投稿日 2018/11/15

イノベーション創発になぜ 「組織の多様性」 が良いのかの考察


今回は、イノベーションについてです。

  • イノベーションが起こせる組織の特徴は?
  • そもそもイノベーションとは何?

こんな疑問に答える内容でブログを書きました。

記事のキーワードは 「多様性」 です。

組織でイノベーションを起こすためには、「多様性が大事」 と言われます。今回はイノベーションとは何か、イノベーションが起こる組織の特徴を考えます。

 「新しい知を創る場」 になる条件


イノベーションを起こす組織 - 革新的サービス成功の本質 という本に、新しい知を創る場の条件が書かれています。

新しい知を創る場になるための条件は、6つです。以下は本書からの引用です。

新しい知を創る場にするには、いくつかの条件がある。

① 参加メンバーがその場にコミットしていること。ただ人が集まっただけでは、場はできない。

② その場が、目的をもって自発的にできていること。目的がなかったり、強制されて集まっていたりするのでは、やらされ感があるので、新しい知は創られにくい。

③ メンバー間で、感性、感覚、感情が共有されていること。メンバーそれぞれが持っている暗黙知を解放することで新しい知が創られる。

④ メンバー間の関係のなかで、自分を認識できること。自分が他のメンバーから受け容れられているという安心感や信頼感があることで、暗黙知が解放される。

⑤ 多様な知が存在していること。新しい知を創るには、多様な知が必要となる。同じ知を掛け合わせても同じ知しか出てこない。

⑥ 場の境界は開閉自在で常に動いていること。境界がいつも閉じていると、メンバーだけの知識で閉じてしまうことになり、多様性が失われてしまう。境界を開くことで、多様な知を新たに取り入れることができる。

6つの条件を自分なりにまとめると、以下の3つになります。

  • 主体性とコミット:組織のメンバーが、目的を持って主体的に動くこと (やらされ感がない) 。自分のやることにコミットしている
  • 心理的安全性と多様性:お互いに自分の思っていることを気兼ねなく言えるなど、自分が組織に受け入れられていると感じ、組織での自分の居場所があると思えること (心理的安全性) 。メンバーの経験やスキル、専門領域に多様性があり、組織に多様な知がある
  • 新陳代謝 (常に変化がある):組織内で知が常に新しくなっている。外部に対して開けているので、新たな知が入ってくる


イノベーションとは 「未来の当たり前を創ること」


新しい知を創る場とは、イノベーションが起こる組織です。

イノベーションとは、「未来の当たり前を創ること」 です。

今はまだ当たり前になっていなかったり、時には存在すらしていないことです。しかし、未来ではそれが当たり前のように存在し、人々にとってなくてはならないもの、なかった昔はそれ無しにどう生活していたかわからないものです。

例えばスマホ (携帯電話) です。スマホは私たちにとって、当たり前のようにある存在です。一日中持ち歩き、自宅や就寝中も常に手元にあります。

携帯電話が普及したのは1990年代後半です。昭和の頃や平成になってすぐは人々は持っていませんでした。携帯電話なしで生活してましたが、スマホが当然のようにある2018年から考えると、スマホなしの生活が想像できないほど、当たり前になっています。

スマホ以外にも、インターネットも同じです。ネットのない日常生活、仕事もネットなしは考えられません。


多様性とイノベーションの創発


今回ご紹介した、新しい知を創る場 (イノベーションが起こる組織) の条件のうち、興味深いと思ったのは多様性です。

多様な知があること


イノベーションが起こるためには、組織の多様性が大事と言われます。確かに肌感覚では組織の多様性は良いと思えますが、多様性がどのようなロジックでイノベーションを創発するのかは、よくよく考えるとブラックボックスです。

6つの条件からの気づきは、イノベーションの文脈での多様性とは 「多様な知」 があることです。組み合わせる知が同じようなものばかりでは発展しません。多様な知があり、いかに異なる知が組み合わされるかです。

多様性へのオープンマインド


多様な知があるとともに大事なことは、多様性が受け入れられるオープンマインドです。

6つの条件の1つが、新陳代謝があること (常に変化している) でした。知が新しく更新されたり入ってくる環境では、お互いに相手のことや、それぞれが持っている知に対して違いを認識し、認め合う状態が求められます。

多様性のある状態だけでは十分ではなく、多様性とオープンマインドがセットになっていることです。

心理的安全性と知の発信


イノベーションが創発されるためには、組織のそれぞれのメンバーが異なる知を持っているだけでは十分ではありません。

自分の知という始めは暗黙知のものをアウトプットし、組織内に発信します。メンバーがお互いにやり、組織に形式知として蓄積されていることです。異なる知が掛け合わされる準備が整っている状態です。

そのために大切なのが、組織に心理的安全性があるかどうかです。

自分の居場所があり受け入れられていると感じているからこそ、自分の暗黙知や、まだうまく言語化できていないことも、気にせず組織内に発信し共有できます。生煮えのものであっても、共有されるプロセスで知へ昇華します。他の異なる知と組み合わせられやすくなります。


まとめ


今回は、イノベーションが起こる組織について考えました。

最後にまとめです。

  • 新しい知を創る場の条件は、主体性とコミット、心理的安全性と多様性、常に変化と新陳代謝があること
  • イノベーションとは 「未来の当たり前」 を創ること。今は当たり前でなかったり、存在すらしていないことでも、未来には当たり前のように人々が使っているもの
  • イノベーションには 「知の多様性」 が必要。異なる知が掛け合わされるためには、オープンマインド、心理的安全性の下での知の発信があること。いかに異なる知が掛け合わされやすい組織になっているか

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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。