
今回は前提と戦略についてです。
この記事でわかること
- ものごとには前提がある
- 戦略の前提
- 戦略を 「動的」 にとらえる
- 前提が変われば、戦略も変わる
この記事で書いているのは、前提の大切さです。
ものごとには必ず前提があります。記事では、前提の重要性をマーケティング戦略を例に紐解いていきます。
ぜひ、記事を最後まで読んでいただき、お仕事での参考にしてみてください。
ものごとには前提がある
あらゆる事には必ず前提があります。
例として、戦略についてこれを見ていきましょう。
前提と戦略を見る前に、そもそも戦略とは何でしょうか?
戦略とは
私の一言の定義は、「戦略とは目的を達成するためのリソース配分の指針」 です。目的を実現するために 「やること」 と 「やらないこと」 を決めます。
今回の記事文脈でポイントになるのは、戦略とは 「目的を達成するための手段である」 ことです。
戦略の前提
ではあらためて、戦略の前提とは何でしょうか?
戦略の前提
- 目的
- 現状把握 (現実直視)
二つ目の現状把握についての補足です。
戦略をつくるにあたって、ベースになるのは現状の正確な理解です (現状分析からの現実直視) 。例えばマーケティング戦略では、具体的には以下のように分解をして、現状を把握します。
現状把握の要素
- 自社ブランドの状況 (PL, 自社内でのブランドの位置づけ)
- 顧客
- 市場構造 (規模, 成長性, シェア)
- 競合
- 強みと弱み (競合と比べて)
以上の現状把握から現実を直視します。戦略立案のスターティングポイントです。
戦略をつくるポイント
現状把握から解決すべき問題定義をします。問題の中でも特に真因となるボトルネックを見極めます。
戦略をつくるにあたって、もう一つ大事なのは勝ち筋です。KSF (Key Success Factor) という主要な成功要因を把握します。
以上を踏まえ、戦略をつくる時のポイントは以下になります。
戦略をつくるポイント
- リソースの把握
- ボトルネックと KFS の見極め
- 「やること」 と 「やらないこと」 の線引き
- リソース配分の優先づけ
- 配分の時間的な流れ
最後の 「配分の時間的な流れ」 についての補足です。
これは別の表現で言えば、戦略を動的に捉えるという意味です。
四つ目のリソース配分の指針だけでは静的な理解にとどまります。戦略で重要なのは、時間的な流れ、つまり動的にどのようにリソースを配分していき、個々の要素が影響し合うかです。
リソース配分は、時間的な流れからの順番までを方針として決めることが重要です。
ここまで決まれば、具体的な実行プランである戦術に落とし込みます。
戦略から戦術へ
実行プランも静的だけではなく、動的につくっていきます。
ここで言う動的とは、施策それぞれの相互作用と時間的な展開です。動的に見ていくことによって、実行プランの中での因果関係を理解できます。
イメージで可視化をすると、以下は私が以前の仕事でつくったある企業の事業計画です。
それぞれの要素の順番、因果関係を図で可視化することによって、各施策が全体へどう影響するかがわかります。

良い戦略のポイント
ここまで、戦略と戦術について見てきました。
内容を踏まえると、良い戦略のポイントが見えてきます。
良い戦略のポイント
- 前提が明確 (目的と現状把握)
- 「やらないこと」 がある
- ストーリー時間的な流れが具体的で、全体で一貫性がある
- 具体的な実行プランにまで落とし込まれている (戦略が実行可能)
- ワクワクする、現場メンバーも含め自分たちにもできると思える
四つ目と五つ目にあるように、戦略とは実行できて初めて価値を生みます。逆に言えば、実行できない戦略は絵に描いた餅です。
実行する現場のメンバーが腹落ちして理解し、論理でだけではなくワクワクしている、自分たちにもできると実現性を信じている状態です。これが戦略を実行に移してやり抜けるかどうかのポイントになります。
戦略は一度つくれば、終わりではありません。
というのは、前提が変わる可能性があるからです。
前提が変われば、戦略も変わる
ものごとには必ず前提があるという意識だけではなく、前提は変わり得るという認識も大事です。
戦略とは前提の上に成り立っているので、前提が変われば戦略も変える必要があります。
戦略家に問われるのは、ものごとには必ず前提があると意識すること、そして、前提が変わっていないかを常に頭の中に入れておきます。
まとめ
今回は、前提の大切さと戦略についてでした。
いかがだったでしょうか?
最後に、今回の記事のまとめです。
1.
ものごとには前提がある。戦略の前提は、目的、現状把握 (現実直視) 。
2.
マーケティング戦略での現状把握の要素
- 自社ブランドの状況 (PL, 自社内でのブランドの位置づけ)
- 顧客
- 市場構造 (規模, 成長性, シェア)
- 競合
- 強みと弱み (競合と比べて)
3.
戦略をつくるポイント
- リソースの把握
- ボトルネックと KFS の見極め
- 「やること」 と 「やらないこと」 の線引き
- リソース配分の優先づけ
- 配分の時間的な流れ (戦略を動的に理解する)
4.
良い戦略のポイント
- 前提が明確 (目的と現状把握)
- 「やらないこと」 がある
- ストーリー時間的な流れが具体的で、全体で一貫性がある
- 具体的な実行プランにまで落とし込まれている (戦略が実行可能)
- ワクワクする、現場メンバーも含め自分たちにもできると思える
5.
前提は変わり得る認識が大事。前提が変われば戦略も変える必要がある。ものごとには必ず前提を意識する、前提が変わっていないかを常に頭の中に入れておく。