
今回は、失敗の本質から学べることです。
この記事でわかること
- 日本軍の失敗の本質
- 現代のビジネスへの教訓
- イノベーションの本質と方法
- 過学習の弊害
記事の最初に、書籍 失敗の本質 - 日本軍の組織論的研究 から日本軍の失敗を取り上げます。
そこから、現代のビジネスへの教訓を掘り下げていきます。キーワードは 「ガラパゴス化」 と 「イノベーションのジレンマ」 です。
ぜひ記事を最後まで読んでいただき、お仕事での参考にしてみてください。
日本軍の失敗の本質
皆さんは、失敗の本質 - 日本軍の組織論的研究 という本を読んだことがあるでしょうか?
この本に書かれていて興味深いのは、現代にも通じる日本軍の失敗です。過去の歴史の出来事として済ませるのではなく、現在のビジネスの文脈で示唆に富んだ内容が書かれています。
以下は本書からの引用です。
日本軍の最大の失敗の本質は、特定の戦略原型に徹底的に適応しすぎて学習棄却ができず自己革新能力を失ってしまった、ということであった。
(引用: 失敗の本質 - 日本軍の組織論的研究)
日本軍の失敗は、現在のビジネスの用語に当てはめればどんな意味を持つでしょうか?
2つで、「ガラパゴス化」 と 「イノベーションのジレンマ」 です。
日本軍の失敗の本質
- ガラパゴス化した (特定の戦略原型に徹底的に適応しすぎた)
- イノベーションのジレンマ (学習棄却ができず自己革新能力を失ってしまった)
ガラパゴス化とイノベーションは企業だけではなく、個人のレベルにも当てはまります。
それでは、日本軍の失敗の本質から、私たちは何を学べるでしょうか?
現代ビジネスへの教訓
日本軍のガラパゴス化とイノベーションのジレンマが教えてくれるのは、主体的に自ら変化する重要性です。
ではここからは 「ガラパゴス化」 と 「イノベーション」 の観点で、組織や企業、個人のレベルで何が学べるかを見ていきましょう。
ガラパゴス化
特定の戦略や状況に適応しすぎないためには、どうすればいいでしょうか?
まず大事なのは、環境に目を向けることです。特に環境の変化です。
環境とはビジネスの文脈で言えば、市場 (顧客と競合) や社内に当たります。自分たちのビジネス活動の前提です。
ガラパゴス化とは、環境への適応に遅れてしまった結果とも言えます。
環境について自ら環境は選べるという認識、そして、環境の変化を常に観察し、解釈からの方向性の見極めることが大事です。
観察で大切にしたいのは、視野を広く持ち視点を多くする、そして視座を意図的に高める・低くします。
環境という前提が変わるとは、自分たちがいる土台が変わるようなものです。
前提が変われば、既存の延長で考えることなく、これまでの方針やアプローチを変えます。
自分たちは環境変化に乗り遅れていないか、顧客や市場から乖離してしまっていないか。こうした健全な危機意識が、ガラパゴス化になるのを防いでくれます。
イノベーション
日本軍の失敗の二つ目は、イノベーションのジレンマでした。
書籍 失敗の本質 では、「学習棄却ができずに自己革新能力を失った」 と指摘されています。
自己革新能力をビジネス用語に当てはめれば、自らイノベーションを起こす力です。
では、そもそもイノベーションとは何でしょうか?
私の一言の定義は、「イノベーションとは未来の当たり前をつくること」 です。
今はまだ当たり前にはなっていない、あるいは多くの人が気づいてすらいないものが、イノベーションによって未来では不可欠な存在になっている、当たり前のようになります。
ではあらためて、イノベーションを起こすにはどうすればいいのでしょうか?
イノベーションを起こすために
結局のところは、今はまだない未来の当たり前をつくるには、新しいことを試す以外にありません。
新しいこととは、いくつか種類があります。
新しい取り組み
- 全くの新しい取り組み
- 少しずらした応用
- 既存のもの同士を組み合わせたもの
いずれにしても、イノベーションのためには多産多死、とにかく新しい種をまき続けることが重要です。
PDCA の P を Idea の I に変えた、IDCA を回し続けます (Idea → Do → Check → Adjust) 。
何か新しいアイデアを思いついたら、そこで終えるのではなく実践をする。実行からアイデアの筋の良さを振り返り、次のアイデアに反映させています。この IDCA ループを回し続けるのです。
過学習の弊害
日本軍の失敗には、「学習棄却ができなかった」 とありました。学習する対象を過剰なまでに学びすぎた、過学習だったと捉えることができます。
もちろん、物事の学びを深めることは大事です。しかし過学習には、自分の首を絞めてしまう弊害があります。
過学習の弊害
- 自分の専門領域の外に目が行きにくくなる
- 初級者の視点 (良い意味での素人の発想) がなくなる
- サンクコストが大きくなる
- 慢心・おごりにつながる (謙虚さが欠ける)
過学習の弊害とは、完成度を上げすぎることのマイナスの影響です。
ここから私たちは、何が学べるでしょうか?
何事も 「余白」 「遊びのスペース」 を持っておくことの重要性です。
別の表現をすれば、「ネガティブ・ケイパビリティ」 です。分からないものを分からないままにあえて残し、分からないストレスにも耐え抜く能力です。
意志を持って未完成でとどめる、未完成だからこそ、変化する余地を残しておけるのです。
まとめ
今回は日本軍の失敗から、現在のビジネスへの教訓を掘り下げました。
いかがだったでしょうか?
最後に今回の記事のまとめです。
1.
日本軍の失敗の本質
- ガラパゴス化した (特定の戦略原型に徹底的に適応しすぎた)
- イノベーションのジレンマ (学習棄却ができず自己革新能力を失ってしまった)
2.
日本軍の失敗の本質から学べるのは、主体的に自ら変化する重要性。
特定の戦略や状況に適応しすぎないためには環境変化を常に観察し、解釈からの方向性の見極める。
3.
イノベーションを起こすためには、新しいことを試す以外にない。PDCA の P を Idea の I に変えた、IDCA を回し続ける。
- 全くの新しい取り組み
- 少しずらした応用
- 既存のもの同士を組み合わせたもの
4.
物事の学びを深めることは大事。しかし過学習には自分の首を絞めてしまう弊害がある。
- 自分の専門領域の外に目が行きにくくなる
- 初級者の視点 (良い意味での素人の発想) がなくなる
- サンクコストが大きくなる
- 慢心・おごりにつながる (謙虚さが欠ける)
5.
何事も 「余白」 「遊びのスペース」 を持っておく。意志を持って未完成でとどめる、未完成だからこそ、変化する余地を残しておける。
失敗の本質 - 日本軍の組織論的研究