投稿日 2018/11/08

書評: Learn Better ― 頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ (アーリック・ボーザー) 。Why から始め、能動的に学習する方法


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Learn Better ― 頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ という本をご紹介します。



エントリー内容です。

  • 本書の内容
  • 学びが深まる6つのステップ
  • 思ったこと (3つ) 。まとめ


本書の内容


以下は、本書の内容紹介からの引用です。

学習の方法を学ぶことは、専門家が言うところの 「究極のサバイバルツール」 、つまり、現代において最も重要な能力の一つであり、あらゆるスキルの前提となるスキルである。

深い学びを得るにはいったい何が必要なのか?

子どものころに学習困難を抱えていた著者が、多くの実証研究調査と、学びの専門家への取材を通して辿り着いた、小手先のテクニックではない本質的な 「学び方」 。


学びが深まる6つのステップ


この本のサブタイトルは、「頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ」 です。

以下が、6つのステップです。

  • 価値を見い出す
  • 目標を設定する
  • 能力を伸ばす
  • 発展させる
  • 関係づける
  • 再考する

それぞれについて、補足します。


1. 価値を見い出す


  • 学習の対象は自分にとって何を意味するのか
  • 専門知識を習得するには、そのスキルや知識に価値があるとみなし、自分にとっての意味を見極めるところから
  • 学びたいと思わなければ学ぶことはできない


2. 目標を設定する


  • 学びたいことから、目標を設定する
  • 知識を習得する初期の段階において重要なのは、集中である


3. 能力を伸ばす


  • スキルを磨き、パフォーマンスを向上させることに特化した手段を講じる必要がある
  • 習熟の領域を広げるために時間をとる
  • 学んだ自分の知識を記憶から取り出すとよい (例: アウトプット、テストする)


4. 発展させる


  • 基本から踏み出して知識を応用する
  • スキルと知識を肉付けし学んだことを発展させられれば、多くを得られる
  • 学んだことを自分自身に説明したり、人に教える


5. 関係づける


  • 学んだことが、他のことにどう関わり合うか
  • 専門知識分野を体系立てて理解する


6. 再考する


  • 自分の知識を見直し、自分の理解を振り返る。自分の学習したことから学ぶ
  • 学習には間違いや過信はつきものである。謙虚に、自分が本当に理解しているかを自問する


思ったこと


ここからは、本書を読んで思ったことです。効率的な学びのためには、どのように頭の使い方を変えるかです。

思ったのは3つです。

  • 自分に問いかける
  • アウトプットをする
  • 積極的にフィードバックを得る

以下、それぞれについてご説明します。


1. 自分に問いかける


ポイントは、自分で自分に問いかけることです。

例えば、6つのステップの最初である 「価値を見い出す」 では、学ぼうとしていることが自分にとって、どんな意味を持つかを自分に問いかけます。

2つめ以降のステップも同様です。漠然と受け身で学んでいても、自分の身につきません。以下のような質問を自分に問いかけ、学びを深掘りします。

  • なぜか (why)
  • 要するにどういうことか (so what)
  • もし xxx ならどうなるか (what if)
  • 他との類似は何か、相違点は何か
  • わかったつもりになっていないか
  • 不明点は何か

単純に学びを繰り返したり、マーカーで重要箇所をハイライトするよりも自分に問いかけ、自分をテストします。


2. アウトプットをする


自分に問いかけることは、学んだことをアウトプットする機会を自分に与えることです。

学んだことを意識的にアウトプットすることによって、学んだインプットの定着と発展を強化します。

具体的には、次のような方法でアウトプットをします。

  • 学んだことを自分の言葉で要約する
  • 書く。単に書き写すのではなく、自分の言葉や図で説明するように表現する
  • 人に説明する。教える

アウトプットを通して、自分の理解が深まります。

例えば、人に教える際には、教える概念を自分の言葉に置き換えます。説明するために相手の文脈や前提知識に合わせようとするので、どう説明すると理解されやすいかを工夫します。

こうしたプロセスを通じて、教える側である自分自身も学ぶことができます。


3. 積極的にフィードバックを得る


学んだことを人に伝えたり、自分が教える立場であれば、相手から積極的にフィードバックを得ると良いです。

他者からのフィードバックは、学びの軌道修正に役立ちます。

フィードバックにより、自分が正しいこと、間違っていることに気づくことができます。正しいとわかれば、自信を持って進められます。間違っているとわかれば、正しいやり方は何かを新たに模索できます。

自分のことは、自分では意外にわかっていないものです。自分のことはつい過信してしまいます。謙虚にフィードバックをもらい、フィードバックから自分が何を学ぶかです。


まとめ


ご紹介した思った3つのことは、以下でした。

  • 自分に問いかける
  • アウトプットをする
  • 積極的にフィードバックを得る

本書で紹介される6つのステップの1つめは、「価値を見い出す」 です。

以上をまとめると、学ぶためのポイントを一言で言うと以下です。

 「Why から始め、能動的に学習すること」

自分に問いかける、アウトプットをする、フィードバックを獲得することは、いずれも受け身ではなく能動的なアプローチです。

学習を受け身でやらされている状態と、主体的に進めている状態では、頭の使い方が異なります。

本書には、後者の能動的な学習方法が体系立てて説明されています。



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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。