2019/05/03

両利きの経営を解説。個人のビジネスキャリアにも応用できる、マストな知識




今回は、イノベーションの理論 「両利きの経営」 についてです。

  • 両利きの経営とは?
  • 知っておくポイントは?
  • 個人のビジネスキャリアへのヒント

こんな疑問に答える内容でブログを書きました。

この記事では、両利きの経営とは何か、あえて二兎を追うことを成功させるためにどうすればよいかを書いています。

また、両利きの経営から学べる個人レベルでのビジネスキャリアへのヒントもご紹介します。ぜひ、最後まで読んで、仕事やキャリアの参考にしてみてください。


両利きの経営とは


イノベーション理論である 「両利きの経営」 とは、次の2つのことを実践する経営です。


両利きの経営
  • 既存事業の強化。競争力を高め収益を上げる [深化]
  • 新規事業の創出。新しい市場や技術、ビジネスモデルを模索する [探索]


両利きの経営では、深化と探索のどちらか一方だけでなく、両方をやっていくというあえて二兎を追う経営です。

深化 (既存の強化) と探索 (新規への模索) では、一般的には前者の深化に偏りがちになります。今までやってきたことの延長なので続けやすいからです。一方、新しい取り組みである探索は、うまくいくかわからず成果が出にくいので、後回しになりがちです。

しかし、企業は深化だけでは生き残っていけません。

外部環境の変化に適応するため、絶えず自らも変わっていく必要があります。深化だけでは変化が十分ではなく、探索が大事になるのです。


深化と探索は 「水と油」


両利きの経営は、実現できるのでしょうか?

実は、両利きの経営は簡単ではありません。深化と探索はいわば水と油のような関係だからです。

深化をやっていく組織には、少しずつ改善を重ねていくのに適した組織能力が求められます。一方、探索の組織は、実験や失敗から全く新しいことを創造する組織能力が必要です。

深化の既存事業の組織からすると、自分たちは売上や収益を上げているのに、新規事業のことを予算を無駄遣いしているのではないか、いつになったら成果を出すのか (長い間、成果が出ていない) などの不満がたまることも、十分にあり得ます。


両利きの経営を実現するポイント


では、両利きの経営を実現するためには、どうすればよいのでしょうか?

参考になった本は、両利きの経営 - 「二兎を追う」 戦略が未来を切り拓く です。





この本は、両利きの経営について、豊富な事例や研究から両利きの経営とは何か、実践するためにどうすればよいかが詳しく書かれています。

本書を読み、両利きの経営を実現するポイントだと思ったのは、次の5つです。


両利きの経営を実現するポイント
  • 深化と探索に明確な戦略がある
  • 経営層の積極的な関与 (特に探索事業への理解と支援)
  • 探索には既存事業の資産を活かす
  • ただし、深化と探索は距離を置き対立を避ける (例: 評価指標を分ける、物理的にオフィスを遠ざける)
  • 共通のアイデンティティを持たせる (ビジョンや価値基準などの企業文化)


この本が強調しているのは、リーダーシップです。経営リーダーだけではなく、現場のリーダーも両利きの経営を理解し、時には矛盾する2つの舵取りをやっていくことです。


両利きの経営で思ったこと


ここからは思ったことです。

両利きの経営について思ったのは、次の3つです。


思ったこと
  • 変わらないもの、変わるもの
  • 水と油をどう両立させるか
  • 個人のキャリアへのヒント


以下で、それぞれについてご説明します。


[思ったこと 1] 変わらないもの、変わるもの


両利きの経営の深化と探索の両立で大事だと思うのは、「変わらないもの」 と 「変わるもの」 の見極めです。

変化が必要だといっても、全てを変えていく必要はありません。変えないものがわかっているからこそ、変えられるのです。

大きく見れば、変わらないものは既存事業である深化、変わるものとは新規事業である探索です。

よりミクロに見ていけば、深化の中にも変わらないものと変わらないものがあります。探索にも、共通のビジョンや価値観などの変わらない要素もあります。


[思ったこと 2] 水と油をどう両立させるか


深化と探索は水と油のような関係だからこそ、なぜ二兎を追うのか戦略的な位置づけと、意思を持って実現していく設計が重要です。

それぞれでの評価のものさしを別にする、物理的に距離を置くなどの工夫をしつつ、特に探索への経営層の支援から、社内において探索の重要性の理解を徹底させます。

ポイントだと思うのは、全体では共通のアイデンティティ (ビジョンや価値基準など) の下で、深化と探索の組織やチームで、お互いにどれだけ相手を理解し尊重できるかです。


お互いが尊重する関係
  • 既存事業の人は、新規事業を将来の新しい種を見つけていると理解し、期待を持ち続けられるか
  • 新規事業の人は、既存事業が絶え間なく競争力を高め収益を上げているからこそ、自分たちは新しい取り組みにトライ & エラーができていると思えるか


根底に、お互いへの理解と尊重、そして感謝があるからこそ、深化と探索の両立ができます。


[思ったこと 3] 個人のキャリアへのヒント


両利きの経営は、企業の経営だけではなく個人にも当てはまります。

自分を1つの会社と見立てれば (経営者視点) 、今ある専門知識やスキル、あるいは仕事の何を強化し、同時にどんな新しいことに取り組んでいくかです。

先ほどご紹介した、両利きの経営を実現する5つのポイントは、個人のキャリア形成や仕事にも当てはまります。


 「両利きの経営」 を個人に当てはめるポイント
  • 自分の深化と探索に明確な意図がある
  • 探索の活動の意味合いを理解し、続ける
  • 探索には、今ある専門性や経験を活かす
  • 深化と探索では、評価の仕方を変える (例: 新しい取り組みの探索はすぐには成果が出ないので長い目で続ける)
  • 探索への新しいチャレンジにも、自分の価値観に沿ったものか、ワクワクすることかなどの、根底の共通点があること


まとめ


今回は、両利きの経営を取り上げました。

両利きの経営とは何か、相反する二兎を追うためにどうすれば実現できるか、そして、個人への応用をご紹介しました。

最後に今回の記事のまとめです。

  • 両利きの経営とは、次の2つのことを実践し、両立させる経営
    • 既存事業の強化。競争力を高め収益を上げる [深化]
    • 新規事業の創出。新しい市場や技術、ビジネスモデルを模索する [探索]
    両利きの経営が簡単ではないのは、深化と探索はいわば水と油のような関係だから。一般的には深化を優先し、探索を怠りがちになる

  • 両利きの経営を実現するポイント次の5つ。
    • 深化と探索への明確な戦略
    • 経営層の探索事業への理解と支援
    • 探索に既存事業の資産を活かす
    • 深化と探索は距離を置き、対立を避ける
    • 共通のアイデンティティ (ビジョンや価値基準などの企業文化)

  • 両利きの経営は、企業の経営だけではなく個人にも当てはまる。今ある専門知識やスキル、仕事の何を強化し、同時にどんな新しいことに取り組んでいくか

  • 5つのポイントを個人に応用すると、
    • 深化と探索への明確な意図
    • 探索の活動の意味合いを理解し、続ける
    • 探索には、今ある専門性や経験を活かす
    • 深化と探索では、評価の仕方を変える
    • 探索への新しいチャレンジにも、自分の価値観に沿ったものか、ワクワクすることかなどの、根底の共通点がある




両利きの経営 - 「二兎を追う」 戦略が未来を切り拓く

最新記事 (毎日更新中)

書いている人 (多田 翼)

複数のスタートアップ支援に従事。経営や事業戦略のコンサルティング・アドバイザー・メンター、プロダクトマネージャー、マーケター。前職は Google でシニアマーケティングリサーチマネージャー、現在は独立 (詳細は LinkedIn または Facebook をご覧ください) 。

1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。note も更新しています。

内容は個人の見解です。