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組織における 「共有ビジョン」 について書いています。
エントリー内容です。
- 共有ビジョンとは。共有ビジョンの創られ方
- 自分ごと化されているか
- 思ったこと
共有ビジョンとは
「学習する組織」 入門 - 自分・チーム・会社が変わる 持続的成長の技術と実践 という本には、学習する組織になるための5つの法則が書かれています。
5つのうちの1つが共有ビジョンです。
共有ビジョンは、組織のメンバーが共有して描く未来への憧憬です。以下に対する自分たちの答えです。
- 私たちは何を創り出すのか
- 私たちはどうありたいのか
共有ビジョンは、組織での原動力になります。本書 「学習する組織」 入門 には、次のように書かれています。
効果的な共有ビジョンは、私たちの人生に感動と意味を与え、私たちの持てる力を超えて、それまで想像もしていなかったような大きな力を発揮させる原動力になります。
(引用: 「学習する組織」 入門 - 自分・チーム・会社が変わる 持続的成長の技術と実践)
共有ビジョンの創られ方
組織の共有ビジョンは、個々人のビジョンを重ね合わせることによって築かれます。
個人が、自分は組織の一員としてどんな世界観を創りたいのか、組織はどうありたいかを内省し、言語化することから始まります。個人がビジョンを明確に、組織内で共有し対話をしながら、お互いのビジョンを重ねていくことによって共有ビジョンが創られます。
組織のトップ、例えば企業であれば社長や経営陣からのトップダウンからであっても、組織メンバーのボトムアップからでも、共有ビジョンは一方的には決まりません。
対話により皆の相互理解と納得による合意形成から築かれるものです。
経営者のビジョンは、あくまで個人としてのものです。会社の共有ビジョンとして忠誠を強制しても、組織の個々人に共感されなければ共有ビジョンにはなり得ません。
共有ビジョンへは、対話によって構築されます。例えば対話では、お互いのビジョンを効いて何を感じたか、相手を知ることによって新しい気づきを得たり、自分のビジョンが相対化されます。
互いのビジョンを聞き合い、重ね合わせるプロセスは、個人の組織への参画やコミットメントを得られます。お互いがビジョンを共有し、同じ組織や会社でビジョンを目指すという1つの船に乗って進んでいるような一枚岩の組織になることができます。
自分ごと化されているか
共有ビジョンで大事なのは、その組織の一人ひとりがそのビジョンを自分ごと化していることです。個々人が共有ビジョンが自分にとって何を意味するのかを見い出し、共有ビジョンと自分が目指すものが重なっていることが大切です。
もちろん、共有ビジョンと個人ビジョンがぴったりと重なることはないでしょう。共有ビジョンとは個々人のビジョンを重ね合わせて抽象化されたものです。
それに対して個々人のビジョンは、各自の価値観や原体験、思いから創られます。
その人の組織内の階層や役割によって、共有ビジョンの意味合いは同じにはなりません。組織階層レベル・役割の違いから、共有ビジョンへの理解が具体性や粒度は異なります。
共有ビジョンは後生大事に飾っておくものではなく、日々の判断や行動の拠り所になっていることが大事です。全ての個々人が自分の役割や持ち場において何を考え、何を為すかのレベルまで落とし込まれているかが問われます。
日々の発言、意思決定、行動に共有ビジョンが反映されているかです。困難や組織内での衝突・葛藤があった時こそ、共有ビジョンに立ち返ります。
思ったこと
共有ビジョンで興味深いと思ったのは、2つです。
- 個々人のビジョンの重ね合わせの先に共有ビジョンが築かれる
- 共有ビジョンの意味合いは個々人によって全く同じではない
共有ビジョンの構築プロセスは、各自が考えるビジョン、つまり、組織の一員として自分たちが創りたい世界観、どうありたいかの理想とする姿の明確化から始まります。個々人による内省と言語化です。
対話から相互理解を経て共通点を重ね合わせ、最終的に抽象化したものが共有ビジョンです。個々人の目指す先は全く同じではないとしても、対話によって組織として目指す北極星を定めます。
興味深いと思ったのは、共有ビジョンを再び個々人にとってのビジョンとして落とし込むことです。内省、対話、言語化によって、「具体化 → 抽象化 → 具体化」 のプロセスにも共有ビジョンの意義があります。