2020/06/23

リテール AI に学ぶ、データと価値提供の好循環




今回は、おもしろいと思ったビジネス事例のご紹介です。

トライアルというスーパーの先進的な取り組みです。


この記事でわかること


  • 日本スーパー版の Amazon GO (リテール AI)
  • OMO の本質
  • 収集データを価値にして返す事例 (好循環)


この記事で書いているのは、リテール AI という小売業界での先進的なビジネス事例です。

具体的な取り組みをご紹介し、このビジネスの本質的は何かを掘り下げます。ぜひ記事を最後まで読んでいただき、お仕事での参考になれば嬉しいです。


リテール AI とは


今回取り上げる事例は、トライアルというスーパーのリテール AI です。

リテール AI の店舗は、Amazon GO を日本のスーパーで再現したような取り組みです。

百聞は一見にしかずなので、まずはリテール AI のコンセプト動画をご覧ください。






いかがだったでしょうか?


買いもの体験の向上


リテール AI の店舗では、AI アルゴリズムや店内カメラ、スマートショッピングカートの技術を導入し、スーパーでの買いもの体験を進化させています。

買いもの体験の向上とは、コンセプト動画にあったような具体的には以下です。


買いもの体験の向上
  • 自分の買いたい商品がある
  • 顧客ごとに合わせた商品の訴求
  • スムーズな支払いシステム (レジ待ちの不便がない)


リテール AI の店舗は、日本版の OMO です。

OMO とは、Online Merges with Offline の略です。意味はあらゆるオフラインがオンラインに統合されていくというものです。



引用: Web 担当者 Forum


既存プレイヤーによる業界の進化


私がこの事例を知って興味深いと思ったのは、Amazon のような EC プレイヤーがゼロから OMO をつくるのではなく、既存の小売であるトライアルが自ら主体的にやっています

トライアルはリテール AI という独立した会社を作り、メーカーや流通を巻き込んで新しい小売の世界観を実現させようとしているのです。

ではここからは、「リテール AI による OMO での買いもの体験の向上の本質は何か」 を紐解いていきましょう。


ブラックボックス可視化から価値提供へ


リテイル AI の店内では、お客の買いもの行動を可視化しています。

顧客情報と店内カメラからのデータ、そして売上データを繋げることによってです。これまではブラックボックスであった客の買いもの行動です。

データから可視化することによって、好循環が生まれます。


データからの好循環
  • データ収集
  • 顧客理解
  • 価値提供
  • 顧客増 (集客施策)


このループを回し続けることが OMO の成功要因です。

それでは、リテール AI の取り組みから具体的な事例でご紹介します。


収集データからのマーケティング事例


リテール AI とサントリー酒類の事例です。

顧客ごとに店頭での買いものの仕方をデータから分析し、得られた示唆からマーケティングコミュニケーションに活かしました。

詳しくは、こちらの記事で紹介されています。

AI で顧客の見える化と酒類の売上増加 - トライアル × サントリーが見据える、今後のリテールマーケティング|MarkeZine


具体的にやったことは、ライトユーザーとヘビーユーザーについて、店内カメラから店頭でどのように商品を選んでいるかを分析しました。

棚の前での滞在時間と行動の可視化です。



引用: トライアルが放つ、リテール AI プラットフォームプロジェクト 「リアイル」 の戦略とは|MD NEXT


ライトユーザーは商品を選ぶのに時間がかかっていますが、ヘビーユーザーは短時間で比べる傾向が分かりました。

ここからの顧客コミュニケーションへの示唆は何でしょうか?

ライトユーザー向けには店頭で訴求をする、例えば棚前でのサイネージです。ヘビーユーザーには棚に来た時には買う商品が決まっているので、店以外も含めた事前や事後でのコミュニケーションを重視します。

店内カメラからのデータ収集を顧客理解につなげ、そこからコミュニケーションからの顧客価値に転換しています。

この話は小売だけに限りません。

これからは顧客からデータを収集したら、顧客に価値に変えて返すことがデータを収集する側の責務になります


まとめ


今回はリテール AI について取り上げました。

いかがだったでしょうか?

最後に今回の記事のまとめです。


1.
リテール AI の店舗は、Amazon GO を日本のスーパーで再現したような取り組み。OMO (Online Merges with Offline) の実現。Amazon のような EC プレイヤーがゼロから OMO をつくるのではなく、既存の小売であるトライアルが自ら主体的にやっている。


2.
リテール AI でのデータからの好循環。回し続けることが OMO の成功要因。
  • データ収集 (顧客情報, 店内カメラ, 売上データ)
  • 顧客理解
  • 価値提供
  • 顧客増 (集客施策)


3.
これからは顧客からデータを収集したら、顧客に価値に変えて返すことがデータを収集する側の責務。
リテール AI の事例は、店内カメラからのデータ収集を顧客理解につなげ、コミュニケーションからの顧客価値に転換した。

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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社概要はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。