
今回は書評です。
見通し不安なプロジェクトの切り拓き方 という本をご紹介します。
この記事でわかること
- 本書の概要
- プロジェクト譜とは
- つくり方、事業戦略への応用
この本に書かれていること
皆さんは、お仕事でプロジェクトマネジメントに関わっていらっしゃるでしょうか?
この本の内容を一言でいうと、「プロジェクト譜」 というプロジェクトマネジメントの独自ツールを具体的に分かりやすく解説している本です。
以下は本の内容紹介からの引用です。
私たちは日々、多くの 「プロジェクト」 に囲まれています。
素晴らしいチームワークで、みるみる成果が出る理想的なプロジェクト。なかなか進まず、ミスが多く、チームの足並みも揃わないプロジェクト。両者の違いはどこにあるのでしょうか。
すべてのプロジェクトを解決してくれる、スーパーマンのような人がいたら… そう思っても、そのような人はなかなか見つかりません。
特別な訓練を積んでいなくても、特別な才能がなかったとしても、共通のフォーマット、プロトコルに基づく 「仕組み」 や 「方法」 によって、チームがうまく回っていく。本書では、未知で困難なプロジェクトを切り拓くための方法をお伝えします。
この本のキーワードは 「プロジェクト譜」 です。
プロジェクト譜とは
百聞は一見にしかずなので、まずは下記の画像をご覧ください。プロジェクト譜のイメージです。


引用: "なりたい姿" を今の仕事と結び付けてキャリアプランを立てる ~ 「プ譜」 を使った実践事例とは|AdverTimes
私も、仕事でプロジェクト譜を使っています。
プロジェクト譜が優れている点
私が思うプロジェクト譜が優れていると思うところは、以下です。
プロジェクト譜が優れている点
- プロジェクト全体の可視化できる (言語化と因果関係の把握から)
- つくる過程で理解が深まる (理解が曖昧なところがわかる)
- 関係者と認識を擦り合わせられる
では、プロジェクト譜はどのようにつくっていくと良いのでしょうか?
プロジェクト譜のつくり方
つくり方のポイントをご紹介します。
プロジェクト譜では、特に以下の要素について言語化をし、解像度を高めていきます。
プロジェクトの要素
- 獲得目標
- 勝利条件
- 中間目的
- 施策
- 所与となる要素
この中であえて、特に重要なものを選ぶとすると、勝利条件です。
勝利条件とは、プロジェクトのゴール設定です。プロジェクトが成功して終われるための条件です。
ポイントは、勝利条件をいかに具体的に解像度を高く言語化できるかです。
プロジェクト譜のつくり方は、勝利条件から逆算をし、中間目的と施策に落とし込んでいきます。
結果的に各種策が、中間目的 (勝利条件へのマイルストーン) につながり、最終的に勝利条件に導いていくか。ここに具体性と一貫性を持ちながら、因果関係をつくっていきます。
プロジェクト譜、いかがでしょうか?
ここからは、応用の話です。プロジェクト譜の使い方は、プロジェクト以外にも活用ができます。
事業戦略への応用
私が実際の仕事で使った例です。プロジェクト譜を事業戦略に応用しました。
事業を 「プロジェクト」 と見立てました。ただし、プロジェクトと事業には違う点があります。プロジェクトは成功して終わることが目的ですが、事業は持続的な発展をし、成長し続けることを目指します。
以下のモデル図が、プロジェクト譜を事業戦略の可視化に応用した例です。

項目を左から施策、KSF (主要成功要因) 、提供価値 (バリュー) 、ゴール設定としました。
全体を言葉にすると長い説明になりますが、プロジェクト譜を応用することによって、1枚のスライドで可視化できました。
それぞれの要素の相互作用、時間的な流れ、そして、どこが変われば、どこに影響するかが一目で分かります。
まとめ
今回は 見通し不安なプロジェクトの切り拓き方 という本を取り上げました。
いかがだったでしょうか?
プロジェクトマネジメントの参考になる本でおすすめです。ぜひ、読んでみてください。
最後に今回の記事のまとめです。
本の内容
プロジェクト譜というプロジェクトマネジメントの独自ツールを具体的に分かりやすく解説している本。

プロジェクト譜が優れている点
- プロジェクト全体の可視化ができる (言語化と因果関係の把握から)
- つくる過程で理解が深まる (理解が曖昧なところがわかる)
- 関係者と認識を擦り合わせられる
つくり方
勝利条件はプロジェクトのゴール設定。勝利条件を具体的に解像度を高く言語化する。プロジェクト譜のつくり方は、勝利条件から逆算をし、中間目的と施策に落とし込んでいく。
事業戦略への応用

見通し不安なプロジェクトの切り拓き方 (前田考歩, 後藤洋平)