 を明確にする
最初の一歩目は 「顧客は誰か」 (Who) です。
注力顧客を 「20 代女性」 のような属性だけで止めず、その人がどんな状況で、どんな困りごとや課題感を持ち、どんなニーズを抱えているかまで具体化します。潜在的なニーズも含めてです。
注力顧客 (Who) が具体的になるほど、次の 「どこで」 という戦う場所 (Where) と、「何を」 とある提供価値 (What) を定めやすくなります。
[Where] 戦う市場を決める
注力顧客とともに明確にするのは、「どの市場で選ばれる争いをするか」 です。
ポイントは、競合を 「同じ業界の会社」 だけで見ないことです。競合はお客さんの頭の中にある代替案まで含めて考える、という整理です。
たとえば、あなたが健康飲料を担当するとします。競合は同じ健康飲料カテゴリーの他社製品だけではありません。消費者の頭の中で、健康になるための選択肢はサプリ、プロテイン、コンビニのヨーグルト、あるいは 「何も買わずに我慢する」 も代替案です。さらに言えば、スポーツジムへの入会も広い意味で競合です。
こうした代替案を見落とすと、マーケティング施策のポイントがズレたり、刺さらない訴求になりやすいです。
[What] 顧客が商品を使ってうれしくなる 「提供価値」 を定義する
注力顧客に商品価値として 「何を提供するか」 ですが、これは機能一覧ではありません。
特徴や優位性が、お客さんの課題やニーズを満たすことによって、お客さんにとって 「どんなうれしいことになるのか」 まで言語化します。
言語化が曖昧だと、よく起こりがちな 「すごいけど別にいらない」 という状態になります。逆に顧客価値の言語化がしっかりとできていると、広告・販促・営業資料のすべてが顧客価値というひとつの軸で揃います。
[How] 価値を 「実現できる理由」 と 「伝わる形」 まで設計する
価値提案や価値実現となる手段 (How) は、二段階で考えると実務が進みます。
ひとつ目は、価値を実現できる理由です。自分たちの持つ資産、ノウハウ、仕組み、やり方。なぜ自社がそれを実現できるのかを明確にします。
ふたつ目は、提案や届け方です。どうすれば選ばれ、使ってもらえるかです。
誰に、何を、どんな言葉と体験で価値を届けるか。「良いこと言ってる」 だけで終わらないために、施策では実装までしっかりと落とし込みます。たとえば、同じ価値でも 「店頭」 「EC」 「営業提案」 「SNS」 では伝え方が変わります。
ここで初めて、広告や販促といった施策が 「戦略を実現するための選択肢」 になるのです。
マーケティングのプロセス
ここまでの 「誰に」 「どこで」 「何を」 「どうやって」 (Who, Where, What, How) をマーケティングの仕事のプロセスに反映したものが R (Research) → STP → MM (Marketing Mix) という流れです。
全体の進め方はこの順番で R → STP → MM とするといいです。
R (Research) は、状況を把握し、仮説の材料を集めます。STP は戦略を決めます。
- Segmentation = 市場を分解する (Who, Where, What の切り口で)
- Targeting = 注力先の優先度を決める
- Positioning = 注力顧客の頭の中で 「様々な代替案 (競合) より強く持たせたい価値イメージ」 を定める
そして MM (Marketing Mix) は、そのポジションを実現するために、売り物である製品 (Product) と、売り方 (Place, Price, Promotion など) を組み合わせて実行します。
Place は販売チャネル、Price は商品価格、Promotion は広告や販促で、製品の Product です。これら 4 つの英語の頭文字は全て P なので、「マーケティング 4P 」 と呼ばれるものです。
「Research → STP → Marketing Mix」 の流れで見ると、「今やっていることはマーケティングの全体のプロセスのどこに当たるのか?」 が整理でき、周囲との会話も揃いやすくなります。
まとめ
マーケティング初心者が押さえるべき思考の軸として、Who / Where / What / How と R-STP-MM のプロセスを取り上げました。
学びのポイントをまとめておきます。
- マーケティングの本質は 「お客さんから選ばれる理由をつくる活動全般」 であり、施策だけでなく商品企画から営業支援まですべてが射程に入る
- 「誰に」 「どこで」 「何を (どんな価値を) 」 「どうやって」 は施策を考えるためのフレーム。やるべき順番と考えるべき論点を漏れなく揃えられる
- 競合は同業他社だけでなく、お客さんの頭の中にある代替案まで含めて定義することで、自社が狙うポジションや的確な差異化ポイントが見えてくる
- 提供する顧客価値は、注力顧客にとっての商品を使っての 「うれしいこと」 としてお客さんを主語にして語り、顧客価値を言語化し定義する
- R → STP → MM というプロセスで全体を理解する。調査 (Research) からの市場や顧客、自社の理解、STP でセグメント化・ターゲティング・ポジショニング、マーケティング 4P で整合性をとる