今回ご紹介したい本は、デザイン思考の先を行くもの です。
この記事でわかること
- どんなことが書かれている本?
- キーワード 「個人の見立てる力」 とは?
- どうすれば、新しいアイデアや企画がつくれる?
この記事でわかるのは、本書のキーワードである 「個人の見立てる力」 についてです。見立てる力とは何か、どうすれば身につけることができるかを書いています。
ぜひ記事も参考に、本も読んでみてください。
この本に書かれていること
以下は、本書の内容紹介からの引用です。
「ハーバードの大学院でデザインを学んでいて気づいたこと。それは日本人だけが突出して、"デザイン" という言葉の本来の意味を誤解していること」
電通のコピーライターとして活躍してきた一方、ハーバード大学デザイン大学院にて都市デザイン学修士を修めた建築家でもあるという異色の経歴を持つ著者の視点から、日本人が抱えてきた "デザイン" という言葉への誤解を紐解くとともに、デザイン思考の先を行く新たな手法の秘訣を紹介します。
ハーバード・デザインスクールの授業で著者は、創造力に必要な二つの力の存在を学んできました。
ひとつはあらゆるアイデアの源泉であり、個性と専門性が求められる【個人の見立てる力】。そしてもうひとつは、自ら創造した未来から逆に現在のあるべき姿を描く【未来からの逆算力(バックキャスティング)】。
このふたつを原動力として生み出された5つのビジネスやデザインの実例を元に、誰もが革新的な発想を生み出せる4種類のメソッドをご紹介します。
個人の見立てる力
この本のキーワードは、「個人の見立てる力」 です。
個人の見立てる力とは、普通の人から見れば全く関係のない2つの異なるものを結びつける能力です。その人の専門性や得意分野という視点によって、他の人には見えないものが見える力です。
これができるのは、2つそれぞれを抽象化して捉えているからです。具体的には、
✓ 個人の見立てる力の例
- 作曲家がジェットコースターに載ったら、上下運動やスピードの緩急がメロディに感じる
- パティシエが建築物を見たら、新しいケーキのアイデアに見える
個人の見立てる力を高める方法
この本を読んで興味深かったのは、個人の見立てる力を高める方法です。
✓ 個人の見立てる力を高める方法
- ロールプレイング (What if 思考)
- 因数分解
- ウォーリーを探せ
- ルーツトラッキング
では順番に見ていきましょう。
[方法 1] ロールプレイング (What if 思考)
1つめの方法は、「もし自分があの人だったらどんなアイデアを出すだろう」 と自分の頭の中でロールプレイングをします。What if を考える方法です。
例えば、経営戦略を考えるときはソフトバンクの孫さんになったつもりで、どんな経営方針を打ち出すかを想像します。
なりきる人がよく使う言動や考え方、人となりを知っていて、自分とは違うものの見方をする人であれば、自分とは異なる発想が得られます。ロールプレイングを通して、見立てる力を鍛えることができます。
[方法 2] 因数分解
個人の見立てる力を高める2つめの方法は、因数分解です。
分解するものは、2つの対象があります。
✓ 2つの因数分解
- 物理的因数分解
- 時間的因数分解
物理的因数分解とは、対象となる物体の構成要素を分けて考え、各要素を他のものと入れ替えてみてアイデアを生むやり方です。
例えば、雨の日に使う傘です。傘の要素を分解すると、ビニル部分、骨組み、持つ柄になります。
このうち例えばビニル部分に注目します。水を弾くのではなく水をを吸収する傘にすれば、どういう状況で使える傘になるかと発想を広げます。
日頃から、あらゆる物について要素分解をしてみると、観察する力もつきます。
もう1つの分解は、時間です。時系列やプロセスに沿って分解し、こちらも分解した要素を変えてみる方法です。
具体的には、おとぎ話の物語構成を分解し、ビジネスでの企画提案のプレゼンに応用するやり方です。
[方法 3] ウォーリーを探せ
3つめの方法は、ウォーリーを探せです。
みなさんは 「ウォーリーをさがせ」 という絵本を読んだことはありますか?
「ウォーリーを探せ」 は、あれだけ細かく人や動物がいても、ウォーリーを探すという目的があるので複雑な絵の中からでも見つけ出すことができます。
漠然と絵本を眺めているだけでは、ウォーリーには気づかないでしょう。ウォーリーを探すというミッションがあるからこそ、見つけることができるのです。
同じことをリアルの日常の中でやると、個人の見立てる力を高めます。
例えば、いつも使っている通勤経路で、「赤いものが何個あるか」 というミッションを持って歩くと、普段は目に入らないものに気づきます。
このように自分の中でウォーリーを意図的に設定し、気づく力を高めることによって見立てる力を養います。
[方法 4] ルーツトラッキング
ルーツトラッキングとは、言葉の語源を調べることによって、本来あった意味から考えてみることです。
漢字の意味や英語から来ている言葉であれば、もともとは何の言語のどういう意味だったかをさかのぼって調べてみる方法です。そこから、現代の使われ方や新しいアイデアにつなげます。
この本に書かれていた例は病院でした。
英語の Hospital の語源はご存知でしょうか?
Hospital の語源は 「もてなす人」 で、派生して Hotel などの言葉があります。
著者の事例で、提案した病院の世界観に、治療する場所に加えてやすらぎのあるおもてなしを入れたとのことでした。
見立てる力で思ったこと
個人の見立てる力で思ったことは、2つです。
✓ 思ったこと
- 見立てる力の源泉
- バイアスをポジティブに捉える
[思ったこと 1] 見立てる力の源泉
個人の見立てる力は、自分の専門性や得意分野の視点からです。
人にはない着眼点があるからこそ、普通の人からみれば全く関係のない2つの異なるものを結びつけられます。
専門性や知見、得意分野以外でおもしろいと思ったのは、自分が好きなことや情熱を持っていることです。もっと平たく言えば自分の趣味やオタク気質からです。
見立てる力の源泉になるのは、人よりもできること以外に、人よりも好きなことというのはおもしろいです。
[思ったこと 2] バイアスをポジティブに捉える
見立てる力を養うために思ったことは、バイアスとどう付き合うかです。
バイアスとは偏りであり、ビジネスの世界ではどちらかと言うとネガティブに響く言葉です。
一方で思ったのは、見方を変えればバイアスとは、う自分にしかない独自の視点だということです。自分だけの見立てる力になります。
バイアスも尖らせることができれば、個人の見立てる力を高められるのではと思いました。
まとめ
今回ご紹介した本は、デザイン思考の先を行くもの (各務太郎) でした。
最後にまとめです。
本書の内容
- この本のキーワードは 「個人の見立てる力」
- 個人の見立てる力とは、普通の人からみれば全く関係のない2つの異なるものを結びつける能力
- これができるのは、2つそれぞれを抽象化して捉えているから
個人の見立てる力を高める方法は4つ
- ロールプレイング (What if 思考) : もし自分があの人だったらどんなアイデアを出すだろうと想像
- 因数分解: 対象となる物体の構成要素を分ける、またはプロセスや時系列を分解し、各要素を他のものと入れ替える
- ウォーリーを探せ: 自分の中でウォーリー (この視点で見る・考える) を意図的に設定し、気づく力や見立てる力を養う
- ルーツトラッキング: 言葉の語源を調べることによって、本来あった意味から考えてみる。漢字や英語の語源など
個人の見立てる力で思ったこと
- 見立てる力の源泉は専門性や得意分野だけではない。自分の好きや情熱からも、独自の見立てにつながる
- 自分にしかできない尖った着眼点を持ち、見立てをしていく