投稿日 2023/05/08

一点集中からの差異化戦略。クレーンゲーム専門のゲーセン ME TOKYO SHINJUKU

#マーケティング #戦略 #一点集中


競合との差別化が難しい時代、一点集中の差異化戦略がビジネス成功へのカギとなるかもしれません。

この記事では、おもしろいと思ったゲームセンターを取り上げ、振り切ってターゲット顧客と商品戦略を明確にすることで、成功への道筋を見つける方法を探ります。一緒にその秘訣を学び、ビジネスの可能性を広げていきましょう!

✓ わかること
  • クレーンゲームに特化したゲームセンター ME TOKYO SHINJUKU
  • 振り切ったからこそできるビジネスモデル
  • 一点集中からの差異化戦略

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

ME TOKYO SHINJUKU


出典: 産経新聞

ご紹介したいのはゲームセンター 「ME TOKYO SHINJUKU」 です。

ゲーム機はクレーンゲームだけに特化したユニークなゲームセンターです (ゲーム以外にはカプセル自販機やプリクラがあります) 。

クレーンなどを操作しておもちゃの獲得を目指すゲーム 「クレーンゲーム」 が活況を呈している。

パチンコ業界最大手の 「マルハン」 は2022年12月、パチンコ店 「マルハン新宿店」 (東京都新宿区) の跡地に、ゲーム機をクレーンゲームのみに絞った新ブランドのゲームセンター 「ME TOKYO SHINJUKU」 をオープンした。新型コロナウイルス感染拡大で苦境が続いたゲームセンターを再興する起爆剤として、クレーンゲームに期待が集まっている。

 (中略) 

店内の3フロアに159台のクレーンゲームを設置する異色の 「専門店」 。景品には人気キャラクターのぬいぐるみ、お菓子、60色のペンがセットになった筆記用具、美容パックなど多種多様なアイテムが用意された。

10 ~ 20代半ばの 「Z 世代」 をターゲットとし、内装は黄色を基調にした明るい雰囲気。洋楽が流れる中、外国人の家族連れや、若い女性の一人客がクレーンゲームを楽しむ姿もみられた。

学べること


では ME TOKYO SHINJUKU から学べることを掘り下げていきましょう。

クレーンゲームへの振り切り


ME TOKYO SHINJUKU はゲームはクレーンゲームのみのゲームセンターです。

通常のゲームセンターは色々なゲーム機の種類があるのに対し、ME TOKYO SHINJUKU はクレーンゲームだけを切り出しています。いわば幕の内弁当を売っていたお店が新たに唐揚げだけを提供するようになったイメージです。

クレーンゲームは他のゲーム機とは遊び方が違います。一言で言えば 「物理的なゲーム」 です。

✓ クレーンゲームの特徴
  • アーケードゲームは画面を見て遊ぶが、クレーンゲームは中に置いてある景品をつかまえるゲーム
  • モノの景品がもらえる。普通のアーケードゲームは達成感・充実感などの感情的な獲得のみ

ゲーム機なら何でもあるゲームセンターはどのゲームセンターもやろうとしていることなので、他との違いは打ち出しにくいです。

一方でクレーンゲームしかなくても、クレーンゲームの種類がありえないほど多ければユニークなゲームセンターになります。独自のポジショニングが築けるわけです。

一点集中からの差異化戦略


ME TOKYO SHINJUKU からの学びを一般化すると、多様なものがひとまとめになっている状態から1つを取り出し、一点集中でお客さんに提供するアプローチです。

お客さんに買ってもらう商品を1つだけにするという一点集中に振り切ることで、顧客戦略や商品戦略が明確になります。現実的にはたった1つの商品にするというよりも、メインを1つにするくらいのほうが実情に合うかもしれませんが、一点集中に絞ることで自分たちがやるビジネスモデルがわかりやすくなります。

✓ ビジネスモデルの要素
  • 買って欲しいお客さん
  • お客さんが求めていること
  • ニーズに応えるための訴求や提供する価値
  • お客さんが感じた価値に見合った価格

商品を絞りこれらの要素が決まり整合性がとれることで、ビジネスモデルが明確になります。

もう一度たとえを使うと、幕の内弁当ではなく唐揚げだけに振り切り、一点集中の唐揚げはどこにも負けない唐揚げを、唐揚げが好きなお客さんに提供する戦い方は選択肢として持っておくといいです。


まとめ


今回はクレーンゲーム専門のゲームセンター ME TOKYO SHINJUKU を取り上げ、学べることを見てきました。

最後に学びのポイントをまとめておきます。

✓ 一点集中の差異化戦略
  • 商品を1つに絞ることで顧客戦略や商品戦略が明確になる
  • ターゲット顧客設定、求めていること、ニーズに応えるための訴求や提供価値、お客さんが感じた価値に見合った価格まで一貫性が生まれる
  • 多様なものがひとまとめになっていた状態から1つに振り切り、一点集中でお客さんに価値を提供できないかを考えてみよう


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。